”師”ベッテルの引退にシューマッハー悲しみ「特別な人だったから、F1に大きな穴が残る」

　7月28日、アストンマーチンF1のセバスチャン・ベッテルは2022年シーズン限りでの現役引退を発表。同郷のミック・シューマッハーは、ベッテルの引退を惜しんでいる。

　2021年にF1デビューを果たしたシューマッハーだが、彼とベッテルは親密な関係を築いてきており、友人でありF1では師弟でもある関係となっていた。

　シューマッハーはしばしばベッテルにアドバイスを求めることもあり、彼らはトラック外でも共に過ごすこともよくあった。

　そんなシューマッハーにベッテルが引退を告げたのは、28日の朝。シューマッハーはこの知らせは悲しいモノだったと認めた。

「当然だけど、一方の面ではとても悲しかった」と、シューマッハーは言う。

「F1において彼はああいうキャラクターのひとで、特別な人物だったから、引退によってスポーツに大きな穴を残すことになる。そして、彼はとても好感を持てる人物だったから、彼がいなくなってしまうのは凄く寂しいよ」

　ベッテル引退の影響について、シューマッハーはこう続けている。

「単なるレース以上の影響があるよ」

「夕方、彼の所を訪ねて一緒に夕食をとることもできたんだ。それが本当に恋しくなるだろう」

「彼は僕が母国語で話すことのできる人なんだ。誰にとってもそうだろうし、特に僕としては彼の引退がとても、とても惜しいよ」

　なおベッテルの”引退”という決断に驚かされたかと訊かれたシューマッハーだが、彼はその点については驚かなかったと語っている。

「驚いた、とは言わないよ。僕はセブのことはよく知っているからね。彼は他にやりたいことがあるということだと思うし、そう感じていた」

「そして結局のところ、彼がそのタイミングだと感じたなら、そうすべきなんだ。そういうのは直感の問題なんだろう。だから彼の決定を100％支持するよ」

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Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images

　ベッテルは環境や人権問題など、様々なテーマに対して率直に意見を述べることで、リスペクトされてきたドライバーでもある。シューマッハーはベッテルのようなユニークなドライバーの不在は、パドックでも感じとる事ができるだろうと語っている。

「誰もセバスチャンに取って代わることはできないと思う」と、シューマッハーは言う。

「それが事実だ。コース外ではそれは政治的なモノになるけど、僕は誰かがそうしたモノに発言し、指摘することは大事だと思うんだ」

「でもセバスチャンはまだ立ち止まっていない。ビデオの中で言っていたように、まだこれからだ」

「そして、彼が話すことから僕ら全員が学べるんだと、確信している。それから、彼はドライビングしていなくとも、依然としてF1では大きな声であるだろうと思っている」

　そしてシューマッハーは、ベッテルが他のドライバーの態度の変化を促し、ドライバーがより自信を持って本音をぶつけるようになったと語った。

「彼は最初に一石を投じたんだと思う」

「その影響はどんどん大きくなって、より多くのドライバー達が声をあげて、自分の考えについて話すようになり始めたと思う。でも繰り返しになるけど、セバスチャンの代わりは誰もいないと思うんだ」