レッドブルF1、22戦21勝でも慢心なし「我々には、まだ改善できる部分が残っている……ライバルにプレッシャーをかけたくはないが」

レッドブルのテクニカルディレクターでああるピエール・ワシェは、他チームがレッドブルに追いつくためには、マシンをコピーするだけでは十分ではないと考えているようだ。

Max Verstappen, Red Bull Racing RB19, 1st position, performs donuts on the grid at the end of the race

 2023年シーズンのF1は、レッドブルが22戦中21勝を挙げる圧倒的な強さをみせた。そのため他のチームは、2024年シーズンに向けてレッドブルのマシンRB19のコンセプトをコピーし、パフォーマンス向上を目指してくるものと見られる。

 しかしレッドブルのテクニカルディレクターであるピエール・ワシェは、コンセプトをコピーするだけでは、レッドブルを超えることはできないだろうと考えている。

 レッドブルの2023年の成績は、伝説的な1988年のマクラーレン・ホンダの16戦15勝という勝率をも超える、まさに歴史的なものとなった。そのマシンRB19は、史上最強のF1マシンであるという評価だ。

 そのためライバルチームたちはそのRB19を解析。自分たちの2024年マシンにそのコンセプトを注入し、差を縮めることを目指してくるとみられる。

 しかしレッドブルのテクニカルディレクターを務めるワシェは、他チームたちはレッドブルがこれまでにやってきたことをただ繰り返すだけでなく、さらに前に進む必要があると考えている。そしてパフォーマンスを引き上げるのに重要なことは、なぜこれまでやり方を進めてきたのか、それを解明することにあると示唆する。

「コピーすることはできると思う。しかし世界中のあらゆるビジネスにおいて、特に技術的な面では”どのように”というのはひとつの側面に過ぎない」

 ワシェはmotorsport.comのインタビューにそう語った。

「最も重要なのは”なぜ”なのだ」

「もし”なぜ”が分からなかったとしても、何か気に入ったモノをコピーすることはできる。しかし、自分たちが理解できたモノだけに留めておいた方がいいだろう」

 ワシェは、他のチームのアイデアをコピーすることはF1では当然のように行なわれていることであり、レッドブルも時々そういうことを行なっていたと明かす。

 しかしそれは自分たちのマシンを進歩させる可能性という扉を開くことにはなったものの、他のチームのマシンで機能したモノが、そのまま自分たちのマシンでも効果を発揮するという保証はないと言う。

「我々もいくつかのモノをコピーしてきた」

 そうワシェは言う。

「我々は間違ったモノを真似していたのかもしれない。でもそれは他のマシンで見たモノに基づき、自分たち自身にインスピレーションを与えてくれる」

「ダーウィンの進化論のようなモノだ。他のモノから何かを見つけて、それに別のアイデアを加えて、自分のコンセプト、強み、能力を発展させ、そして成長させるのだ」

「しかしそれは常に”理解している”という側面に基づかねばならない。コピーのためだけにコピーするのでは、うまくいくことは決してない」

「知識を持ち、何を達成したいかという目標を持っている必要がある。同じ”黄金の目標”を手にできていないなら、それは何ももたらさないんだ」

 ワシェは圧倒的な強さを発揮したレッドブルRB19を完璧なマシンと評価するのは間違いであり、まだまだ改良すべき要素があると主張する。

「我々は全てをまとめた。このクルマにはいくつかの弱点があったんだけど、大きな弱点ではなかった」

 そうワシェはRB19について語る。

「ダウンフォースと空気抵抗という点では、非常に効率的だ。それは明らかに重要なことであり、レースでは非常にタイヤに優しかった」

「それが重要な要素のひとつだったと思う。我々は予選では、全てのレースでポールポジションを獲得できたわけではない。1戦を除く、全てのレースに勝っただけだ」

「優位性というのは、他のチームが何をしてきたのかということにも依る。他のチームは、マシン開発において何かの間違いを犯したのかもしれない。マクラーレンがシーズン中に見せた開発のレベル、そしてシーズン最初に非常に苦しんだにも関わらず我々に近づいてきたことを見ると、他のチームはマシンをまとめきれなかったのではないかと思う」

「シーズンを支配できるかどうか、それは他のチーム次第というところがある。他のチームにプレッシャーをかけたくはないんだけど……我々は良い仕事をしたとは思うが、まだ改善の余地はたくさんあると言える」

 

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