アンダーカット作戦が唯一のチャンスだった? メルセデス「ハミルトンの不満は分かるが……」
メルセデスF1はモナコGPでルイス・ハミルトンに、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)をアンダーカットする作戦を実行したが、これはうまくいかず7位でフィニッシュ。チームとしては、これが順位を上げる唯一の戦略だと考えていたようだ。
Lewis Hamilton, Mercedes W12
Charles Coates / Motorsport Images
長い歴史を誇る伝統の一戦、モナコGP。2年ぶりの開催となった2021年の同GPは、メルセデスにとっては厳しいレースとなった。
モナコGPでメルセデスは、FP1からFP3にかけて一度もトップタイムをマークしないまま予選に突入。バルテリ・ボッタスがなんとか3番手を確保したが、チームメイトのルイス・ハミルトンは7番手と、中団に留まる結果になった。
決勝レースではポールポジションのシャルル・ルクレール(フェラーリ)がマシントラブルでスタートできなかったこともあり、ハミルトンは6番手でレースを展開。29周目にタイヤ交換でピットインすることを選んだが、事態はハミルトンにとって厳しい方向へと移っていった。
このハミルトンのピットインは、ひとつ前の5番手を走行していたピエール・ガスリー(アルファタウリ)よりも早く新しいタイヤに交換することでポジションアップを目指す、いわゆるアンダーカットを狙ったものだ。当時のハミルトンは、ガスリーの直後に続きながらも、抜きあぐねる展開が続いていたのだ。
だがチームの目論見どおりには進まなかった。ハミルトンのピットインに反応したガスリーも次の周にピットインし、ハミルトンの前でコースに復帰。アンダーカットは成功しなかった。さらに悪いことに、その後ハミルトンは、タイヤ交換を遅らせたセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)とセルジオ・ペレス(レッドブル)によるオーバーカットを許してしまい、7番手に後退してしまったのだ。
ガスリーへのアンダーカットが成功しなかったこと、そしてさらにオーバーカットを許したことについて、ハミルトンは無線で不満をぶちまけていた。しかしチーム代表のトト・ウルフの説明によれば、アンダーカットを狙う作戦こそがベストなものだったという。
「私はアンダーカットこそが、我々の手の中にある唯一のチャンスだったと考えている」
ウルフ代表はmotorpsort.comにそう語った。
「タイヤが消耗してきていたのは分かっていたし、バルテリのマシンと同じようにタイヤは残っていなかった」
「彼とストラテジストの間ではいくつかのやりとりがあった。そしてアンダーカットの方がガスリーを抜くことができる、より大きな可能性があると感じていた」
「だがアンダーカットは成功しなかったんだ」
結局7位でフィニッシュしたハミルトンだが、終盤にはガスリーの後方をただ走ることに意味はないと見切りを付け、ファステストラップのボーナスポイント獲得を目指してピットイン。なんとかこれを達成し、1点をプラスした。
メルセデスのテクニカルディレクターであるジェームス・アリソンは「ハミルトンの不満の訳は理解できる」としつつも、チームとしてガスリーの後方に長く留まることを憂慮していたと、当時のタイミングでピットインを選んだことの理由を説明している。
「常に微妙なバランスでピットに呼び戻すが、今回我々は2つの選択肢の間違った方を選んでしまった」
「ルイスはまだ周回を重ねられるだけのタイヤを残していた。しかしガスリーもすぐにはピットに向かわなかった可能性もある。そして我々として恐れていたのは、ガスリーが“障害”としてずっと前に居ることだった」
「どちらにしろ良い選択肢は無かった。今日のような結果を防ぐためには、アンダーカットを成功させるしか無かったんだ」
「そして残念ながら、選択したアンダーカットも上手く機能しなかったことで、にっちもさっちもいかず、その後はベッテルとペレスに先行を許すことになった」
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