
F1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブが若手ドライバーはシミュレーターによって安全な環境に慣れすぎていると批判したことに対し、ランド・ノリスが反論を展開した。
スパ・フランコルシャンで行われたF2のレース1で、アントワーヌ・ユベールが死去する痛ましい事故が発生した。
その後ベルギーの放送局であるRTBFの行ったインタビューの中で、F1チャンピオンのジャック・ビルヌーブは、若手ドライバーがシミュレーターを使う機会が増加していることで、アクシデントへの恐れを失っていると語った。
「若手ドライバーは(実車での)テストを行う代わりに、レースシミュレーターで1週間トレーニングしている」
「そしてトラックへと向かった際に、彼らは自分たちがまだ安全なシミュレーターの中にいると考えているんだ」
「シミュレーターはレースと同じストレスを生まないし、同じだけのアドレナリンはもたらさない。実際のレーストラックに赴いた時の危険性や、リスクの大きさの判断はシミュレーターと同じではないんだ」
しかしこうしたビルヌーブのコメントに対し、ランド・ノリス(マクラーレン)が反論を展開。彼はユベールの被ったアクシデントとシミュレータートレーニングの増加を関連付けることは“言い訳”だと語った。
「シミュレーションレースとは何の関係もないと思う」と、ビルヌーブのコメントについて訊かれたノリスは言う。
「彼は単にシミュレーターを言い訳に使いたいだけだと思うよ」
「安全性は彼がレースをしていたときと比較すると、より良くなっている。僕らはそれを完全に忘れているわけじゃない。何も気にせず全速力で走っているわけじゃないし、何が危険なのか、それは理解しているよ」
「全てがより安全になっているんだ。僕は週末に何が起こったのか完全に理解できてはいないけど、シミュレーターがどうたらといったことについては話したくないね。ただそれでも、シミュレーターが馬鹿げたモノだったり、危険なモノではないということについては、僕は確信を持っている」
「小さい事がかなりの大事になっていると思う。(ユベールの死について)若さや、恐れ知らずだとか、恐怖心の欠如だとかが理由だとは思わない。不運だったんだ。そういうことさ」
5度のF1チャンピオンであるルイス・ハミルトンもまた、ビルヌーブの批判を否定。シミュレーターは若手ドライバーの考え方における要因ではないと述べた。
「たくさんある個々の意見それぞれに賛同はできない。僕は誰が何を言っているのか知らないんだ」
ビルヌーブのコメントについて意見を求められたハミルトンはそう語っている。
「僕は、その(ビルヌーブの)意見は聞いていない」
「ただ、シミュレーターが事故に関係しているかということについては、僕はそうは思っていない。子ども達は順調に進んでいると思うよ。例えばスキー場に小さい子供がいるのを見るだろうけど、彼らは恐れを抱いていない。そしてそれは僕らドライバーも同じだ。年齢がどうであろうともね」
「歳を取るにつれて恐怖心が潜まって行くのは確かだ。だがシミュレーターは怖がらせるためのものではない。だからそういった意見には同意できない」
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この記事について
シリーズ | F1 |
ドライバー | ランド ノリス |
執筆者 | Jonathan Noble |