レッドブル、F1次世代PUは”白紙からの再スタート”を望む「現行PUを継承すると、低コスト化は難しい」
レッドブルは、オーストリアで行なわれる次世代パワーユニットのメーカー会議を前に、新PUはゼロから検討するべきだと語った。
写真:: Mark Sutton / Motorsport Images
F1は今年2月に、既存のV6ターボエンジン+ハイブリッドシステムで構成される現行パワーユニット(PU)の開発凍結を決定。2025年からは次世代PUを導入する方針を発表した。
この開発凍結により、ホンダがF1から徹底した後もレッドブルがプロジェクトを引き継ぎ、2024年まで参戦を継続する道が開けた。さらにレッドブルは本格的に投資を実施し、2025年からはPUマニュファクチャラーとして参戦するべく次世代PUの開発体制を整えようとしている。
そして第9戦オーストリアGPが開催されているレッドブル・リンクで、7月3日(土曜日)の午後には次世代PUの方向性を決定するための会議が行なわれた。これには、既存PUマニュファクチャラーであるフェラーリ、メルセデス、ルノーおよびレッドブルに加え、現在F1に参戦していないアウディやポルシェの関係者も参加した。
今回の会議では、F1の将来にとって重要な開発要素として広く受け入れられている持続可能な燃料の使用や、次世代PUにおけるハイブリッドと内燃機関のパワーバランスに焦点があてられたようだ。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、新しいPUレギュレーションを策定する上で「F1にとって素晴らしいモノにする」チャンスがあると考えており、コストや複雑さを理由に既存PUの継承を考えるべきではないと述べた。
「このPUは、導入されれば今後10年間は使い続けることになる」と、ホーナーは語った。
「それよりも、コストや性能の基準を満たし、エキサイティングで他とは違う、接近戦に適したPUを開発するために時間をかけたいと思っている。もちろん、音や情緒も重要だ。私としては、そのような基準を重視すべきだと思う」
「現在、非常に高価なエンジンを引き継いで安価にしようとするとしたら、非常に残念なことだ。エコノミークラスのチケットで、ファーストクラスの飛行機に乗ることはできない」
「願わくば持続可能で環境に優しく、バイオ燃料を使用した、よりクリーンなエンジンを開発する機会があればいいと思う。おそらく、現在のものをそのまま引き継ぐのではなく、コストを明確にコントロールできる標準化の要素を持つものになるだろう」
アウディとポルシェがこの会議に参加したのは、持続可能でコスト効率の高さに重点を置いた次世代PUプロジェクトの可能性に、フォルクスワーゲン・グループが関心を寄せているからだ。
ホーナーは、レッドブルは新たなPUマニュファクチャラーとして、F1に参入したいと考えているマニュファクチャラーと同じ関心を持っていると考えている。
「新規参入するマニュファクチャラーは当然、クリーンシート(白紙の状態)を求めていると思う」とホーナーは言う。
「これまで投資をしてきた既存のマニュファクチャラーが、そのIP(知的財産)を新しいエンジンに反映させたいと考えるのは理解できる。だが現行エンジンは非常に高価であり、現時点で私が参加したすべての議論において、どのようにコストを削減するかについて形にできていない」
「コストキャップの導入ほど簡単なことではないと思う。PUはエンジンはもちろんのこと、様々な側面があり取り締まりがはるかに難しいからだ」
ホーナーは、ベンチテストや測定リグを使用できる時間を短縮して”創造性を促進”すると共に、マニュファクチャラーが何かを間違えたとしても、追いつけるようなセーフティーネットを設けるべきだと考えている。
ホーナーは、「我々は、このスポーツに適した、適切なものを考え出す必要がある」と語った。
「もちろんエンジンだけではなく、そうした高い効率性を実現するためには、空気抵抗の少ないクルマとの統合が必要になる。そのため、シャシー側にも多大な影響がある」
「だからこそ、クリーンシートにすることが、F1にとっても我々にとっても正しい道だと思う」
しかしホーナーは、最終的な判断はFIAと商業権を持つ企業が、シリーズにとって最適な判断を下すべきだと主張している。
「取り締まりをするFIAと商業権の保有者に、このスポーツにとって正しいと思われるものを考え出してもらうべきだ」
「彼らが専門家にお金を払い、独立した専門家がその研究を行ない、そしてルールを提示するべきだ。チームはそれを気に入れば参戦をし、気に入らなければコンコルド協定の更新に合わせて参戦を止めるだろう」
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