F1アブダビGP決勝:フェルスタッペン、完璧ポール・トゥ・ウィンで有終の美。今季2勝目を飾る
F1アブダビGPは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが完勝。メルセデス勢に大差をつけ、今季2勝目を挙げた。
写真:: Andy Hone / Motorsport Images
2020年シーズンのF1最終戦、第17戦アブダビGPの決勝レースがヤス・マリーナ・サーキットで行なわれた。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが、ポールトゥウィンで有終の美を飾った。
2020年シーズンは激動の1年だったが、最終戦の舞台は例年と同じくアブダビ。このレース限りでチームを離れるセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)やセルジオ・ペレス(レーシングポイント)を、クルーが拍手でピットから送り出した他、記念写真を撮影するチームもあるなど、グリッド上は最終戦独特の雰囲気に包まれた。
西日が差すサーキットの気温は23度、路面温度30度というコンディション。ポールポジションのフェルスタッペン以下、2番グリッドのバルテリ・ボッタス、3番グリッドのルイス・ハミルトンのメルセデス2台はミディアムタイヤでのスタートとなる。また、6番グリッドのカルロス・サインツJr.(マクラーレン)、グリッド降格もあり12番グリッドスタートのシャルル・ルクレール(フェラーリ)もミディアムだ。
スタートタイヤの選択が自由なマシンは性能劣化の激しいソフトタイヤを嫌い、ハードかミディアムを選択。11番手のダニエル・リカルド(ルノー)やベッテルなど、4台がハードタイヤを履いた。
55周のレースがスタートすると、ポールのフェルスタッペンがホールショット。上位勢にあまり順位の変動はなかった。ピエール・ガスリー(アルファタウリ)はひとつ順位を下げ10番手となったが、次の周にやり返して9番手を取り戻した。
フェルスタッペンはオープニングラップでボッタスに1.4秒の差をつけると、2周目にもファステストラップをマーク。リードをさらに2秒まで広げた。ボッタスはフェルスタッペンの2.5秒差に食い下がるも、ハミルトンはボッタスよりペースが悪く、ジリジリと離されていった。
6周目、ランド・ノリス(マクラーレン)を追っていたアレクサンダー・アルボン(レッドブル)がバックスストレートでオーバーテイクに成功し、4番手に浮上。ハミルトンとの差は約6秒だ。
フェルスタッペンとの差が3秒まで開いたボッタスには、プッシュするよう無線が飛ぶが、その差はなかなか縮まらない。一方、後方ではランス・ストロール(レーシングポイント)がダニール・クビアト(アルファタウリ)をオーバーテイク。7番手にポジションを上げた。
パワーユニットを交換したことで最後方から追い上げていたペレスは、14番手までポジションを上げていたものの10周目に突如パワーを失いマシンストップ。これによりバーチャルセーフティカー(VSC)が発動された。
これを見て、ミディアムタイヤでスタートした上位3台の他、ソフトタイヤでスタートしたマシンも軒並みピットイン。多くのマシンがハードタイヤに交換した。フェルスタッペンはボッタスより5秒先にコースに復帰していたが、その後VSCからセーフティカー(SC)出動に切り替えられ、フェルスタッペンのリードはゼロに戻った。
ハードタイヤでスタートしたリカルドやベッテル、ミディアムタイヤのルクレールはステイアウトを選択。それぞれ5番手、7番手、8番手にポジションを上げた。
レース再開は14周目。うまく加速したフェルスタッペンはトップを守ると、再びボッタスとの差を広げにかかった。フェルスタッペンはファステストを叩き出し再びプッシュ。ボッタスをあっという間にDRS圏外に追いやった。後方ではサインツJr.がルクレール、ベッテルを相次いで攻略し7番手。6番手のノリス共々、コンストラクターズランキング3位獲得に向けて好ポジションを維持した。
1分41秒前半でラップを重ねるフェルスタッペンに対し、メルセデス勢のペースは1分41秒7~8というペース。メルセデス製のパワーユニットはMGU-Kに信頼性の問題を抱えており、今回のレースはMGU-Kの出力を下げている。その影響もあるのか、1周につき0.3秒ほどフェルスタッペンがリードを広げていった。
サインツJr.に抜かれたルクレールはずるずるとポジションを落としていき、22周目には12番手までポジションダウン。たまらずピットに飛び込んでハードタイヤに履き替えたが、これで最後尾19番手まで落ちてしまった。
