【F1メカ解説】レッドブルが採用した、画期的デザインのフロントサスペンションレイアウト
レッドブルは、今季マシンRB15のフロントサスペンションのアッパーアームに、従来のウィッシュボーンではなく、前後が分割されたユニークなデザインを採用している。
写真:: Giorgio Piola
F1マシンのサスペンションは、上下にV字型のアームを1組ずつ配置した、ダブルウィッシュボーンと呼ばれる形式を採用している。あくまで基本的には……であるが。
そんな中、今季のレッドブルはユニークなデザインのサスペンションレイアウトを採用している。ロワアーム(下のアーム)は従来型のウィッシュボーンであるが、アッパーアーム(上のアーム)は前後に分けられ、その前側のアームはアップライトにダイレクトに取り付けられ、その下に後ろ側のアームが潜り込むようになっている。
メイン画像のイラストは、そのレイアウトを示したモノだ。丸の中は従来型のサスペンションレイアウトである。
Red Bull Racing RB15 Top wishbone
Photo by: Giorgio Piola
この新たなレイアウトのサスペンションについて、ジョーダンやスチュワート、そしてジャガーなどでテクニカルディレクターを務めたゲイリー・アンダーソンは、次のように分析する。
「このデザインには、ふたつもしくは3つの理由が考えられる」
そうアンダーソンは説明する。
「ホイールのリムは(円形のため)後方にいくにつれて低くなる。そして舵角の制限に対処するため、ウィッシュボーンの後端に切れ込みを入れ、ホイールリムと干渉するのを防ぐ必要がある」
「その結果、ブレーキング時の剛性を失うか、アッパーアームの位置を下げる必要があることを意味する」
アンダーソンは、さらに別の可能性についても言及する。
「すべてのリンクが独立して機能する、マルチリンク・サスペンションと呼ばれるものかもしれないということだ。これは、それぞれのピボットが独立して固定されることで、上記の効果を達成することができるというモノだ」
「マルチリンク・サスペンションを、キングピンの角度を変えるために使うこともできる。これにより、舵角に伴いキャンバー角を変えることができるだろう。これは、ピボットの位置をわずかに変えることで実現することができる。またステアリング制限角の変化に伴い、車軸にかかる車重移動ができるようになっているかもしれない」
「おそらく私は、後者であると想像する。それによりレッドブルは、舵角を大きく切った時にキャンバー角を減らし、低速コーナーでのタイヤの接地面を広げようとしているのだろう。またその副産物として、後方のアームに切り欠きを設けなくても、ステアリングの制限角を緩和する可能性がある」
Red Bull Racing RB15 front suspension
Photo by: Giorgio Piola
なおトヨタF1もこのマルチリンク・サスペンションを採用したことがある。しかしこの時はリヤサスペンションへの搭載だった。
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