ADUOによるPUアップデートが必要なのは1社だけ? メルセデス代表、今季F1の優遇措置に釘を刺す「勢力図に影響があれば失望する」
メルセデスのトト・ウルフ代表は、FIAによるADUOの判断がF1の勢力図に影響を与えるようであれば「失望する」と語った。
Andrea Kimi Antonelli, Mercedes
写真:: Mark Thompson / Getty Images
メルセデスのトト・ウルフ代表が、今季のF1に導入されたパワーユニットの追加開発措置“ADUO”について言及。ADUOがチャンピオン争いに影響を与えるようなことがあってはならないとした。
AUDOは『追加の設計・アップグレード機会』の略で、現行パワーユニット規則のセーフティネットとして取り入れられた。当初の構想は、24戦のシーズンを4つに区切り、6戦ごとに各メーカーのエンジン出力を測定することで、その時点で後れを取っているメーカーに対してアップグレードを許可するというものだった。ただ、中東2戦がカレンダーから外れて現状22戦になったことにより、上記の区切りをどのように調整するかなどが、FIAやチーム・メーカーの間で議論の的となっている。
なお、出力が測定されたタイミングで、最も優れているエンジンに対して2~4%遅れているメーカーには1回、4%以上遅れているメーカーには2回のアップデートが許可される。これらの優遇措置がどのメーカーに適用されるかも注目を集めているが、現在シリーズをリードするメルセデスのウルフ代表はmotorsport.comら報道陣に対し、FIAには完全な透明性と正確性が求められると強調した。
「どのような決定も、チャンピオンシップに大きな影響を与える可能性がある」
「ADUOの原則は、パワーユニット面で後れを取っているチームが追いつくことを可能にするためのものであり、一足飛びに追い越せるようにするためのものではない」
「どのチームにADUOが与えられるにせよ、その判断は絶対的な正確性、明確さ、透明性をもって行なわれなければならない。そうでなければ、パフォーマンスの勢力図や選手権に大きな影響を及ぼしかねない」
「ここに駆け引きが入り込む余地はない。FIAは正しい精神でADUOを運用する必要がある」
ウルフ代表は、ADUOの本来の目的は苦戦しているメーカーを支援することであり、現時点でそれに該当するのは1社だけだという。そして、すでに拮抗しているメーカーやチームが追加開発によって順位を上げるための手段であってはならないと示唆した。
「もちろん、各チームそれぞれパフォーマンスが異なるが、私が見る限り、問題を抱えていて助けが必要なエンジンメーカーは1社だけだ。他はほぼ同じ水準にある」
「現在の勢力図に影響を与えるようなADUOの決定が下されるとしたら、私は非常に驚くだろうし、失望する」
フェラーリはADUOの対象となるのか?
そこで注目なのが、フェラーリにADUOが適用されるかどうかだ。現在メルセデスの対抗馬になり得るチームは、メルセデスのカスタマーチームであるマクラーレンとフェラーリのふたつだからだ。
Charles Leclerc, Ferrari
Photo by: Ferrari
フェラーリのフレデリック・バスール代表も、ADUOがエンジン面での差を縮める機会になり得ることを否定していない。しかし、単純な出力不足によるADUO適用が果たして正当なのかどうかの議論はいくつかの要因によって複雑化している。
というのも、フェラーリは小型のターボを採用していると言われる。そして小型ターボは出力面では不利に働く可能性がある一方、スタートでアドバンテージとなり得る。そういった戦略をとるメーカーに対するADUO適用は正当なのかは、議論が分かれるところだ。
ウルフ代表はこの点について特別に懸念しているわけではないとしつつも、ADUOは本来の目的に沿って使われるべきだと改めて強調した。
「懸念しているというわけではない。我々は皆、どのように判断が下されるかを注視している。我々自身も、競合や自分たちのエンジン性能について独自に分析し、正確なデータを持っている」
「その点でFIAも同じデータを見ているはずであり、彼らが競技の公正性を守る姿勢を貫くことを強く望む。突然誰かが一歩抜け出すようなADUOを認めてはならない。ADUOはあくまで追いつくための仕組みであり、追い越すためのものではないのだから」
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