新タイヤにドライバーら”がっかり”。しかしピレリ「違いを感じられたのは良いこと」
F1アメリカGPの初日に各ドライバーに2セットずつ供給された、2020年仕様テストタイヤ。ドライバーたちはこのパフォーマンスに疑問を呈したが、そういう評価になった理由をピレリのマリオ・イゾラが説明した。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
F1アメリカGPの初日、各ドライバーに2セットずつ、2020年仕様のプロトタイプタイヤが供給された。このタイヤは、C4コンパウンドに相当するもの。フリー走行1回目、2回目いずれのセッションでも使うことができたが、多くのドライバーが午前中のFP1で使用することになった。
今回の走行の目的は、今季最終戦の後にアブダビで行われる合同テストを前に、新たな構造のタイヤを試すチャンスを各ドライバーに与えることにあった。しかしアメリカGPのFP1は気温が低く、さらに路面も出来上がっていない状況だったため、一部のドライバーは「グリップ不足だ」と新タイヤを評価した。
ピレリ曰く、この新タイヤはピークのグリップは今よりも低いという。さらに、いずれのチームもマシンのセッティングを新構造に合わせていなかったため、ドライバーが快適に感じないとは当然だとも語った。
「あんまり感触は良くなかった」
ルノーのニコ・ヒュルケンベルグはそう語った。
「しかし、それがタイヤのせいだったのかどうかは分からない。奇妙な走行だったし、ちょっと難しかった。そしてバランスは完全に異なっていたから、難しかったんだ。グリップは少なかったけど、フロントもリヤのグリップも足りなかったんだ。メインのタイヤになりそうには思えなかった」
「あまり生産的ではなかった」と語るのは、マクラーレンのカルロス・サインツJr.だ。
「そのタイヤは非常に奇妙な感触で、とても悪いように感じたんだ」
フェラーリのセバスチャン・ベッテルも、新タイヤについて次のように語った。
「前進した部分がなかったから、失望したと思う。しかし、このタイヤは来年に向けて作られたものだから、そうなるんだろう」
ベッテルのチームメイトであるシャルル・ルクレールも、テストタイヤについて、評価を下すには慎重な構えだ。
「正直に言うと、今よりももっと難しいコンパウンドのように感じる」
そうルクレールは語る。
「だから、今よりも滑っていたんだ。でも正直に言えば、判断を下す前に、もう少し走行距離を稼ぐ必要があるはずだ」
ハースのロマン・グロージャンは、今のタイヤとあまり変わらないように感じたと言う。
「ステッカーがサイドウォールに貼られていても、違いは分からなかったはずだ」
そうグロージャンは語る。
「僕らは午前中に、2セットのプロトタイプを使った。良いチェックができたよ。でも、今よりも良いところは特になかった。そういう面では少しがっかりした」
メルセデスのルイス・ハミルトンは、明確にコメントすることを避けた。
「まだ我慢しなきゃいけない。現時点では、あまり言うつもりはないよ」
ピレリのモータースポーツ部門のトップであるマリオ・イゾラは、チームは今週末のレースに集中していたため、タイヤに合わせたセットアップを試せなかったことが、ドライバーが厳しい評価を下した理由だと語る。
「残念ながら、典型的なコンディションではなかった」
イゾラはそう語った。
「従って、パフォーマンスのレベルについて、データを分析して理解する必要がある」
「最初のフィーリングはピークのグリップがわずかに少なく、そしてそのグリップが安定して出せるということだった。それが、我々の求めているものだ」
「しかし金曜日のフリー走行では、各チームが今週末のことに集中する必要があるということを考慮しなければいけない。2020年用のタイヤをテストするのに、あまり時間をかけることはできないんだ。だから、マシンのセットアップを新しい構造に合わせる時間はなかった」
「今のタイヤとは完全に異なるモノだ。外形も異なる。そのため、構造もこれまでとは異なる形で機能している。そしてそれをうまく使うためには、少しセットアップを変える必要があるのだ。しかし少なくとも、彼らが今日行った比較によって、彼らはアブダビで何が期待できるのかを知ることになり、それに向かって取り組むことができるはずだ。つまり、彼らはアブダビでのテストに役立つデータを収集できたと確信している」
「これまでの開発テストは、すべてブラインドテストとして行われた。バルセロナでテストを担当した3つのチームは、どのタイヤが選ばれたのかを知らなかったはずだ。そして今では、全てのチームが新しいパッケージの感触を知ることになった。結果として、彼らはアブダビに向けて、より良い形で準備することができるはずだ」
イゾラ曰く、否定的なコメントが多かったことは、問題ないと語る。
「彼らが何か違うと感じたことは、驚くことではない。より良い言い方をすれば、異なるタイヤの開発に取り組んだため、彼らが違いを感じたのは良いことだ」
「彼らが現在のモノと新しいモノの違いを見つけたということは、ポジティブなことだと言うべきだろう。次のステップは、新しいタイヤの性能を活用するために、新しいマシンを設計し、その新しいマシンを最適化し、それをチューニングすることだ」
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