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レッドブルがハンガリーGP決勝前に見せた驚異的作業……それが意味するモノ

F1ハンガリーGPのスタート前、レコノサンスラップでクラッシュしたマックス・フェルスタッペンのマシンを修復するために、レッドブルのメカニックたちは素晴らしい仕事をした。

Max Verstappen, Red Bull Racing RB16 on the grid

写真:: Andy Hone / Motorsport Images

ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】

Analysis provided by Giorgio Piola

 レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、ハンガリーGP決勝のスターティンググリッドに向かうレコノサンスラップで、濡れた路面に足を取られてコントロールを失い、ウォールにクラッシュしてしまった。

 このクラッシュにより、フェルスタッペンのマシンは、左フロントサスペンションを損傷。そのダメージを修復するには間違いなく時間がかかり、グリッド上で修理を完了するのは不可能だと、誰もが思ったに違いない。実際、メルセデスはルイス・ハミルトンにそう無線で報告。フェルスタッペンがスタートを切ったのを見たハミルトンは、明らかに驚いていた。

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■絶望的なダメージ。”ヒーロー”になったメカニック

 フェルスタッペンが事故現場であるターン12から再びマシンを動かした際、かなりの修復が必要であることはすぐに明らかとなった。チームは少なくともステアリングアームが壊れているのを把握。グリッドに向けて走るフェルスタッペンのマシンの左フロントタイヤは、ステアリング操作とは関係なく、動き回っていた。

 フェルスタッペンは、すぐにエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼに無線で報告。自分のミスを説明した。

「僕はマシンをピットに戻している。たどり着けるといいけど……」

 しかしフェルスタッペンは、マシンをピットではなく、グリッドに向かわせるよう指示を受けた。

 マシンがグリッドに停車するとすぐ、メカニックたちは行動を起こした。この時、フォーメーションラップのスタートまでは、19分32秒しかなかった。そのため無駄な時間をかけず、彼らはマシンの左フロントを分解し始めた。

 チームは、ステアリングアームとプッシュロッドを交換する必要があった。しかしいずれも、RB16のパッケージングにより、簡単に交換できる代物ではない。

 チームマネージャーのジョナサン・ウィートリーは、同チームのアドバイザーであるヘルムート・マルコと時間内に修理が可能かどうかを話し合った際、悲観的な見方を示していた。

「今までにないほど、早く作業を完了する必要がある」

 フォーメーションラップのスタートまで16分、サーキットにはハンガリー国歌が流されている頃、メカニックはプッシュロッドの内側を取り外し、ステアリングアームの内側を外す作業に取り掛かっていた。ただステアリングアームの交換は実に複雑。RB16のステアリングアッセンブリーは新しい位置にあり、バルクヘッドの奥に押し込まれている。

 フォーメーションラップのスタートまで15分を切った段階で、ステアリングアームが外され、マシン外側の作業に取り掛かった。プッシュロッドとステアリングリンケージを扱うためには、ブレーキダクトのフェアリング全体を取り外す必要がある。これも非常に複雑な作業だ。

 RB16のプッシュロッドのアップライト側の取り付けは、できるだけ直立するよう工夫されており、攻撃的なレイアウトになっている。これが作業をより複雑にした。

 残り時間が12分を切った頃、チーフエンジニアのポール・モナハンは、マシンに残っているパーツを目視で確認した。そして、タイヤバリヤとぶつかった際に受けた衝撃によるダメージを分析するため、専用の機器を準備するように指示した。

 フェルスタッペンはスタート前のセレモニーから戻り、RB16に乗り込んだ。その時、フォーメーションラップのスタートまで、あと10分を切っていた。ただその時点でもまだ、4人か5人のメカニックが、左フロントサスペンションの作業に取り組んでいた。そして作業終了時刻が迫るにつれ、プレッシャーが高まっていった。

 残り8分というところで、プッシュロッドの内側の最後のボルトが締められ、マシンの構造は一応完成。そこから、ブレーキダクトを組み立て、モノコック上面のカバーを取り付け、新しいノーズを装着し、4つのタイヤを履かせた。

 そして全ての作業が禁止されるフォーメーションラップの開始5分前までに全ての作業が完了……残り時間はわずか26秒だった。

 フェルスタッペンは、メカニックたちの驚くべき仕事を称賛。感謝を述べた。

「信じられないような仕事だった。僕はただ、それを伝えたかったんだ。信じられないことだ。本当にありがとう」

 フェルスタッペンはそう語った。

■未知への船出

 タイヤブランケットが外され、マシンがコースに降ろされた時、不安がなかったわけではない。メカニックたちは全力を尽くし、作業に当たった。しかし時間が少なかったため、修復にミスがある可能性もあったのだ。

 しかしフォーメーションラップを走るマシンは、すべてが順調に見え、フェルスタッペンもチームの仕事を信頼した。そして絶好のスタートを決めていきなり3番手に浮上すると、最終的に2位でフィニッシュを果たした。

 スタートまでに大変な仕事をこなしたメカニックたちに、休息する余裕はなかった。彼らはすぐに、タイヤ交換をしなければならなかった。4周目、フェルスタッペンはピットインし、インターミディエイトタイヤからスリックタイヤに交換。そしてレース終盤のタイヤ交換では、全チーム中もっとも早い作業時間で、マシンをコースに送り返した。

 レッドブルがハンガリーGPのスタート前に見せたこと、それはF1がチームスポーツであるということを、まざまざと思い出させてくれた。チームに関わる全てのメンバーが、マシンを走らせるために必要不可欠なのだ。彼らひとりひとりの活躍により、レース前にはまず考えられなかった、フェルスタッペンが表彰台で喜ぶシーンを、チームの全員が目にすることになった。

 

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