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持ち込みタイヤが柔らかくなるシルバーストン2戦目……パンクのリスク増には繋がらない?

ピレリのマリオ・イゾラは、先週末のF1イギリスGPでタイヤ関連のトラブルが多発したものの、1段階柔らかいタイヤが持ち込まれるF1 70周年記念GPではそれ以上の問題が生じる可能性は少ないと考えている。

Valtteri Bottas, Mercedes F1 W11, heads into the pits with a puncture

Valtteri Bottas, Mercedes F1 W11, heads into the pits with a puncture

Mark Sutton / Motorsport Images

 先日シルバーストン・サーキットで行なわれたF1イギリスGP。その決勝レース終盤で、メルセデスのルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタス、さらにマクラーレンのカルロス・サインツJr.が左フロントタイヤのパンクに見舞われた。これによりボッタスとサインツJr.は大きくポジションを落とした。ハミルトンは最終ラップでのトラブルだったこともあり、なんとかそのまま首位のポジションを守ったままトップチェッカーを受けた。

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 ピレリの調査によれば、レース序盤にセーフティカーが出動した際に各車がピットストップを済ませ、そのタイヤで想定以上の距離を走ろうとしたことが原因だったと見られている。

 今週末には、イギリスGPと同じシルバーストン・サーキットで、F1 70周年記念GPが開催されることになっている。しかし、持ち込まれるタイヤは、イギリスGPの際と比較して1段階柔らかい組み合わせ。前回以上にパンクなどのトラブルが懸念されるのではないかとの見方もある。これに対応するため、最低内圧がフロントは2psi、リヤは1psiそれぞれ引き上げられることが決まっている。

 ピレリのカーレーシング責任者であるマリオ・イゾラは、コンパウンドが柔らかくなることでリスクが高まる可能性はないと語った。

「調査によると、最初の圧力損失、そしてその後空気が抜けていったのは、タイヤ、そしてタイヤの構造にかかるストレスレベルが原因だった」

 そうイゾラは語った。

「そのため、我々が次のレースに向けて取った対策は、内圧を高めることだ。それは明らかに、構造を助けることに繋がる」

「そして、数週間前に決まっているC2、C3、C4のコンパウンドを、そのまま使う予定だ。トレッドのコンパウンドは、タイヤに起きたことについて影響を与えていない。”最悪の状況だった”とは言いたくないが、12周目にセーフティカーが出たという事実は、全員が12周目にタイヤを交換するということを明らかに後押しした。通常の状況なら、最適な戦略は、18〜20周目にタイヤを交換し、1ストップで走りきるというモノだった」

「セーフティカーの後方を走っている時には、タイヤの内圧は低下してしまう。そして、セーフティカーランからのリスタート時には、内圧が高まる傾向にある。非常に速いコーナーがあり、タイヤへの入力も大きくなるんだ。我々の推定に応じて推奨を伝える時、我々はそれらをすべて考慮する。そしてテレメトリーのデータからすれば、エネルギーのレベルが非常に高いことが確認された」

「つまり、セーフティカーの出動と、長い距離を走ることになったこと、そしてトレッド面が少ない構造では、タイヤを保護するには不十分であり、最初に内圧が失われた。そしてその内圧が下がったことによって、空気が抜けてしまったのだ」

「タイヤを見ると、両方のサイドウォールは正しい位置にあったのに、トレッドリングが壊れていた。これは空気が抜けた状態で走った際の典型的な状況だ」

 とはいえイゾラは、コンパウンドが全体的に柔らかくなることで、各チームは自動的にスティントの長さを短く設定し、複数回のピットストップを行なうことになるだろうと語った。

「1段階柔らかいコンパウンドになるため、スティントの長さは当然短くなるものと信じている」

 そうイゾラは語った。

「今週末のミディアムタイヤの状況を考えて欲しい。36周もの距離を走ったのは、(ロマン)グロージャン(ハース)だけだった。彼はそのタイヤを完全に使い切った。だから、週末に30周以上走れると信じるのは、難しいだろう」

 イゾラは、多くのマシンにはタイヤにカットされた兆候があったことを認めたが、メルセデスやマクラーレンのようなパンクにはつながらなかった。レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表も、レース終盤にピットストップを行なったマックス・フェルスタッペンのタイヤにも切り込みが入っていたことを認め、もしそのピットストップを行なっていなければ、メルセデス勢同様にパンクに見舞われた可能性もあったと示唆した。

「多くの切り込みがあったのは事実だ。表面的なモノもあれば、非常に深いモノもあった」

 そうイゾラは語った。

「特に2番目のスティントで履かれたタイヤには、多くの切り込みが確認された。キミ・ライコネン(アルファロメオ)がコース上に落としたフロントウイングのパーツが、その切り込みの主な原因だっただろうと思う」

「1本のタイヤのことをよく覚えている。それは、(ニコラス)ラティフィ(ウイリアムズ)の左フロントタイヤだ。そのタイヤもパンクしていた。パルクフェルメに戻ってきた時、彼のタイヤはまだ空気が抜けている途中だった。コース上にデブリが落ちていたのは確認したし、タイヤにはいくつかの切り傷もあった。また、最初のスティントで使われたタイヤにも、切り傷があった。これはおそらく、クビアトの事故によるモノだろう。しかし私は、この切り傷が、メルセデス勢とカルロス・サインツJr.のタイヤに起きたことの原因にはならなかったという結論に達したと思う」

「摩耗のレベルは全体的に高かった。ほとんどのタイヤが、100%近い摩耗だったのは明らかだ。トレッドのゴムがなくなってしまうと、構造が露出し、それを保護する力が弱まり、そして別の影響に繋がる。またデブリは、構造を切断して故障の原因となる可能性があるため、さらに危険だ」

「しかしマックスのタイヤに存在した切り傷が、追加のピットストップをしなかった場合に、彼をリタイアさせるのに十分な大きさだったかどうか、それを断言するのは難しいと思う」

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