フェルスタッペンのグリッド降格に繋がったカタールGP予選の黄旗。F1レースディレクター「掲出は正しかった」
FIAのF1レースディレクターであるマイケル・マシは、F1カタールGPの予選Q3で、ピエール・ガスリー(アルファタウリ)がマシンにダメージを負いスローダウンしたことで出されたイエローフラッグは、正しい判断だったと改めて語る。
写真:: Jerry Andre / Motorsport Images
F1カタールGPの予選Q3では、コース後半のターン15で、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが、縁石に乗り上げたことでフロントウイングを壊し、さらにその破片によって右フロントタイヤが切り裂かれてしまった。
ガスリーはこれでスローダウン。コース上にはイエローフラッグが振られ、さらにその後、イエローフラッグの2本振動に切り替えられた。
なおイエローフラッグ1本が振られた場合は、以下のように規定されている。
『速度を落とし、追い越しをしないこと。進路変更する準備をせよ。トラックわき、あるいはトラック上の一部に危険箇所がある。ドライバーがスピードを落としたことが明らかでなければならない。これは、ドライバーが、手前で制動したこと、および/またはそのセクターで速度を著しく落としたことを意味する』
またイエローフラッグ2本が振られた場合は、以下のように規定されている。
『速度を大幅に落とし、追い越しをしないこと。進路変更する、あるいは停止する準備をせよ。トラックが全面的または部分的に塞がれているような危険箇所がある、および/あるいはマーシャルがトラック上あるいは脇で作業中である。フリー走行および予選中は、ドライバーが有意義なラップタイムを達成しようとしていないことが明らかでなければならない。これは、ドライバーが当該ラップを放棄するべきであることを意味する』
(いずれも、JAF発行の「国際モータースポーツ競技規則 付則H項2.5.2条 日本語訳より抜粋)
レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンとメルセデスのバルテリ・ボッタスは、このイエローフラッグを無視したとして、フェルスタッペンには5グリッド、ボッタスには3グリッドの降格ペナルティが科された。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、イエローフラッグを掲げたマーシャルの動きは”不正”だったと非難。この発言により、FIAから戒告処分を受けることになった。一方でF1レースディレクターのマイケル・マシは、マーシャルは自らの義務をしっかりと果たしただけだと改めて主張した。
「現場の人たちがしたことだと思う。彼らは、目の前で起きている状況にしっかりと反応した」
そうマシは語った。
「そこに何があり、何が起きているか、そしてピエールが行なったことを見てみると、彼らは目の前で起きたことに、本能に基づいて行動したのだ」
マシはイエローフラッグ掲出の手順について、次のように説明した。
「コースサイドで掲出される全てのイエローフラッグは、すべてマーシャルのコントロール下にある。彼らはこのスポーツでは、サーキットのあらゆる所にいる」
「そしてそのイエローフラッグが1本なのか、あるいは2本なのか、その決定はそれらのマーシャル次第だ。そして彼らは、彼らが目の前で見たことを判断する。それが、彼らがそこにいる理由だ」
「マーシャルは、イエローフラッグを操作する。彼らは常にそれを手にしている。ライトパネルのシステムを使い始めた後は、そのライトパネルも同様だ」
「実際にマーシャルが操作していないのは、コントロールタワーで集中管理されているセーフティカー、バーチャルセーフティカー、レッドフラッグなどだ。それ以外は、マーシャルが運営を担当している」
マシはセッション後、どのドライバーがイエローフラッグを遵守していなかったのか、確認するのに時間がかかったと語った。最終的にフェルスタッペンとボッタスの他、カルロス・サインツJr.(フェラーリ)がスチュワード召喚されたが、サインツJr.にはペナルティが科されなかった。
「それぞれの視点から、マシンがコース上のどこにあったのかを確認するため、トップ10の全てのマシンの映像を見た。それが、私がやったことだ。そして、データなども調べた。それには明らかに時間がかかる」
「そうした情報を手にした後、誰が何をしたのか、何が表示されたのか、何が表示されていなかったのかなどを判断した。そしてそれをスチュワードに報告し、彼ら(3人のドライバー)が召喚されることになったのだ」
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