F1メカ解説|メルセデスのアップデート、どこが変わった? 空力改善のため細部を微調整
F1イギリスGPに向けてアップデートを施してきたメルセデス。マシン付近の気流を改善するため、特にフロア近辺のパーツに変更を加えたようだ。


シルバーストンで行なわれるF1イギリスGPに向けて、メルセデスはいくつかのアップデートを施してきた。劇的な進歩とまではいかなくとも、ルイス・ハミルトンが初日を2番手で終えるなど前進した兆候が見られるメルセデス。そのアップデートの詳細を見ていこう。
今回のアップデートには、フロントサスペンション、サイドポッド、フロア、リヤウイング、ビブウイング(キールウイング)など、様々な箇所の変更が含まれている。
まずフロントサスペンションに関しては、プッシュロッドなどがシャシーと接する部分に厚みが持たされた。これはシャシーに向けて流れる空気のダウンウォッシュ(気流を下に流すこと)を促進する目的があるようで、「渦を発生させることでフロア下の気流を改善する」とのことだ。

Mercedes W13 detail
Photo by: Jonathan Noble
またサイドポッドの前方にある空力パーツの位置にも変更が加えられた。これにより、効率良くラジエターに空気を流すことができ、冷却効率を高めることに寄与しそうだ。
フロアの前方にあるウイングもサイズが大きくなり、キャンバーがつけられた。さらにフロアフェンスの角度も若干変わっており、これらによって圧力差も増加し、フロアの仕事量が増えること、ディフューザーに向けての気流が改善されることが目指されている。またフロア下の気流を改善するという点では、フロア前端にあるビブウイングにも改良が加えられている。
車両後方に目を向けると、リヤウイング先端の形状も異なっている。これはシルバーストン仕様となっており、ダウンフォースを落とし過ぎない程度に空気抵抗を減らすことを狙っている。

Mercedes W13 detail
Photo by: Jonathan Noble
このように各所に変更を施してきたメルセデス。ジョージ・ラッセルはレースウィークが始まる前に、このアップデートでレッドブルやフェラーリと肩を並べるようになることを期待していると話していた。特に今回のシルバーストンは路面がバンピーだった過去数レースとは違い、メルセデスが進歩を見せたカタルニア・サーキットと同じスムーズな路面であり、その点でも期待が持てると話していた。
実際、FP2ではハミルトンが2番手につけたが、高速コーナーではマシンが底付きするバウンシングがまだ解消されていない様子。とはいえハミルトンは「小さな一歩を踏み出したように感じる。作業を続けるしかない」と語っており、チームが少しずつ改善を果たしているという実感を口にしていた。

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