タイヤトラブル続発のイギリスGP。ピレリは”あらゆる可能性”を除外せず調査へ
ピレリは、F1イギリスGP終盤にタイヤが相次いで故障したことを受け、全方位的に調査を行なうとしている。
写真:: Andy Hone / Motorsport Images
F1イギリスGP終盤、メルセデスのルイス・ハミルトン、バルテリ・ボッタス、マクラーレンのカルロス・サインツJr.が相次いでタイヤトラブルに見舞われた。
3人とも、左フロントタイヤが壊れたためスロー走行。ファイナルラップでトラブルが発生したハミルトンはそのままフィニッシュを目指し、なんとか優勝を果たしたものの、2番手を走っていたボッタス、5番手を走っていたサインツJr.はピットインを余儀なくされ、ノーポイントに終わった。
ピレリのカーレーシング責任者であるマリオ・イゾラは、トラブルの原因はまだはっきりしていないとしながらも、コース上のデブリが影響している可能性があると示唆した。レース終盤には、キミ・ライコネン(アルファロメオ)がフロントウイングにダメージを負って走行していたシーンもあったのだ。
レース展開としては、ダニール・クビアト(アルファタウリ)がクラッシュしたことにより、セーフティカーが出動。ほとんどのマシンがこのタイミングに合わせ、12~13周目にピットインしてハードタイヤを装着し、そのままフィニッシュを目指す形となった。ドライバーたちは、予想されていたよりも長い距離をハードタイヤで走ることになったのだ。なお、ロマン・グロージャン(ハース)はこのタイミングでピットインせず、36周までミディアムタイヤで走行を続けた。
「言うまでもなく、我々は最後の数周で何が起こったのかを調査する」
そうイゾラは語った。
「結論を出すのは時期尚早だ。確かにこのサーキットで38周かそれ以上走行したら、タイヤの摩耗は激しいが、摩耗が問題の原因だとは言っていない」
「デブリが原因の可能性もある。キミのフロントウイングの一部がコース上にあっただけでなく、他のデブリもあったためだ。そのため、トラブルが起きたタイヤだけでなく、レース最後の数周で使用されたすべてのタイヤを調査して、他のカットがあったタイヤがないか、何か他の兆候が出ているタイヤがないか調べたいと考えている」
「我々はいかなる可能性も除外したくないし、360度すべての方向から分析をしたい。こうした調査をする時に、何かを決めつけるのは大きな間違いだ。我々はすべての可能性を考慮しなければならない」
「我々にできるのは、レースで使われたタイヤを分析し、構造的に過度のストレスを受けたものなどがないか理解することだが、それも調査のひとつだ」
イゾラは、タイヤの摩耗が進めば構造的にも脆弱になると強調した。
「摩耗のレベルとはとても高く、それも要素のひとつだ。グロージャンが第1スティントで履いたタイヤを見ると、完全に摩耗していた。第2スティントで使われた他のドライバーのタイヤもいくつか見たが、摩耗のレベルは100%に近かった」
「次に、これがトラブルの原因なのかどうかを理解する必要がある。明らかなのは、タイヤが完全に摩耗してしまった場合、構造上トレッドによる保護が少なくなるということだ。したがって、小さなカーボンの破片などのデブリがコース上にあり、タイヤの構造を覆うゴムが少なければ、ダメージを受けやすくなってしまう。私が摩耗のレベルが100%に近かったと言ったのはそういう理由があるからだ」
シルバーストン・サーキットでは、1週間後にF1 70周年記念GPとしてまたレースが再開される。この際に持ち込まれるタイヤは、今回のレースより1段階柔らかくなる予定だ。
イゾラは、次のレースまでに答えを出す必要があると認め、ハミルトンのタイヤの調査にすぐにとりかかるという。
「我々は、ここにある自分たちのラボでいくつかの分析を行なう可能性がある」
「1週間も経たないうちに次のレースが行なわれるため、調査を続ける時間がないことは明らかだ。だから、できるだけ早く結論を出さなくてはならない。目標は月曜、遅くとも火曜日までにより完全な何かをつかむことだ。それが計画だ」
「トラックではできないテストを実行する必要がある場合、我々のテスト施設や研究所があるミラノにバンを走らせる。より多くのテストを行なうことができるんだ。しかし、我々はトラックにあるラボから、いくつか良い兆候を得ることができると確信している」
また、イゾラは次戦に持ち込むタイヤのコンパウンドを考え直す必要はないと考えている。
「現時点ではクエスチョンマークがたくさんあり、問題の原因が何なのかに応じて、適切に対応する必要がある」
「しかし、反応が変わる可能性もある。例えば摩耗については、今回使用したタイヤと同じコンパウンドを使っても、より柔らかいコンパウンドを使ったとしても、それぞれのタイヤの最大周回数はマシンによって異なるんだ」
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