メルセデス、PUの信頼性問題は2019年の”後遺症”?「フェラーリに対抗するため、自分たちを追い詰めすぎた」
メルセデスは、現在頭を悩ませているパワーユニットの信頼性問題は、2019年にフェラーリに対抗するために無理をしてきた後遺症だと考えている。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
メルセデスは2021年シーズン後半に入り、パワーユニット(PU)の信頼性に関する懸念に継続的に直面している。ルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスが複数回、PUのコンポーネント交換によるグリッド降格ペナルティを受けているのだ。
第19戦サンパウロGPでは、ハミルトンが今季5基目のエンジン(ICE)を導入。決勝レースで5グリッド降格ペナルティを受ける。直近6レースで、ハミルトンもしくはボッタスがグリッド降格ペナルティを受けるのは5レース目となる。
2014年にPUが導入されて以来、メルセデスのPUは常にベンチマーク的な存在だったことを考えると、ここまで信頼性に懸念が生じているのは驚きだ。メルセデスに追いつけ追い越せで開発を進めてきたホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターも、メルセデスがこれほど苦戦していることについて「信じられない」とコメントしている。
メルセデスのトト・ウルフ代表は、フェラーリがパワーの面で優位に立っていた2019年に、パフォーマンスを追い求めすぎた影響が今になって出てきていると考えているようだ。
2019年は、シーズン後半に入ってフェラーリが突如として競争力をアップ。FIAは厳しい燃料流量規制を回避しているのではないかと疑い、フェラーリPUの調査を実施した。
FIAは、フェラーリのレギュレーション違反を証明することはできなかったが、その後燃料流量センサーを追加するなどの変更を行なった。フェラーリはこの影響を特に強く受け、2020年は大苦戦することになった。
メルセデスは当時、レギュレーションを逸脱してパフォーマンスを得ていたフェラーリに対抗するため、スタッフが限界まで追い込まれていたと憤慨していた。
「2019年は非常に厳しく追い込まれ、2020年にはそれに見合ったパワーユニットを用意したが、それが我々を追い詰めすぎたのかもしれない」
そうウルフは当時を振り返った。
「常にパフォーマンスを追求していれば、時に信頼性が損なわれてしまう。おそらく、そういうことが起きているのだと思う」
メルセデスはここ数週間、問題の理解に努力を費やしてきた。その成果はそれなりにあるようだが、サンパウロGPでハミルトンのICEを交換したのは、性能低下を懸念してのことだったという。
「信頼性や性能低下の面で、まだ100%の安心感は得られていない。確実に分かっているのは、走れば走るほどパワーが落ちていくということだ」
「同じPUを使い続けて、たとえタイトル争いに残っていたとしても、サウジアラビアやアブダビであまりパワーが残っていないような状態になるのは望んでいないんだ」
2022年からは、PUの開発が凍結されてしまう。ゆえに、信頼性の問題を2022年シーズンの開幕までに解決しておくのは非常に重要となるが、同時にパフォーマンスを追求する手を緩めるわけにはいかないと、ウルフは語った。
「ハードにプッシュする必要がある」
「我々は非常に強力で信頼性の高いホンダエンジンと戦っており、彼らはこの最後のシーズンに、ありったけのリソースを投入している。それには納得できる」
「そしてそれは、開発が凍結されている中で今後数年間使われ続けるだろう。だからこそ、来年は今と同じくらいの性能を持ちながら、ペナルティを受けることなくシーズンを過ごせるようなエンジンでスタートすることが必要なんだ」
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