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メルセデスのウルフ代表、激昂アントネッリの無線に介入した理由を説明……そしてその激しい感情を理解「良いレースだったよ」

メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは、アントネッリとラッセルが接触したF1カナダGPのスプリントで遺恨を残さないよう、無線で介入した。

Andrea Kimi Antonelli, Mercedes

 F1カナダGPのスプリントでは、メルセデスのジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリがコース上で激しいバトルを繰り広げ、アントネッリは無線でラッセルを批判するような発言を行なった。

 チーム代表のトト・ウルフはこの無線に介入し、アントネッリを落ち着かせようとした。そしてレース後、今後同様の事態が起きることを避けるために、今後話し合いを行なう予定だと明かした。

 カナダGPのF1スプリントは、ポールポジションからスタートしたラッセルと、2番グリッドからスタートしたアントネッリが、激しいポジション争いを繰り広げた。

 6周目は特にそれが顕著であった。アントネッリはターン1でラッセルをオーバーテイクしようと、アウト側から並びかけた。そのまま行けば、ターン2ではインとアウトが逆になるため、アントネッリがオーバーテイクを成功させう可能性が増すのだ。

 しかしラッセルはスペースを残さず、その結果2台のマシンはホイール同士が接触。アントネッリはランオフエリアに飛び出すことになった。アントネッリはこれで頭に血が上ったか、ターン8で再びオーバーテイクを仕掛けた。しかしこれは無理筋であり、減速しきれずにオーバーラン。しかもこの間にマクラーレンのランド・ノリスに接近を許し、そのまま2番手のポジションを奪われてしまった。

 アントネッリは無線でラッセルのドライビングマナーについて繰り返し不満を訴えた。担当レースエンジニアのピーター・ボニントンはこれに対して、レースに集中するように指示。ウルフ代表も複数回にわたって無線に介入した。

 ウルフ代表が無線に介入し、ドライバーのことを叱責するのは珍しいことではない。しかし複数回にわたってそれを行なうことは滅多にないとも言える。

 今回ウルフ代表は、こういうことは無線で話してはいけないという明確なメッセージを、アントネッリに対して繰り返し語った。そしてその後ウルフ代表は、初めてチャンピオンを争うふたりのドライバーにとって、今回のレースは学びの場になったと前向きに捉えようとしたようだ。

 ウルフ代表は、同じようにチームメイト同士の激しい争いに悩まされたことが過去にもある。それが2013年〜2016年に、ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグがコンビを組んだ時のことだ。

 幼少期からのライバル関係であったふたりは、コース上でも激しくやり合った。2016年のスペインGPでは同士討ちし、揃ってリタイア。以後口も聞かないような日々が続き、同年はロズベルグに軍配が上がった。しかしロズベルグにとってもその日々は精神的にもかなりキツかったようで、チャンピオンを獲得した直後にF1から引退することを決めた。

「良かったよ」

 ラッセルとアントネッリのバトルについて、ウルフ代表はカナダGPのスプリント後にそう語った。

「良い映像だったし、レースとしても素晴らしかった。我々にとっては、物事をどう進めていくか、あるいはどう進めたくないかを考える上で、非常に良い経験になった」

「お互いに激しく争いすぎると、あっという間にアドバンテージを失ってしまうことがよくわかった。そこには必ず、ふたりの人物が関わっているんだ」

「だからこれから今回のレースについて話し合う。そこから何を学び、どんな結論を導き出し、今後この状況をどうすれば避けられるのかということをね」

「もし相手がジョージではなく他のドライバーだったら、あんな風に並んで走った時、自分を先に行かせてくれるなんて期待しないだろう。それが今回の結論だと思う」

「チームメイト同士でオーバーテイクをすることはあり得る。でも、チャンピオンを争う時にはディフェンスが激しくなり、誰かが簡単に道を譲ってくれると期待することはできないだろう」

 アントネッリはラッセルに押し出された時に「ミラーは横に並んでいたのに」と無線で不満を訴えた。これはFIAのドライビング・ガイドラインに沿った考え方である。

 しかしイン側にいる時とアウト側にいる時では、そのガイドラインが異なる。今回のアントネッリのようにアウト側からオーバーテイクを仕掛ける時、自身のフロントアクスル(車軸)が、抜こうとしているマシンのフロントアクスルよりも前に位置していなければいけない。

 今回、アントネッリの感情が昂ったのを抑えるためには、ウルフ代表が仲裁に入る必要は間違いなくあっただろう。しかしウルフ代表は、アントネッリの感情的な反応については理解を示した。

「マシンに乗った時にはライオンのようなのに、降りた時に子犬のように大人しいなんてことを期待するわけにはいかないよ」

 ウルフ代表はそう語った。

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