F1

ミカ・ハッキネンが明かす、1995年の生死をさまよう大事故と復帰への迷い「難しい決断だったよ……」

ミカ・ハッキネンは、1995年のオーストラリアGPでの命に関わる大事故の後、F1に復帰するという難しい決断について、当時の心境を明かした。

Lydia Mee

公開日時: 2026/08/12 3:25

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Mika Hakkinen

 2度のF1ワールドチャンピオンであるミカ・ハッキネンは、1995年のF1オーストラリアGPで生死をさまようクラッシュを喫した後、モータースポーツから身を引くことを真剣に考えていたと明かした。

 マクラーレンでチームメイトだったデビッド・クルサードとともに「Up To Speed」ポッドキャストに出演したハッキネンは、アデレードでの事故後に直面した精神的、身体的な苦難について詳しく語った。

 この年の最終戦だったオーストラリアGP予選で、タイヤのパンクに見舞われたハッキネンのマシンは宙に浮き、高速スピンを喫した末、ブルワリー・コーナー外側のタイヤバリアに激突した。

「横を向いた状態で、出口にある大きな縁石に乗り上げてクルマが宙に飛んだ瞬間、『これは大変なことになる』と分かった」

 そうハッキネンは当時を振り返った。

「クルマはまったく減速せず、バリアが遠くないことも分かっていた。ものすごい高速で、クルマが空中で回転していた」

「いつ壁にぶつかるのか分からないのが怖かった。普通、壁にぶつかるときはステアリングを思い切り握って、筋肉にも力を入れる。でも、その時はそれができなかった」

「手を動かそうとしても、脚を動かそうとしても、まったく動かなかった。『ああ、クソ』と思った。目の前に誰かが来て、『今はリラックスして、何もしないで、落ち着いていろ』と言った。そして、誰かが明かりを消した」

 

Mika Hakkinen

Mika Hakkinen

Photo by: Alexander Trienitz

 ハッキネンはこの事故で頭蓋骨骨折のほか、衝撃で舌を噛み切り、気道閉塞に見舞われた。F1の安全・医療デリゲートだったシド・ワトキンスと、医師のジェローム・コッキングス、スティーブ・ルイスが彼の命を救い、コッキングスはサーキットで緊急気管切開を行なった。ハッキネンはその後、およそ2ヵ月にわたって入院生活を送った。

「実際、最初に会いに来てくれたのはロン・デニス(当時のチーム代表)と(その妻の)リサ・デニスだった。最初に見えたのは、目の前にいたリサ・デニスだった。でも、あまりにも薬を投与されていたから、自分は天国にいるんだと思った」

「それから左を見ると、ロン・デニスが立っていた。だから、『ここは天国じゃないな』と思ったよ」

 ハッキネンは重傷を負ったにもかかわらず、事故からわずか数ヵ月後には復帰に向け、オフシーズンテストで再びF1マシンのステアリングを握っていた。しかしハッキネンは、復帰を決断することは決して簡単ではなかったと振り返る。

「この決断をする瞬間が、最も難しいもののひとつだったと思う。『人生を別の方向へ進めて、モーターレースのことは忘れよう』と簡単に考えることもできた」

「この決断は自分ひとりでしなければならない。そして人生の中で、いろいろなことを乗り越えなければならない。自分は人生に何を求めているのか? これからの人生はどうなるのか?」

「そういう疑問がずっと頭に浮かんでくる。『数ヵ月前には死にかけた。それでもまた同じ世界に戻りたいのか?』ってね」

 最終的には、恐怖を上回るほどの「走りたい」という情熱が、ハッキネンを復帰へと突き動かした。

「モーターレースやクルマを運転することは、とてつもない情熱なんだ。ものすごいスピードで、この信じられないようなF1マシンをコントロールする。そしてすべてがうまくいって、メカニックやエンジニアと素晴らしいチームワークができたときの感覚……」

「だから私は戻ることを決めた。若かったからなのか、エゴなのか、『自分ならできる』と証明したかったのか、それは分からない」

「復帰を決意したけれど、簡単な決断ではなかったよ。精神状態を整える必要があったんだ。事故の後、クルマに座った時、衝突への恐怖を考えないように心を落ち着かせなければならない。また事故は起こる。またクラッシュするだろう。でも、そのクラッシュを恐れてはいけないんだ」

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