F1メカ解説|マシン搬入で”チラ見え”! メルセデスがスペインGPに持ち込んだアップデート
メルセデスは、F1スペインGPを重要な週末だと位置づけている。アップグレード導入によってマシンのポテンシャルを引き出すことを期待しているのだ。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
メルセデスは、今季のマシン『W13』のポテンシャルを解放するため、F1第6戦スペインGPにアップグレードを持ち込んだ。
スペインGPの舞台であるバルセロナは、プレシーズンテスト1回目の会場でもあったため、マシンをアップグレードするには理想的なイベントだ。特にメルセデスは、バルセロナでのテストでは使っていなかった”ゼロポッド”のコンセプトを今後も追求するべきなのか、判断するためのデータを、今回得ようとしている。
メルセデスはスペインGPを前にした水曜日(18日)、ポールリカールでPR活動用の動画を撮影するフィルミングデーを活用して走行を実施した。この際、チームはスペインGPでのアップグレード計画についてほとんど明らかにしなかったが、木曜日にジョージ・ラッセルのマシンを搬入する際に撮影された写真から、その内容が見えてきた。
Mercedes W13 double splitter winglet detail
Photo by: Uncredited
トランスポーターから降ろされるラッセルのマシンには、アストンマーチンやフェラーリ、レッドブルが導入している、キールウイングやビブウイングと呼ばれている空力パーツが導入されていることが分かる。
シャシー下面とビブ(フロア前端部)の間に、ウイングレット(上写真赤矢印)が張り出しているのだ。空力の専門家たちは、このエリアの気流をコントロールする手段としてこのウイングを活用している。
このウイングが生み出す渦流を活用して、ダウンフォースを生み出すベンチュリ・トンネルやその他のエリアに流れる気流を改善しようとしているのだ。
The Mercedes team unload a W13 in the pit lane
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
W13の大きな問題であるポーパシングへの対策だと見られる変更も確認できる。ラッセルのマシンに搭載されたフロアは、エッジのデザインが見直されているのだ。
鎌のような形状のフロアウイングが追加され、それが3ヵ所のメタルステーで固定されている。それに合わせて、フロアの形状も変更されている。
リヤタイヤ前方のエリアが複雑な3D形状で隆起している。これは、フロア下の気流をコントロールし、ポーパシングを抑制・解決するための変更だろう。
また、細かいところではフロントホイールディフレクターとリヤウイングにも工夫が見られる。前戦マイアミGPでは、スポンサーとのコラボレーションの一環でアートデザインが施されていた。
このエリアのカラーリングは単純に以前のモノに戻されているのではなく、カーボン地が露出している範囲がかなり大きくなっているのだ。フロントタイヤ上面を覆うように今季から導入されたディフレクターに入っていたラインも、無くなっているように見える。
これは、塗装を取り除くことでマシンを軽量化するための変更だ。大幅な重量削減になるわけではないが、多くのチームが今季マシンの重量過多に苦しんでいるのが現状で、少しでもマシンをダイエットするための苦肉の策だと言える。
Be part of Motorsport community
Join the conversationShare Or Save This Story
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
Top Comments