
ルノーのダニエル・リカルドは、アントワーヌ・ユベールが逝去した後のレースについて、疑念を抱いていたと明かした。
F1第13戦ベルギーGPのサポートレースとして行われたFIA F2レース1で、ルノーの育成ドライバーであるアントワーヌ・ユベールがクラッシュによって帰らぬ人となるという痛ましい事故が発生した。彼の死によって、決勝日のパドック、そしてグリッドは悲しみに包まれていた。
そんな中、行われたF1の決勝レースで、ルノーのダニエル・リカルドはオープニングラップで接触によるダメージを負ってしまったものの、最後まで走りきって14位でフィニッシュした。
「1日が終わってホッとしている」と、レース後にリカルドは語った。
「レースが終わったことが嬉しいよ。奇妙な話だけど、僕らが(ユベールに対する)哀悼の意を表するのに最適な方法は、今日レースをすることだった。でも僕らの誰もが本当にここに居たい、もしくはレースをしたいと思っていたとは考えていない。少なくとも僕はそうだ。そしてそれは僕ひとりじゃないとも確信しているよ」
「ここに居ること、そしてみんなのために平静を装おうとするのは、間違いなくつらいことだった。もちろん、昨日の事でパドックのみんなが心を痛めていることは知っている」
「みんな、レースを終えたことや、ここから離れられることにホッとしていると思う。そしてこういった事故が起こるのは今回が最後になればと願っているだろう」
motorsport.comがレース出場を取りやめることも考えたのかを訊くと、彼は「ああ、そのとおりだ。昨夜考えた」と、答えた。
「『本当にそれ(レース出場)に価値があるのか?』と訊かれるだろう。確かにそうだ。結局のところ、それはとてもシンプルな質問で、だけどとても正直なものでもある」
「ああ、それは僕らの仕事であり、職業であり、人生でもある。単にレーシングカーでぐるぐると回るだけでも、だ」
しかし日曜日のF3レース前、黙祷を捧げる時にユベールの家族を目にしたことが、リカルドの心の助けになったという。
「正直に言って、今日、ここで彼の家族を目にして、僕は他の何よりも力を与えてもらったと思う」
「彼らを”尊敬する”と言うのは、正しいことではないのかもしれない。なんと言ったら良いのか分からないんだ。彼らの置かれた状況を想像することすらできない。ただ、彼らは今日レースをした誰よりも強いと、僕には感じられた」
この記事について
シリーズ | F1 |
イベント | 第13戦ベルギーGP |
ドライバー | ダニエル リカルド 発売中 |
チーム | ルノーF1チーム |
執筆者 | Valentin Khorounzhiy |