優勝争うハミルトンが“周回遅れ”に道を譲る珍事……サインツJr.が当時の状況を説明
カルロス・サインツJr.は、F1シュタイアーマルクGPで一度周回遅れにされたルイス・ハミルトンを抜き返すという奇妙なシナリオが起きた経緯について説明した。
写真:: Charles Coates / Motorsport Images
レッドブルリンクで行なわれたF1シュタイアーマルクGPのレース終盤65周目(残り7周)、少し珍しい光景が見られた。5番手を走るランド・ノリス(マクラーレン)を追っていたカルロス・サインツJr.(フェラーリ)が、一度周回遅れにされた2番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)に道を譲ってもらったのだ。
ミディアムタイヤでのファーストスティントを延ばす作戦が成功していたサインツJr.は、ライバルよりも周回数の若いハードタイヤでペースを上げていた。46周目には後方から迫るハミルトンを一旦先行させて周回遅れとなったサインツJr.だったが、その後の両者のペースはほぼ同等であり、60周目を迎える頃にはむしろペースの上がらないハミルトンにサインツJr.が引っかかるような状況となってしまっていた。
当時の状況を、サインツJr.は次のように語った。
「とても奇妙なシナリオだった」
「ハードタイヤを履いてピットアウトした後はペースがかなり良かったから、ランドに追い付くのが楽しみだった」
「残念なことに、青旗が振られたのでルイスを行かせないといけなかった。僕はルイスがそこから引き離しにかかるだろうと思っていた」
「でもなぜかメルセデスはタイヤに苦しんでいて、僕の方がかなり速かった。ただ、彼が2番手を走っていることも、チャンピオンを争っていることも知っていたので、馬鹿な真似をするつもりはなかった」
「彼のレースを邪魔したくはなかった。でも同時に、僕はランドに追い付けないということが分かってきて焦っていた。彼がランドを周回遅れにするような様子もなかったからね」
「だからあるタイミングで僕たちは、メルセデスに対して『自分たちを前に行かせてくれると嬉しい』と伝えることを考えついたんだ。そして僕たちがDRS圏内に入ると、彼らは道を譲ってくれたので、ランドを再び追いかけることができたんだ」
「でも僕はルイスの後ろで15周もタイムロスをしてしまった。ランドを追いかけてプレッシャーをかけるという点では、このことが痛手となった。ルイスの後ろでフロントタイヤを消耗させながらDRS圏内で走ろうとする状況は理想的とは言えなかった」
ハミルトンに引っかかっていた際、サインツJr.は無線でチームに対し、ハミルトンに道を譲ってもらうようメルセデスに頼めないかとリクエストしていた。
フェラーリはこれを承諾し、その後サインツJr.に「自分自身で周回遅れを取り戻せるかやってみるといい」と伝えた。それに対してサインツJr.は「リスキーすぎるのではないか」と返したが、フェラーリが「ハミルトンには道を譲るように伝えてある」と報告したため、65周目のターン4手前でハミルトンを交わしにいったのだった。
無事ハミルトンの前に出ることに成功したサインツJr.は、無線で「ハミルトンには借りができたね。みんなありがとう」と話し、チームとハミルトンに感謝の言葉を述べた。
結果的にサインツJr.は残る6周半でノリスを捉えるには至らず6位でチェッカーを受けた。しかし全体的なパフォーマンスとしては今季最高だったと考えている。
「クリーンエアで走っている時には非常に速いペースで周回することができていた。マクラーレンよりも速くて、むしろ先頭集団に近いペースだった」とサインツJr.。
「マシンのフィーリングは素晴らしかったし、全体的に見ても僕がフェラーリに加入して以降最も完成度の高いレースだったんじゃないかな」
「タイヤマネジメントやペースのマネジメントなど、とても上手くいったと思うし誇らしいよ」
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