ラッセル、新体制のウイリアムズは「かつては生き残りのため“二の次“だったパフォーマンスを追い求めている」
ウイリアムズのジョージ・ラッセルは、ウイリアムズ家がチームを所有していた最後の数年間はチームの存続に必死だったため、パフォーマンスの向上は「二の次」だっだが、ドリルトン・キャピタルによる買収後はそれが好転したと語った。
写真:: Glenn Dunbar / Motorsport Images
ジョージ・ラッセルは所属して3年目を迎えたウイリアムズについて、ウイリアムズ家が所有していた当時はマシンのパフォーマンスを向上させるよりもチームを存続させることに必死だったが、ドリルトン・キャピタルによる買収後は、パフォーマンスの向上が重視されるようになったと語った。
2020年の8月、アメリカの投資ファンドであるドリルトン・キャピタルがウイリアムズを買収したことを発表した。そしてこれを機に、チームの創設者であるフランク・ウイリアムズと、その娘で副代表ながらも実質的な代表職を務めたクレア・ウイリアムズは、2020年の第8戦イタリアGPを最後にチームを後にした。
チームを取得したドリルトン・キャピタルは、ウイリアムズの財政面、そして体制面の改善に向けた行動を起こし、今もその動きが続いている。
80年代から90年代にかけてグランプリシーンを席巻したウイリアムズは、2015年シーズンをランキング3位で終えたが、3年後の2018年にはランキング最下位に落ち込んだ。2019年は1ポイント獲得出来たものの最下位と、2年連続で悲惨なシーズンとなった。昨年、そして2021年もここまでまだポイントを獲得できていないが、前を行くチームとの差は確実に縮まっており、復調の兆しを見せつつある。
ドリルトン・キャピタルがチームの経営権を取得したのは、2020年の下半期。このタイミングは、すでに翌年用マシンの開発がある程度進んでいる段階であり、しかも2021年シーズンは新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各チームへの財政的な影響を考慮して、基本的には2020年用マシンを引き継いで使うことになっており、オーナー変更の効果が見えづらい状況にある。
現在の争いの中で順位を上げるべく、2020年のマシン『FW43』から多くのコンポーネントを引き継ぐ今季の『FW43B』を開発していくの厳しいのではないかと聞かれたラッセルは、ウイリアムズが以前抱えていた財政不安が、過去と現在のパフォーマンスにどう影響しているかを語った。
「知っての通り、2019年は信じられないくらい厳しいシーズンだった」とラッセルはmotorsport.comに述べた。
「それから2020年を通じて起きた出来事、つまりパンデミックによってチームの財政状況が非常に厳しくなったため、開発や改善を行なうことはかなりタフだと認識していた」
「僕らは新たなオーナーを迎え入れた。残念ながら、僕らが2021年に良い変化をつけるには、来るのが遅すぎたけどね」
「僕らはベースラインからかなり離れているので、いきなり大量の資金を投入したところで結果は期待できない」
George Russell, Williams FW43B
Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images
「彼ら(ドリルトン・キャピタル)も結果を急いでいる訳ではないから、そうするのは賢明とは言えなかっただろう。彼らは正攻法でやろうとしている。絶対に正しい方法でね」
「彼らは長期的にチームに留まるつもりであり、とても強力な中長期的な目標を持っている」
「そして、ヨースト(カピト/現ウイリアムズCEO)とテクニカル・ディレクターのFX(フランソワ-クザビエ・ドゥメゾンの愛称)が加わったことで、チームはようやく真の安定性を取り戻しつつあり、トップの指示のもと、クルーたちはそれぞれの役割に十分に集中することができるようになっている」
「それは、長い間僕らが持っていなかったものだ」
「僕が以前述べた通り、クレアとマイク(オドリスコール/元チームCEO)がいた頃の主な目標は、チームを存続させることだった。それが絶対的かつ明確な目標で、パフォーマンスは二の次だった」
「しかし今は、パフォーマンスが全てだ」
「パンデミックの際にチームを存続させたクレアとマイクの素晴らしい努力がなければ、僕らの多くは今日ここにいなかったかもしれない」
「でも今は物事が安定していて、チームの未来は明るい」
先日の第5戦モナコGPでウイリアムズは750回目のF1レーススタートを迎えた。ラッセルはこれについて、「この素晴らしい歴史の一部であることに誇りを感じている」とコメントを残した。
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