F1、マシンの最低重量めぐって”静かな攻防”も798kgで据え置き。一部チームの思惑外れる
2023年にF1マシンの最低重量を2kg減らすという計画は、一部のチームの希望に反して、取り下げられることになった。
2023年のF1マシンの最低重量に関しては、チームの思惑もあって不透明な状況が続いていたが、2022年と同じく798kgで据え置かれることとなった。
そもそも2022年に導入されたレギュレーションでは、マシンの最低重量は795kgと定められていた。しかし、テスト中に確認されたポーパシングに対処するため、フロアを補強したりステーを追加することが考慮され、車両重量が3kg増加されたのだ。
昨年6月に発表された2023年の技術規則では、この車両重量を796kgまで戻すことが意図されていた。しかし、その後に行なわれたFIAの技術諮問委員会の会合で2023年も798kgの最低重量を維持することが合意された。
本来、このためのレギュレーション変更は簡単にできるはずだったのだが、手続き上の不手際で見逃されてしまったようだ。FIAのWEBサイトから2023年の技術規則を見ると、12月7日に出された第4版の時点でも最低重量について796kgとすると定められている。
そこでFIAは、8チームの同意が必要となるガバナンス・プロセスを利用してレギュレーションを変更し、マシンの最低重量を当初発表された796kgではなく、798kgに留めることにしたのだ。
この動きはチームから十分な支持を得ていたはずだったが、その後一部のチームが考えを変え、それを拒否したことが分かっている。
これはおそらく、チームが2023年のマシンを開発する中でより低いリミット(796kg)に近づくことで競争上のアドバンテージが得られるのではないかと考えたからだと思われる。
しかしレギュレーションでは、タイヤの構造変更で前シーズンのタイヤより重くなった場合、マシンの最低重量を変更することができるようになっている。ピレリは今季、アンダーステアに対処した新しいタイヤを投入する予定なのだ。
技術規則の第4.3条は、ドライタイヤについて前年に使われたセットと重量に差がある場合、その差に応じてマシンの最低重量を「増減する(1kg未満四捨五入)」と定めているのである。
このような変更にはチームによる投票が必要ないため、FIAはこの条文を利用して、2023年マシンの最低重量を798kgのまま維持することができたようだ。
ただタイヤ重量の増加の他にも、FIAが義務付けた新しい電子機器のボックスを各車に搭載しなければならないため、約0.4kg重量が増加すると考えられている。
つまりその分、チームは他の部分で軽量化をしなければならなくなったため、2022年と比べてチームが最低重量をクリアするのはより難しくなっている。
あるチームのテクニカルディレクターは「最低重量は全く同じだが、物理的にパーツが重くなる」とmotorsport.comに語った。
「タイヤはより重くなり、新しいボックスもある」
「実際に、我々がコントロールできない重量は増えている。だから、チームがすでに重量制限に達していたとしても、1.5kgかそこらに相当するモノを見つけなければならない」
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