レース折り返しを過ぎ、フェルスタッペンはボッタスに対し6.2秒差。上位陣に大きな動きはないが、フェルスタッペンとハミルトン共にハードタイヤが最後まで保たないのではないかと無線を飛ばした。
レーシングポイントにコンストラクターズランキング3位をもたらすべく、ポジションを上げて行きたいストロールだが、なかなかベッテルを抜けず。ターン11でコースオフすると、30周目にはガスリーにインに飛び込まれてしまい、10番手に下がってしまった。ガスリーは翌周にベッテルも攻略し8番手となった。
後続を必死に抑え、ラップタイムが1分44秒台まで落ち込んだベッテルは、35周を終えたところでピットインし、15番手でコースに復帰した。ベッテルと同じくスタートからハードタイヤで走り続けているリカルドは、1分42秒台前半の好ペースを維持し、周回を重ねた。
リカルドがピットに入ったのは、結局39周を終えたところ。ミディアムタイヤへと交換した。コース復帰は8番手ガスリーの目の前。SC時のステイアウトで順位を上げた形となった。
残りが15周を切り、フェルスタッペンとボッタスの差は約8秒。3番手ハミルトンはさらに3.5秒ほど後方だ。ボッタスはセクター1で時々全体ベストを記録するものの、ペースはフェルスタッペンよりも悪く、逆に差が広がっていった。
ボッタスは44周目、45周目とトップ4の中で1秒ほどラップタイムが悪く、ハミルトンが急接近。さらに4番手のアルボンもメルセデス2台に迫っていった。
ボッタスの失速でフェルスタッペンのリードは11秒以上に拡大。フェルスタッペンはパワーユニットを守るため、『出力を下げようか?』とチームに提案するも、チームはきっぱりとそれを否定した。
ボッタスが再びペースを取り戻した一方で、ハミルトンが遅い周もあり、アルボンはハミルトンの4.5秒後方に。さらに1周0.7秒ほどその差を詰めていった。
ファイナルラップに入った時点で、ハミルトンとアルボンの差は1.8秒。しかしここでハミルトンも意地を見せて粘り、アルボンはDRSゾーンに踏み入ることができず4位でチェッカーを受けた。
最終的に15.976秒リードでトップチェッカーを受けたフェルスタッペンは、ポール・トゥ・ウィンで今季2勝目。全周ラップリードを記録し、まさに完璧な勝利で2020年シーズンの有終の美を飾った。
メルセデス勢はボッタスが2位、ハミルトンが3位。最終戦を勝利で飾れなかったものの、今季も圧倒的な強さを見せた2台は、メインストレートでドーナツターンを披露した。
5位にノリス、6位にサインツJr.が入ったマクラーレンは、これでレーシングポイントを逆転しコンストラクターズランキング3位を獲得した。
7位のリカルドは見事なタイヤマネジメントで上位フィニッシュ。ファイナルラップでは1分40秒926のファステストラップも記録した。
ガスリーは8位入賞。9位はファイナルラップでストロールを交わしたオコンが獲得した。クビアトは11位で惜しくもポイントに届かなかった。
順位 | ドライバー | 周回数 | タイム | 差 | 前車との差 | 平均速度 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | マックス フェルスタッペン | 55 | 1:36'28.645 | 25 | |||
2 | バルテリ ボッタス | 55 | 1:36'44.621 | 15.976 | 15.976 | 18 | |
3 | ルイス ハミルトン | 55 | 1:36'47.060 | 18.415 | 2.439 | 15 | |
4 | アレクサンダー アルボン | 55 | 1:36'48.632 | 19.987 | 1.572 | 12 | |
5 | ランド ノリス | 55 | 1:37'29.374 | 1'00.729 | 40.742 | 10 | |
6 | カルロス サインツ Jr. | 55 | 1:37'34.307 | 1'05.662 | 4.933 | 8 | |
7 | ダニエル リカルド | 55 | 1:37'42.393 | 1'13.748 | 8.086 | 7 | |
8 | ピエール ガスリー | 55 | 1:37'58.363 | 1'29.718 | 15.970 | 4 | |
9 | エステバン オコン | 55 | 1:38'09.714 | 1'41.069 | 11.351 | 2 | |
10 | ランス ストロール | 55 | 1:38'11.383 | 1'42.738 | 1.669 | 1 | |
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