F1トルコ決勝:ボッタス今季初優勝で美酒に酔う。”ホンダカラー”のレッドブルは2-3位。角田は14位
F1第16戦トルコGPが行なわれ、バルテリ・ボッタス(メルセデス)がレースを支配し勝利を手にした。
Race winner Valtteri Bottas, Mercedes W12
Mark Sutton / Motorsport Images
F1第16戦トルコGPの決勝レースが行なわれ、バルテリ・ボッタス(メルセデス)が勝利を手にした。
アジアとヨーロッパを結ぶトルコのイスタンブール・パークで行なわれるトルコGP。新型コロナウイルスにより中止となった日本GPの代替戦として、2年連続でF1カレンダーに加わった。昨年は2011年ぶりのグランプリ開催ということで、開催直前に路面を再舗装。アスファルトから浮き出したオイルと降雨により、スピンするドライバーが相次いだ。
昨年に引き続き、今年も雨絡みのレース週末となった。金曜日はドライコンディションだったものの、土曜日のフリー走行3回目ではウエット、予選ではちょい濡れ路面でのセッションとなった。
予選Q3で最速タイムを計測したのはルイス・ハミルトン(メルセデス)だったが、パワーユニット(PU)のICE(内燃エンジン)コンポーネントの交換により10グリッドの降格ペナルティが科された。そのため予選2番手の僚友ボッタスがポールポジション、今回”ホンダF1”特別カラーを身にまとったマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)がフロントロウに並んだ。
グリッド3番手にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)が4番手が並んだ。そのチームメイト角田裕毅は9番手と、第9戦オーストリアGPぶりに予選Q3進出を果たした。
なお、ハミルトンの他にもカルロス・サインツJr.(フェラーリ)とダニエル・リカルド(マクラーレン)がPU交換により最後尾からのスタートとなった。
当初の予報ではドライコンディションでの決勝レースになると考えられていたが、日曜日も雨がコースを濡らした。気温は15度、路面温度は18度。サーキット上から雨は上がったものの依然コース上は濡れており、各車は浅溝のインターミディエイトタイヤを履いてレースに望んだ。
全58周のレースが幕を開けると、トップはボッタス、フェルスタッペン、ルクレール、セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)の順番で1周目を終えた。1周目でフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がガスリーとの軽い接触によりスピンを喫した。接触の原因となったガスリーには、のちに5秒のタイムペナルティが科された。
角田はひとつ順位を上げて、後方から迫るハミルトンを8ラップにわたって抑えこんだ。
前方に目を移すと、トップのボッタスは2番手フェルスタッペンとの差を徐々に開いていった。トップから4番手のペレスまではそれぞれ2〜3秒差の間隔を保って周回を続けた。
後方から追い上げるハミルトンは、ランス・ストロール(アストンマーチン)とランド・ノリス(マクラーレン)を難なく仕留めた。ファステストラップを更新しながらトップとのタイム差を詰め、レース15周目でガスリーを抜き5番手まで順位を回復した。
後方から脅威の追い上げを見せたのはサインツJr.。19番手から15周目時点でポイント圏内まで上がってみせた。9番手の角田はサインツJr.に対しまたも絶妙なディフェンスを見せるも力及ばず、18周目で順位を明け渡した。その後角田はタイヤに苦しみ、10番手走行中に単独スピン。13番手まで転落した。
一方、3秒までタイム差が開いていたフェルスタッペンはファステストラップを出しながら攻勢に出た。ボッタスもそれに呼応するようにタイムを上げた。
22周目でリカルドが一番最初にピットで新しいインターミディエイトタイヤへ変えたが、その他のドライバーはステイアウトを選択した。ポツポツと雨は降り続き路面が乾かない状況の中、インターミディエイトタイヤは溝がすり減りスリックタイヤ化しているとドライバーからチームへ無線が飛んだ。
路面状況は悪化せず、タイヤの溝がなくなって接地面が増え、逆にペースが上がるような状況となったことで、各チームは動くに動けないまま周回を重ねていった。
