メルセデス、今季中にレッドブルに追いつくのは現実的じゃない……ウルフ代表「しかし我々は全力を尽くす」

　今シーズンのF1開幕2戦を終え、苦戦が続いているメルセデスのトト・ウルフ代表は、2戦連続1-2フィニッシュと圧倒的な強さのレッドブルとの差を今シーズン中に埋めるのは現実的ではないと語った。しかしその一方で、厳しい状況に置かれても、挑戦を止めるつもりはないと語った。

　2023年のレッドブルはシーズン開幕から圧倒的な強さと速さを発揮している。レースペースで言えば、ライバルたちを1周につき1秒以上引き離す、孤高の強さを発揮している。

　レッドブルはその強さをもってしても、今季のタイトルが確定的なわけではないと、慎重な見方を崩していない。しかしその一方でライバルたちは、短期的にレッドブルが築き上げたアドバンテージを崩すことができるとは考えていない。

　メルセデスも、現状の厳しい状況から脱却することを目指しており、今季マシンのW14をコンセプトから変更する可能性も示唆している。とはいえ、レッドブルを脅かすことができるようになるまでには、何ヵ月もかかる可能性があると認めている。

　今シーズン中にレッドブルに追いつくことができると信じているかと尋ねられたウルフ代表は、次のように語った。

「今年はまだ2レースを終えただけだ。しかしその差を考えると、それが現実的なことだろうか？　私はそうだとは思わない」

「しかし我々は、全力を尽くす。その結果、どうなるのか見たいと思っている。我々は昨年、ものすごくバウンシングするマシンで追いつくことができた。そしてそれは、ある意味で全てのことを覆い隠していたんだ」

「最終的に我々は、レースに勝利し、彼らに近付くことができた。そういう願望を持つ必要があると思う」

　メルセデスは、昨年マシンW13に、革新的なゼロポッドのコンセプトを採用。このコンセプトはトップに立つ上で十分なモノだとして、今シーズンもそれを踏襲した。しかし結果的には今年もパフォーマンスは優れず、ついにコンセプトを変更することを計画していると見られている。

　チームは5月に行なわれるエミリア・ロマーニャGPで最初の大規模アップデートを投入し、その後シーズン後半にもアップグレードを投入する予定だと見られている。

　ウルフ代表は、メルセデスがレッドブルに対抗できるパッケージを用意するまでには、最大1年かかる可能性があると示唆する。

「必要な時間は、おそらく6ヵ月から12ヵ月の間だと思う。なぜならそれは、昨年のマシンに何が起きたのかを理解するのに、実際にかかった時間だからだ」

「つまり、開発のスピードを2倍にするだけでいいんだ。より急速に開発を進める必要がある。論理的、合理的に考えればコンセプトが成熟していった場合、レッドブルのアドバンテージが徐々に小さくなっていくということを物語っている」

「風洞実験に充てられる時間が異なるのも、少しは役に立つ。しかし、それほど大きくはない。我々は自分たちの行動をまとめねばならない。そして、マシンのどの位置に置けばいいのか、それを理解していれば、そのステップは大きいモノになるだろう。とにかく僕らは、完璧である必要がある」