F1メカ解説|今季はブレーキ冷却開発が“熱い”? マクラーレンの新デザイン投入で垣間見えた新たな技術競争
バーレーンテストでブレーキトラブルに見舞われたマクラーレンは、バーレーンGPに向けて新たなデザインのブレーキを投入。新レギュレーションの影響により、このエリアの開発は各チームで個性が分かれそうだ。
写真:: Giorgio Piola
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
2月に行なわれたF1バルセロナテストでは順調ぶりを見せていたマクラーレン。しかし3月のバーレーンテストではブレーキトラブル、具体的にはオーバーヒートが表面化し、一転して苦しいテストとなった。
この問題はフロントのブレーキアッセンブリーのデザインに起因するもので、ランド・ノリスは数周走るとオーバーヒートが発生したため、満足に連続周回できなかったという。
2月のバルセロナは気温が低かったため、この問題が表面化することはなかった。しかし冬のスペインと同じような寒い気候で行なわれるレースは、F1カレンダーの中でもほとんどないと言っていい。温暖なバーレーンで問題を特定したマクラーレンは、同地で行なわれる開幕戦に向けて解決策を探し出すこととなった。
バーレーンGPのピットで確認されたMCL36のブレーキを見ると、ブレーキディスクの周辺が従来のカーボンファイバーではなく金属製のシュラウドで囲われていることが分かる。
新バージョンのブレーキは形状に明らかな違いがあるが、何よりも素材が変更されたことで、ブレーキ、ホイールリム、タイヤへの熱伝導に影響を与えるだろう。
McLaren MCL36 front brake comparison
Photo by: Giorgio Piola
マクラーレンの一連の変更は、レギュレーションの大改訂によって新たな興味深い“戦場”が生まれたことを浮き彫りにしている。レギュレーションによってブレーキに関連するコンポーネントが変更されたことで、各チームの冷却へのアプローチも変わっているのだ。
今季のF1はホイールリム径が13インチから18インチに拡大。ブレーキディスクの直径も278mmから330mmに拡大されたが、その一方でドリル穴の大きさは3mm以上でなければならないため、デザインの数やパターンは限られる。
また18インチホイールとなったことでホイール内のスペースが広くなり、放熱をより難しくしている。しかもホイールカバーがついたことで、気流をホイール表面に送り込みづらい。そのため各チームは、ブレーキによって発生した熱をブレーキダクトフェンスにある排出口から逃さなければならなくなった。
前述の通りホイールリム径が拡大したことにより、ブレーキアッセンブリーのためのスペースも広くなっている。そこでマクラーレンはブレーキディスクを分厚い金属で囲い込み、ブレーキ時に発生する熱の“脱出経路”を確保するという、興味深いデザインの方向性を導き出した。
レッドブルもマクラーレンと同じく、ブレーキディスクを覆い隠す手法を取り入れている。ただ彼らは違った素材を採用しているようで、中に断熱材を詰め込んでいるようにも見える。
一方でアルピーヌは、マクラーレンやレッドブルのようにブレーキディスクを何かで覆うのではなく、ブレーキキャリパーをアッセンブリーの前方にマウントするという手法。カーボンファイバーで出来た冷却部には涙滴状の通気口があり、ここからブレーキディスクの熱を逃がしているようだ。
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