我慢比べが続く中、ハミルトンは4番手のペレスに追いつき、34周目にテール・トゥ・ノーズのバトルを展開。ペレスは最終コーナーでアウト側に追いやられるように、ピット入口のホワイトラインをまたいだが、コースへ戻るとターン1のイン側で意地のブレーキング。ハミルトンから順位を守った。
先に動いたのはフェルスタッペンで、37周目にピットイン。ペレスがハミルトンを抑え込んでいたことで、フェルスタッペンはペレスの前3番手でコースへ復帰した。
トップのボッタスや後続車も続々とピットイン。セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)は唯一スリックのミディアムタイヤを投入したが、ギャンブル失敗。濡れた路面によりコース上へ留まることさえ難しく、翌周に再びピットへ戻らざるを得なかった。
ボッタスとフェルスタッペンがピットインしたことにより首位に浮上したルクレールは、ノーピットストップでレースを走り切ることをチームに指示。ウエットレースでタイヤ交換義務がなくなったことにより、勝利を狙う奇策に出たのだ。ただ、2番手ボッタスは大幅に速いペースで追い上げ、47周目のターン1でトップを奪還した。ここでルクレールはノーピットストップ作戦を諦め、11周を残してピットへ入った。
3番手ハミルトンもノーピット作戦を考えピットタイミングを引っ張っていたものの、チームはピットへ呼び入れた。既にピットストップを済ませ6番手を走行していたガスリーとの差を考慮しての判断だった。
ピットストップ後からペースの上がらないハミルトンは、ペレスに抜かれたルクレールを攻略できず、さらには後方からガスリーに迫られた。無線では「(ピットへ)入らないほうが良かったのに!」とハミルトンは怒り心頭。その後も抜ききることは出来なかった。
序盤からレースを支配したボッタスはファイナルラップでファステストラップを更新。後方に13秒の大差をつけて、ボッタスが今季初優勝のトップチェッカー。2020年ロシアGP以来10勝目を完璧なレースで飾ってみせた。
2位にはフェルスタッペン。ドライバーズランキングでも6ポイント差で首位を奪還してみせた。3位にはチームメイトのペレスが入った。フランスGP以来の表彰台獲得となり、フェルスタッペンとハミルトンの間に入ったことで、タイトル争いにおいてもしっかりと仕事をしてみせた。
4位にルクレール、5位にハミルトン、6位でガスリーがレースを終えた。7位にノリス、19番手スタートのサインツJr.が8位に入り、自身初のドライバー・オブ・ザ・デイを獲得した。また、唯一ノーピット作戦を成功させレースを走りきったエステバン・オコン(アルピーヌ)は10位でポイントを獲得した。
レース中盤でスピンを喫した角田は、14位でチェッカーを受けた。ポイント獲得は逃したものの、予選Q3への進出、1スティント目ではハミルトンやサインツJr.とバトルを繰り広げるなど光るところも見せた。
次戦は2週間後。舞台を北米に移して第17戦アメリカGPだ。タイトル争いはもちろん、熾烈な中団争い、そして角田の走りにも注目だ。
順位 | ドライバー | 周回数 | タイム | 差 | 前車との差 | 平均速度 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | バルテリ ボッタス | 58 | 1:31'04.103 | 26 | |||
2 | マックス フェルスタッペン | 58 | 1:31'18.687 | 14.584 | 14.584 | 18 | |
3 | セルジオ ペレス | 58 | 1:31'37.574 | 33.471 | 18.887 | 15 | |
4 | シャルル ルクレール | 58 | 1:31'41.917 | 37.814 | 4.343 | 12 | |
5 | ルイス ハミルトン | 58 | 1:31'45.915 | 41.812 | 3.998 | 10 | |
6 | ピエール ガスリー | 58 | 1:31'48.395 | 44.292 | 2.480 | 8 | |
7 | ランド ノリス | 58 | 1:31'51.316 | 47.213 | 2.921 | 6 | |
8 | カルロス サインツ Jr. | 58 | 1:31'55.629 | 51.526 | 4.313 | 4 | |
9 | ランス ストロール | 58 | 1:32'26.121 | 1'22.018 | 30.492 | 2 | |
10 | エステバン オコン | 57 | 1 lap | 1 | |||
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