メルセデス、新システム”DAS”を解説「こういった視覚的革新がもっと必要」
メルセデスF1は今季物議を醸しているDAS(二重軸ステアリング)のシステムを説明。数年前にその基となるイノベーションが生まれたと明らかにすると共に、F1にはこういう視覚面でも革新的なモノが必要だと主張した。
Mercedes F1 W11 front suspension detail
Giorgio Piola
2020年のF1プレシーズンテスト2日目、メルセデスがステアリングを押し引きしてフロントホイールのトー角をコントロールするシステムを採用していることが明らかになると、話題の中心となった。このデバイスは、DAS(二重軸ステアリング)と呼ばれていることを、チームも後に明らかにした。
しかしこのシステムは、技術面でも、スポーティング面でも、そして安全性の面でも、ライバルチームから疑問視されることになった。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2021年シーズンも、基本的には2020年と同じマシンを走らせることになる。しかしそれに先んじて、DASは2021年から非合法化されることも決まっている。
チームのドライバーであるバルテリ・ボッタスは、シーズン前のテストの際、1年以上前からDASが開発されていることについて知らされていたと明らかにしている。しかしそのルーツは、さらに前にあるようだ。メルセデスのチーフデザイナーであるジョン・オーウェンは、このアイデアは以前のクルマで使われていた別のプロジェクトから生まれたモノであることを明かした。
「DASのシステムは、2〜3年前に実際にレースで走った他のクルマで試したモノから生まれた。しかし、期待していた全ての効果を発揮できたわけではなかった」
オーウェンはメルセデスがYouTubeに公開したビデオでそう説明した。
「それは私たちが試したモノだが、期待には応えられなかった。チームの人々の心の中、みんなが覚えているプロジェクトの中には、他にも同じようなモノがたくさんある」
「DASのシステムは、とても優れていた。こういうことができるとしたら、ルールでは何と言っているだろうかと調べた。そして、ルールにはそれを効果的に止めるようなモノはなかった。それは驚くべきことだった」
「それから、ますますその開発を進めていった。そして我々は、どうやってそれが使えないようにされてしまうのか、誰かがこれを止めようとする時にどうするか、どんな議論になるのかを考え、その反対のアプローチを取った」
「次に、他の誰かの議論がどうなるかということを考え、システムを作った。そして、そのいずれにも躓かないように作り上げたのだ」
FIAはメルセデスに対し、DASがレギュレーションで許された範囲内にあることを伝えた一方で、レッドブルはオーストラリアGPの際に抗議することを計画していた。
「DASのシステムに対しては、ルールの範囲内ではないという多くの反応がすぐに上がった」
そうオーウェンは語った。
「しかしほとんどの人は『ああ、大丈夫だ。それはおそらく、ルールの範囲内だろう。なぜこれまでなかったのだろうか?』と言う」
「なぜルールの範囲内ではないのか、それを見つけるための動きがある。しかしそれは、F1では普通のことだ」
オーウェン曰く、ファンは新しい”革新”を求めており、DASはそのひとつになったと考えているという。
「DASが証明したこと、それはF1には、そういった類の革新的なモノに対する渇望がまだまだ寄せられているということだ。ドライバーが突然、ステアリングホイールを他の人とは違う方向に動かし、予想外のことが起きるんだからね」
「おそらく、それが今のF1に足りないところだと思う。人々が話したり、ワクワクしたりすることができる、視覚的な革新だ」
「2020年のメルセデスには、素晴らしい革新的なモノがたくさんある。それらはレースをする上での優位性を担保するために重要なモノなので、話すわけにはいかない」
「しかしそのうちのひとつは、明らかに視覚的であり、多くの話題を生んだ」
「もしそういう話が生まれるポイントがもっとあれば、このスポーツにとっては良いことだと思う。そのことは、このスポーツに対してより多くの興味をもたらすことになるだろう」
Be part of Motorsport community
Join the conversationShare Or Save This Story
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
Top Comments