メルセデスF1、人材流出によるチームの低迷を否定「後任の若手はしっかり育っている」
メルセデスのトト・ウルフ代表は、現在のチームの苦境は優秀な人材の“頭脳流出”によるものではないと考えている。
写真:: Steve Etherington / Motorsport Images
2022年、メルセデスはF1ハイブリッド時代において最も苦しいシーズンを送っている。チームは今季のマシン『W13』に発生しているポーパシングの解決に苦慮しているが、チーム代表のトト・ウルフはその原因は近年の人材流出が原因とは考えていない。
シーズン序盤から苦戦し、中団グループに飲み込まれていることで、コンストラクターズタイトルで8連覇の功績を持つメルセデスは現在、ランキング3番手……トップ2のフェラーリ、レッドブルからには大きく水を空けられており、早期の立て直しが急務となっている。
近年、メルセデスからはパワーユニット(PU)部門を率いてきたアンディー・コーウェルが離脱し、テクニカルディレクターを務めてきたジェームス・アリソンは上級職の最高技術責任者を務めることとなった。
レッドブルは、ホンダのF1撤退による自社PU製造部門「レッドブル・パワートレインズ(RBP)」の設立に伴い、メルセデスのメカニカル・エンジニアリング部門の責任者を務めてきたベン・ホジキンソンを含め計6人のスタッフを獲得している。
アストンマーチンもチーム強化のために、メルセデスの空力チーフを務めていたエリック・ブランディンをヘッドハンティングしており、メルセデスはスタッフ構成が変化し、いくつかの主要な“頭脳”を失ったことで、2022年シーズンのような低迷に繋がったのではないかと指摘されている。
しかし、ウルフ代表はそのような見方を支持しておらず、チーム内での人事異動は単なるスタッフの入れ替わりであり、パフォーマンスには影響がないと考えている。
「普通のサイクルだ」と彼は言う。
「ロス(ブラウン)が去り、パディ(ロウ)が去った。我々はその後、6回、7回とチャンピオンシップを勝ってきた。ジェームス・アリソンが加わり、表舞台には出てこないが、他にも(新加入のスタッフは)たくさんいる。それでアンディーがリタイアした」
「しかしその間にも、若手たちは育ってきている。ここ数年のマシンを見る限り、彼らは運営レベルで何度も意思決定に携わっている」
「現在、我々が失ったモノはないと思う。それは本当に反動のようなモノなのだ! 普通の変化スピードだ」
George Russell, Mercedes W13, battles with Kevin Magnussen, Haas VF-22
Photo by: Steve Etherington / Motorsport Images
BAR、ホンダ、そしてブラウンGPという長い歴史を持つイギリス・ブラックリーを拠点とするメルセデスでは、かつてのような経験豊富なスタッフは少なくなっている。しかし、現在のチームに見られるフレッシュさから得られるモノは大きいとウルフは言う。
「この(ファクトリーの)キャンパスを歩いていて一番嬉しいのは、ほとんどのスタッフがとても若く、高度な教育を受けていて、モチベーションが高く、今のままではいけないと思っていることだ」と彼は続ける。
「だから私は前向きな気持ちでいられるのだ。私の周りにいるチームの中で、これ以上の人材はいないと思う。軽く言っている訳ではなく。本当にそう思っているのだ」
トップ2チームとのパフォーマンス差は依然かなり大きく、メルセデスが今年コンストラクターズタイトルで9連覇、ルイス・ハミルトンが8度目のドライバーズタイトルを獲得する望みは薄い。しかし、現時点でタイトルを諦める気はないとウルフは言う。
「その“想い”に別れを告げたくはない」
「このスポーツの好きなところは、全てがいつも計算通りにはいかないというところだ」
「レースが全く違うモノになるのだ。コース上で1位、2位になって、次のレースで脱落することからもそのスピード感が分かるだろう」
「その点、今開いてしまった差を埋めることは難しいが、このマシンをコースで上手く走らせられれば、このマシンでも上位に食い込むことができるだろう。今は難しいかもしれないけどね」
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