ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
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メルセデス、シンガポール躍進の”ヒミツ”はリヤホイール内部にあり!?

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メルセデス、シンガポール躍進の”ヒミツ”はリヤホイール内部にあり!?
Giorgio Piola
執筆: Giorgio Piola
協力: Jonathan Noble
翻訳:: 田中健一
2018/09/20 6:49

シンガポールで優勝をもぎ取ったメルセデス。その勝利は、ルイス・ハミルトンの”夢のような”ドライビングによるところが大きかったかもしれないが、マシンに加えられた変更が、彼らが素晴らしい週末を送る鍵のひとつだったかもしれない。

 今シーズンのF1で、最も速く強いマシンを手にしているのは、フェラーリだと考えられている。しかし、先日行われたシンガポールGPで、メルセデス+ルイス・ハミルトンのコンビは無類の強さを見せ、表彰台の頂点をもぎ取った。

 メルセデスが強さを発揮したひとつの理由。それは、タイヤのマネジメントにあったことは明らかだ。それは、これまでのメルセデスにとって弱点のひとつでもあった。

 予選のラップタイムを分析すると、あることが分かった。それは、最終セクターはメルセデスの方がフェラーリよりも速かったということだ。これは、メルセデスがタイヤがオーバーヒートするのを防いでいたためと考えられ、それによって差がつく結果となった。

 レースでも同じだ。ハミルトンは第1スティントで、最大のライバルと目されていたセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)よりもタイヤをうまく使い、長い距離を走った。そして、第2スティントを優位に繋げた。

 メルセデスは、シンガポールGPに新たなデザインの”ホイールドラム”を投入した。このハミルトンのパフォーマンスは、この新投入されたパーツによって、助けられたはずだ。

メルセデスは何を変えたのか?

Mercedes-AMG F1 W09, rear rim

Mercedes-AMG F1 W09, rear rim

Photo by: Giorgio Piola

 新しいドラムのデザインが見られたのは、スタート直前、グリッド上にマシンが並べられた時だった。その際、ホイールを外されたメルセデスのリヤドラムは、これまでとは大きく異なるデザインだったのだ。

 この新しいカーボンファイバー製のドラムには、これまでとは異なる形状の冷却ダクトが設けられていた。そして更に重要なのはその全体の形状だ。このドラムは、外周部分がシャープになり、より深く窪んだ形状となっていたのだ。これは、メルセデスが当初使っていたデザインとは、大きく異なる。

Mercedes F1 AMG W09 rear rim

Mercedes F1 AMG W09 rear rim

Photo by: Giorgio Piola

 上のイラストがメルセデスの旧バージョンだが、フェラーリを含む多くのチームが採用しているもの(写真下)とよく似ている。

Ferrari SF71H, rear rim

Ferrari SF71H, rear rim

Photo by: Giorgio Piola

 この窪んだ形状のドラムは、リムの内壁に空気が圧縮された小さな領域を生み出し、それが高速で回転することで、タイヤから余分な熱を取り除いていると考えられる。それにより、オーバーヒートを防止しているのだ。

 このドラムデザインは、メルセデスがベルギーGPに投入した、OZレーシング製の新しいホイール(下写真)を使った際に機能するように設計されたのは、ほぼ間違いないだろう。リムの外周に沿うように並べられた歯のような突起は、ホイールの表面積を増加させ、これにより冷却効率が高くなるはずだと考えられる。

Mercedes AMG F1 W09 rim detail

Mercedes AMG F1 W09 rim detail

Photo by: Giorgio Piola

アップデートは、どのような効果をもたらしたか?

 ホイールドラム及びホイールのコンセプト変更は、メルセデスのタイヤに対する特性を変えるのに十分なモノだったと言えるだろう。その結果、これまでの数年、タイヤのオーバーヒートに苦労してきたシンガポールでの、W09のペースを変えることに繋がった。

 メルセデスのエンジニアリング・ディレクターであるアルド・コスタは、シンガポールGPに向けた主な焦点は、リヤタイヤの温度を制御することだと語っていた。事実、これまでのメルセデスは、リヤタイヤのタイヤウォーマーを、フロントタイヤよりも早く外すことがあった。

 コスタはmotorsport.comに対して、次のように語っていた。

「我々の強みは、一般的にはコーナーでの挙動だと信じている。しかしリヤタイヤの温度管理の面では、我々は懸命に働いている」

「シンガポールには、そのためにデザインされたいくつかの変更を行い、進歩を図る予定だ。自分自身では、確実に進歩を遂げている。しかしそれで十分かどうかを言うことはできない」

 しかし今回のパフォーマンスを見れば、その進歩は十分すぎるものだったと言えよう。

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この記事について

シリーズ F1
チーム メルセデス 発売中
執筆者 Giorgio Piola
記事タイプ 分析