ハミルトン92勝目は”圧勝”。その要因は「タイヤの使い方の巧さ」にあり
メルセデスは、ポルトガルGPでルイス・ハミルトンに圧勝劇をもたらした、セッティング変更について説明。レース重視のセットアップを施していたことを明かした。
Lewis Hamilton, Mercedes F1 W11
Zak Mauger / Motorsport Images
メルセデスのルイス・ハミルトンは、アルガルヴェ・インターナショナル・サーキットで行なわれたF1ポルトガルGPを圧勝。この勝利でハミルトンは通算92勝目ということになり、ミハエル・シューマッハーが持っていた史上最多勝利記録(91勝)を更新することになった。
ただハミルトンは、週末を通じて強さを誇っていたわけではない。特にフリー走行では低いグリップに悩まされ、チームメイトのバルテリ・ボッタスの後塵を拝し続けることになった。
しかし決勝レースではここから挽回。ボッタスに25秒の差をつける圧勝劇を演じた。
メルセデスのトラックサイド・エンジニアのアンドリュー・ショブリンはレース後、土曜日以降2台のマシンのセッティングを、よりダウンフォースを増す仕様に変更したと説明する。
ショブリン曰く、このセッティング変更の方向性が、ハミルトンのタイヤマネジメントと、ウォームアップを手助けしたという。その一方で、ボッタスには不利に働いたようだ。事実、ボッタスのペースは最初のスティントの終盤に向け衰え、ハミルトンにオーバーテイクを許しただけでなく、9秒もの差をつけられることになった。
「土曜日の朝、ふたつの異なるウイングレベルを試した」
そうショブリンは説明する。
「我々はこの週末を、まずダウンフォースの小さいウイングでスタートさせた。それは、間違いなく正しい決断だったと思う」
「だが決勝では、ダウンフォースを増やしたことが、我々を手助けすることになった。雨の量がどうなったとしてもね」
「しかしハミルトンは、硬いタイヤを使わないようにして、マシンのバランスをどう取るかということについて、もっと話していた。予選で重要だったのは、タイヤをどうやって温めるかということだったからね」
「レースで痛めつけられるのは左側のタイヤだ。フロントもリヤもあまり機能しない。そして、バランスは徐々に最適なモノから遠ざかってしまうんだ」
「もちろん、ルイスはタイヤのマネジメントを得意としている。彼は、タイヤを痛めつける原因について察知するという点で、素晴らしい能力を持っている。彼は、タイヤのゴムが摩耗するのを、労り続けることができるんだ」
ピットストップを行なう前、ハミルトンは「タイヤの状態は良い」と報告し、まだまだ走り続けることができると訴えていた一方で、ボッタスは、「バイブレーションが出ている」と無線で訴えていた。
ボッタスは、ピットストップでタイヤをミディアムからソフトに替えることを希望していたが、最終的に2台ともハードタイヤで第2スティントを走ることに。ボッタスはタイヤを最適な温度まで温めるのに苦労し、ハミルトンとの差が拡大することになった。
「ここで重要なのは、タイヤの温度だったと思う。温度を上げることができれば、グリップが上がるからだ」
そうショブリンは説明した。
「ほとんどのレースでは、タイヤをあまり発熱させないようにする。でもここでは、真逆の状況になった。そしてこの涼しいコンディションの中で、少し雨が降ったことで、さらにその状況が悪化することになった」
「ハードタイヤに履き替えた時、その傾向はより顕著になった。ルイスはそれを非常にうまく、非常に迅速に機能させることに成功した。一方でバルテリは、バックマーカーのトラフィックに引っかかってしまった。それは彼にとっての自然なペースではなく、前を行く遅いマシンのペースに付き合わされてしまった。それによってタイヤの温度を上げることができず……その時点でふたりのタイヤは、約10度の差があったのだ」
「ラップタイムでは1秒ほどの差でそれが表れていた。つまり重要なのは、その温度差だったんだ」
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