ノリスのアンダーカットが、ルクレールの”追い風”に? フェラーリの1ストップ戦略の成否を左右したタイヤの使い方
フェラーリのシャルル・ルクレールは、F1イタリアGPでランド・ノリスより1周遅くピットインしたことで激怒したが、これが逆に勝利につながったかもしれない。
Lando Norris, McLaren MCL38, makes a pit stop
写真:: Steven Tee / Motorsport Images
フェラーリは、F1イタリアGPでシャルル・ルクレールがランド・ノリス(マクラーレン)にアンダーカットされたことで、逆に優勝するチャンスが増したのではないかと考えている。
イタリアGPをポールポジションからスタートしたノリスは、チームメイトのオスカー・ピアストリにオープニングラップの第2シケインで抜かれたばかりか、ルクレールにも追い抜きを許し3番手に後退した。
ポジションを挽回すべく15周目、上位陣の中で最初にピットインしたノリスは、ルクレールをアンダーカット。2番手を取り戻した。
一方のルクレールにはステイアウトするという戦略もあったものの、チームはノリスの1周あとにピットへ呼び戻した。この判断にルクレールは「あれは何だったんだ? なぜピットインしたんだ?」と不満を訴えていた。
このピットイン判断について、チームのフレデリック・バスール代表は、マクラーレンと同じような戦略を採ることを選んだという。その理由として「我々はその段階でタイヤに関してアドバンテージがあるという感触があったからだ」と説明した。
そしてそのアドバンテージは非常に大きく、ルクレールとチームメイトのカルロス・サインツJr.は1ストップでレースを走り切ることに成功。サインツJr.は4位となったが、ルクレールは逃げ切り、チームのホームレースで見事な優勝を飾った。
しかしフェラーリはレースを振り返り、ノリスにアンダーカットされ、ポジションを落とすことが分かっていたことから、ルクレールはアウトラップをフラットアウトでプッシュする必要がなくなり、ハードタイヤの温度を徐々に上げることができた。これが1ストップ作戦を可能にした重要な要素だったという。
「戦略上、1ストップがベストなのは明らかだったが、(タイヤを履き替えたあと)最初の2、3周はオーバープッシュしないよう、ゆっくり入る必要があった」
そうバスール代表は語った。
「ポジションを落とし、戦わなかったことでハードタイヤの第2スティントでよりよい入り方が出来たのは事実だ」
「最初の2、3周は本当にコントロールできていた。彼はかなりマネジメントしていた。それがレース終盤で実を結んだんだ」
Team members of Scuderia Ferrari celebrate at Charles Leclerc, Ferrari SF-24, 1st position, crosses the finish line
Photo by: Simon Galloway / Motorsport Images
第1スティントでサインツJr.は、「彼らは最後まで走り切るのに苦労しそうだ」と語っていたが、マクラーレンのタイヤ摩耗は激しく、2ストップ戦略を採ったことでその正しさが証明された。
ピレリのモータースポーツ・ディレクターであるマリオ・イゾラによると、レース前にチームが警戒していたタイヤのグリップを低下させるグレイニング(ささくれ摩耗)現象を回避するためには、スティントの最初にタイヤをケアすることがカギになったという。
「金曜日のロングランで何が起きたのかを見てみると、タイヤを穏やかに使い始めたドライバーのデグラデーションが、はるかに低くなっていたんだ。一方で、1周目からプッシュしたドライバーのデグラデーションは大きかった」
「レース中にそういうマネジメントをするのは難しい。なぜならコース上でポジションを守るためには、あまりスローダウンできないからだ」
「ただあまりスローダウンする必要はないんだ。グレイニングが始まるのを避けるためには、フロントもしくはリヤに過度なストレスがかからないよう、注意すればいい。ただフェラーリはハードコンパウンドを履いた最初の数周をうまく使っていたため、最後までタイヤが持ちこたえたのだと思う」
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