メルセデスは「何かする必要があった」ラッセルのタイヤギャンブル、不発も納得感

メルセデスのジョージ・ラッセルはF1シンガポールGPでいち早くスリックタイヤに履き替える”ギャンブル”を選んだ。彼は「メルセデスは何かを試す必要があった」と後に語った。

George Russell, Mercedes W13

George Russell, Mercedes W13

Zak Mauger / Motorsport Images

 F1第17戦シンガポールGPは決勝スタート前にスコールに見舞われ、レースはウエットコンディションでスタート。ジョージ・ラッセル(メルセデス)はいち早くスリックタイヤに履き替えるギャンブルを選んだが、この作戦は“何かをする必要がある”と考えていたためだという。

 各車がインターミディエイトタイヤを使用してスタートしたシンガポールGPは、路面の乾きは決して早いとは言えない状況となった。

 ラッセルは今回、パワーユニット交換によるペナルティで、ピットレーンからのスタートとなっていた。そのため後方から追い上げる必要があったが、序盤にフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がエンジントラブルで停止し、VSC(バーチャルセーフティカー)が出されたタイミングで“ギャンブル”に出た。

 ラッセルはまだ他のドライバー達がインターミディエイトで走っている中、ひとりスリックタイヤ(ミディアム)を選択して、コースに戻ったのだ。

 この大胆なギャンブルが成功するかどうかには注目が集まったが、ピットアウト後最初のコーナーで大きく挙動を乱していたことからも、スリックタイヤは時期尚早だということは明らかだった。

 タイム的にも他に劣るペースであったが、それでもラッセルはそのまま走行を継続。徐々に改善してくると、最終的には他のドライバーたちもスリックへの切り替えを行うようになった。ただ、そうしたギャンブルも虚しく、ラッセルは14位フィニッシュに留まった。

 ラッセルは今回のギャンブルに関して尋ねられると、次のように語った。

「ああ。僕はピットに入った時、新しいインターミディエイトを求めていたんだ」

「そして、あの状況で僕はチームを信じたし、チームも僕を信頼してくれていた。彼らは、スリックを使うといったように、何かを試す時だと考えていたんだ」

「“ええい、ままよ!”といった具合に何かをする必要のあるポジションに、僕はいたんだ。F1でこういう状況にいるのはフラストレーションが凄いんだけどね。でも今年は、これまでの17戦だったかな、そのうち15戦では凄く良かった。つまり、毎回正解することはできない、ということなんだ」

「正直に言うと、全体的に少し混乱もあった。こういったレースでは、ポツンと一人の時に緊張が高まり、何かをしなくちゃならない状況になるんだ」

George Russell, Mercedes W13

George Russell, Mercedes W13

Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images

 またラッセルはギャンブルが当初は失敗に終わっても、無意味ではなかったとも付け加えている。

「確かに、あのタイミングでは完全に間違った決定だった。でもその後でプラスになったこともある」

「セーフティカーが入ってリスタートした際、僕は1周で3台を追い抜くこともできたし、ミック(シューマッハー/ハース)のインシデントが起こるまでは11番手だったんだ」

「だから(ギャンブルは)どっちの面もあったんだ。そして、僕らが大きく前進していることは示せたとも思う。そのことが、今年の残りのレースに向けてポジティブにさせてくれるんだ」

 メルセデスはスパ、モンツァと厳しいレースが続いていたが、ラッセルはシンガポールGPでチームが“普通のペース”に戻ったと考えている。

「まあ第一に、今日はマシンへの自信を再建できたと思う」

「そして通常のペースが戻ってきたと思う。間違いなく、今週末のクルマは勝利できる能力を備えていた。だから、そこは良かった点のひとつだ。だからこそ、この週末の展開はちょっと残念だった」

「F1では時にはこういうこともある。チームとしても、シーズンを通じてしっかりやってきたと思う。でも今週末は、ちょっと逆風になっていたんだ」

 なおラッセルはシンガポールGPにおけるオーバーテイクの難しさが、問題の一因になった可能性を指摘している。

「こういう状況だと、大胆になる必要があるんだ。DRS無しではこうしたコースでF1マシンを抜くのはほぼ不可能だ」

「F1はこうしたオーバーテイクの機会が限られているコースについて学ぶべきだ。ここやバルセロナは、コーナーが速すぎる」

「100メートルを示すボードでブレーキングして、直角の左コーナーに入っていくんだ。より良いレース、より良いオーバーテイクをするために、タイトなコーナーにするためのスペースは十分にある」

「僕は凄く後方からの追い上げになったけど、それが報われれば素晴らしかったろう。でもそうはならなかった。だけど今日は、僕らのペースを示すことはできたと思う」

 
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