登録

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

Motorsport prime

Discover premium content
登録

エディション

日本

メルセデスが2021年用マシン”W12”に、開発トークンを使わなかった理由

メルセデスは、2021年用マシンW12に、”トークン”を使ってのアップデートを施さなかった。その理由は、フロア面積の縮小によるダウンフォース削減の影響が大きかったことにあるようだ。

Lewis Hamilton, Mercedes W12

Zak Mauger / Motorsport Images

 2021年のF1マシンは、新型コロナウイルスによる経済的な打撃を乗り越えるべく、2020年用マシンを基本的に引き継ぐことになった。そんな中でもある程度のアップグレードを行なえるようにすべく、各チームにトークンが”ふたつ”割り当てられ、それを使ってマシンに変更を加えることになったのだ。

 しかしメルセデスはこのトークンを使用せず、2021年シーズンを戦っていたことが明らかになった。

 2020年のF1は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開催カレンダーが大きく変更。7月に初戦を迎えるという前代未聞のシーズンとなった。これは各チームの財政面にも大きく影響。これに対処すべく、2021年シーズンには新型マシンを投入せず、2020年用マシンを基本的には引き継ぐことになった。

 ただ完全に開発が禁じられたわけではなく、一部は自由に開発できることになった。また開発が禁じられた領域でも、各チームに割り当てられたトークンを使い、限られた範囲での開発が可能とされた。

 いくつかのチームは、トークンを使ってどこに手を入れたのかを明かしたが、メルセデスの場合は2021年用マシン『W12』のどこにトークンを使ったのかをこれまで明確にしてこなかった。

 以前、同チームのチーフ・テクニカル・オフィサーであるジェームズ・アリソンは、次のように語っていた。

「パワーユニットや冷却システム、サスペンション、そして空力パーツなど、トークンなしで変更できる部分がいくつかある」

「我々はトークンを使った。でもそれをどう使ったのかは、まだ明らかにしない。時が来れば、明らかになるだろう」

 しかしシーズン終了後、メルセデスは実際にはこのトークンを使わなかったことが明らかになった。メルセデスのテクニカルディレクターであるマイク・エリオットは、次のように語る。

「我々としては、実際にトークンを使うことになったとは思わない」

「マシンのフロント部分で、やりたいことのアイデアはあった。やりたいアイデアはあったが、最終的にそれは実現しなかったんだ」

 メルセデスがトークンを使えなかった理由は、ホモロゲーションの期日、そして新たなフロア規制の導入など、いくつかの要因が複雑に絡み合ったことにありそうだ。

 トークンを使うためには、各チームは2020年の7月までに決定を下し、そしてそれを使う予定の箇所をFIAに通知する必要があった。そのためメルセデスは、7月22日の締め切り時点で、ノーズのアップグレードにトークンを使い、空力効果の改善を目指そうとしていた。

 しかし8月に行なわれたイギリスGPで、タイヤの故障が相次いだことを受け、コーナリングスピードを抑えることを目的にダウンフォースが削減されることになり、フロアの面積が削減され、さらにバージボードエリアにも変更が加えられることになった。

 このレギュレーション変更によるパフォーマンス低下に対処するためのメルセデスにとっての最も明確な方法は、ギヤボックスを変更してリヤエンドの高さを調整し、レッドブルのような”ハイレーキ”のコンセプトにすることだった。しかし、ギヤボックスのホモロゲーション期日を考えればそれは不可能だった。

 そして迎えたシーズン開幕前テスト。メルセデスは苦戦し、その過程でノーズの変更計画も見直されることになった。

 エリオット曰く、メルセデスが開幕前テストやシーズン序盤で苦労したのは、マシンのバランスの問題に起因するモノではなく、ダウンフォースが全体的に失われたことが原因だったと認める。

「以前の我々のように、支配的なマシンを持っていたならば、ドライバーにとってバランスはそれほど重要な問題ではなかったはずだ」

 そうエリオットは語る。

「だからシーズン初めに我々が抱えていた問題は、バランスに関するモノではなかったと思う。全体的に、空力性能が大幅に低下しただけだ」

「他のチームが受けたのと同じくらい、我々が打撃を受けたかどうかは、他のマシンにどんな影響があったのか分からないため、判断するのは不可能だ」

「我々が理解しているのは、冬の仕事を終えてコースに現れた時、2020年に我々が手にしていたようなアドバンテージはもはや消え去っていたということだ」

 メルセデスはそのため、新しいノーズの開発を続けるよりも、ダウンフォース削減を克服するために、リソースを注いだ方が良いと判断。新型のノーズは棚上げされ、結果的にトークンが使われることはなかったわけだ。

 ただこの方針の切り替えが、後に功を奏することとなった。メルセデスは特にシーズン後半に勢いを増し、レッドブル・ホンダを退けてコンストラクターズタイトルを防衛することに成功。ただドライバーズタイトルに関しては、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが獲得……ルイス・ハミルトンは史上最多8度目のタイトル獲得を逃す結果となった。

 
Read Also:

Be part of Motorsport community

Join the conversation
前の記事 F1のドメニカリCEO、2022年に向け「レッドブルとメルセデスの関係修復が必要だ」と主張
次の記事 フェラーリ、2022年初めに新シミュレータを本格稼働へ

Top Comments

コメントはまだありません。 最初のコメントを投稿しませんか?

Sign up for free

  • Get quick access to your favorite articles

  • Manage alerts on breaking news and favorite drivers

  • Make your voice heard with article commenting.

Motorsport prime

Discover premium content
登録

エディション

日本