ピレリ、F1アゼルバイジャン初日終了後にタイヤの空気圧を引き上げ。勢力図への影響はあるのか?

F1のタイヤサプライヤーであるピレリは、アゼルバイジャンGP初日を終えてタイヤへの負荷が予想以上に大きいことが発覚したため、リヤタイヤの最低空気圧を引き上げた。

ピレリ、F1アゼルバイジャン初日終了後にタイヤの空気圧を引き上げ。勢力図への影響はあるのか?

 F1の全チームにタイヤを供給するピレリは、各グランプリの初日終了後にタイヤ空気圧を変更する権利を有している。そしてピレリは今回のアゼルバイジャンGPでも、初日を終えてリヤタイヤの最低空気圧を19psiから20psiに引き上げたが、これはここまでタイヤマネジメントに苦しんでいるチームにとってはまさかの出来事だっただろう。

 各チームは初日の走行を終えた段階で収集したデータに基づいて、マシンを最適化するために夜遅くまで作業を行なってきたはずだ。しかし今回空気圧が変更されたことにより、データに予想外の変数が生まれてしまい、それに対応しなければいけなくなった。

 今回ピレリが空気圧の変更に踏み切ったことには、2019年に行なわれた前回大会とは、持ち込まれたタイヤコンパウンドが異なるということが関係している。硬い順からC1〜C5と5種類あるコンパウンドのうち、2019年に使用されたのはC2(ハード)、C3(ミディアム)、C4(ソフト)。しかし今回はC3(ハード)、C4(ミディアム)、C5(ソフト)となっており、一段階柔らかくなっているのだ(ただ今季は、ダウンフォースの増加に伴い、構造が強化されているため、まったく同じタイヤというわけではない)。

 ピレリのF1責任者であるマリオ・イゾラがmotorsport.comに語ったところによると、初日の走行で得たタイヤ負荷に関するテレメトリーデータが事前のシミュレーションで弾き出された数値よりも大きかったため、空気圧を微調整しなければならなかったようだ。

「我々のシステムでは速度だけでなく、荷重、キャンバー、コーナーなどあらゆる要素で方程式を作り上げている」とイゾラは言う。

「各チームのテレメトリーから分かったのは、タイヤへの負荷が大きいということだ。タイヤにかかる本当の負荷を判断するには実際のデータが必要であり、それがなければシミュレーションのみに頼らなければいけなくなる」

 ここまでを走行を経て各チームは、今回ソフトタイヤに割り当てられているC5タイヤをレースで使うのは難しいと考えているようだ。そのため上位陣は、C4タイヤ(ミディアムタイヤ)でQ2を突破し、それをスタートタイヤとすることが重要になってくる可能性がある。メルセデスとアルファタウリに関しては、C3タイヤ(ハードタイヤ)を2セット残した状態で予選を迎えることになるため、もしかしたらミディアムを飛び越して、ハードタイヤでのQ2突破を目指す可能性すらあるようにも思える。

 ピレリは、トラックポジションやトラフィックなど様々な要素を考慮した結果、今回のレースでは1ストップ戦略が主流になると予想している。

「3つのコンパウンド全てが(2019年より)1段階柔らかくなっている」とイゾラ。

「2019年はC2、C3、C4を使用した。C2をレース中に使った者はおらず、C3とC4を使った1ストップ作戦(が主流)となったが、今年はそれらふたつのタイヤがそれぞれハード、ミディアムに割り当てられている。したがって私は、C5はレースにほんの少し戦略的な選択肢を与えるだけ存在だと思っている」

「予想されている数値を見ると、おそらくC3(ハード)とC4(ミディアム)、C3(ハード)とC5(ソフト)での1ストップになると思う。2年前のレースを振り返っても、この選択は理に適っていると思う。2ストップを選んだ場合、1ストップよりも遅くなる」

「もちろんセーフティカーが入ると全てが変わってしまう。それは明らかだ。しかしセーフティカーが出ずに、レースの中断も起きない通常の状況では、1ストップが基本的な戦略だと思っている」

「ピットレーンでのロスタイムは21秒と推定されている。つまりピットレーンでのロスよりも、トラフィックによるロスが大きいということだ。もちろんデグラデーション(性能劣化)やオーバーヒートの程度にもよるがね」

 またイゾラは、バクー市街地コースは他のサーキットと比べてタイヤの面で特殊な厳しさがあると語る。特にターン16を立ち上がってからターン1まで長い全開区間が続くため、その間にタイヤが冷えてしまってターン1のブレーキングでロックアップしやすくなるのだ。

「このサーキットは少し厄介だ」

「最も難しいのは、フロントアクスルとリヤアクスルのバランスを取ることだ。ほとんどのコーナーが90度コーナーであり、リヤのトラクションが求められる。つまりリヤタイヤにエネルギーが加わる」

「そしてロングストレートがあるので、特にフロントタイヤがかなり冷える。そのためストレートエンドでフロントがロックしてしまうのだ。フロントタイヤの温度を適切に保つことは、今回のセットアップにおいて最も重要だ」

「前回より柔らかいタイヤにしたことは、ウォームアップという点では役に立った。しかしバランスという点では役に立っていないだろう。だから彼らはそういった問題を回避しないといけない。その結果より多くのアクションが見られることを期待している」

 さらにバクーでは、日の当たるエリアと日陰のエリアがあり、コース全体で路面温度が安定しないため、それもドライバーを苦しめるとイゾラは付け加えた。

「我々は2年前と比べて1ヵ月早くバクーにやってきたが、とても暖かい気候で、路面温度は50度くらいになる。しかし旧市街のエリアに行くと、コースの全てが太陽に照らされているというわけではない」

「つまりメインストレートが太陽に照らされている一方で、反対側は日陰になっている時もある。路面温度の差は20度に及ぶ時もあるため、そのあたりは考慮すべきだろう」

 

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