その差は25%。メルセデス代表、レッドブルへの空力ペナルティが「チャンピオンシップを接近させる」王座奪還の追い風に?
メルセデスのトト・ウルフ代表は、予算制限超過を犯したレッドブルへの空力試験制限によって「チャンピオンシップが接近する」と考えている。
George Russell, Mercedes W13, Max Verstappen, Red Bull Racing RB18
Red Bull Content Pool
2021年シーズンに予算制限を超過した罰則としてレッドブルには、700万ドル(約9億7700万円)の罰金に加え、来季の風洞と数値流体力学(CFD)における空力開発時間が10%削減されることとなった。
今季コンストラクターズタイトルを獲得したレッドブルに罰則が科されたことで、来季は後続がチャンピオンチームに接近するチャンスになると、ランキング3位となったメルセデスのトト・ウルフ代表は考えている。
F1競技規則の付則7第6条に定められている通り、前年度にタイトルを獲得したレッドブルは7位チームの70%。つまり、224回の空力試験が許可されるはずだった。ランキング2位のフェラーリは75%で240回、メルセデスは80%で256回の試験となるが、レッドブルは罰則により割り当て率が65%で202回の試験となった。
これによりメルセデスはレッドブルと比較して、27%多い空力開発時間を得られることとなった。
メルセデスは2021年にコンストラクターズチャンピオンシップで前人未踏の8連覇を達成したが、新技術規則が導入された2022年は3位に転落。来季は王座奪還に向けて挑むこととなるが、メルセデスのウルフ代表はレッドブルに科された空力試験制限が追い風となる可能性を指摘している。
”ディフェンディングチャンピオン”として2022年シーズンを迎えたメルセデス。空力開発時間に上限が設けられていたことで、挽回が難しくなっていたのではないか、そう尋ねられたウルフは次のように答えた。
「より早くに結果を出すために、より多く(時間を)投資できないから、状況は厳しくなる」
「しかし空力規則がどのように設計されているかを考えると、彼ら(レッドブル)は科されたペナルティによって風洞時間が25%少ないことで、それが影響を与える可能性があると思う」
「規則、空力テストに関する制約事項(ATR)が設けられたことで、上位勢と比較して大きくジャンプすることができる後方チームが存在することを意味している」
「だからこそ、将来的にチャンピオンシップがより接近したモノになるのだ。最後尾なら、40%多く使用できるからね」
「確実に、このアドバンテージを活かさなければならない。それを活かせるかって? それは誰にも分からないさ」
「彼ら(レッドブル)は素晴らしいレーシングチームだ。彼らにとっては、さらなるモチベーションになるだろうし、フェラーリに対しては7%差だ。でも、これは限界ギリギリの勝負で、シーズン終盤の4分の1は我々がフェラーリに少し近づいていたのだ」
Red Bull Racing wind tunnel
Photo by: Red Bull Content Pool
メルセデスは今季、シーズン序盤に発生したポーパシング/バウンシングの解決を巡り『W13』の開発が中断し、パフォーマンスという面では足踏みとなっていた。
しかし問題が解決されると急速にコース上での成績も右肩上がりとなり、サンパウロGPではジョージ・ラッセルがスプリントと決勝レースの両方を制した。
シーズン終盤の好調ぶりから、メルセデスが来季タイトル争いに加わる自信があるのではないか訊かれたウルフは、次のように答えた。
「決して自信がある訳ではない」
「私はグラスに半分”しか”残っていないと考える男なのだ。自分がやっている仕事が十分だとは信じていない」
「チャンピオンシップを争う位置にまで残れるかどうかは分からない。ライバルが強いということを認識する必要があるからね」
「しかし我々は目標を高く設定し、それを達成するために、全力を尽くすつもりだ」
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