一貫した裁定のため、”常設”スチュワードは必要か? マクラーレン代表は現行制度を支持

マクラーレンのアンドレアス・ザイドル代表は、F1が一貫した裁定を下すために、常設のスチュワードは必要ないと語った。

Mick Schumacher, Haas VF-21, and Nikita Mazepin, Haas VF-21, chase the pack at the start

Mick Schumacher, Haas VF-21, and Nikita Mazepin, Haas VF-21, chase the pack at the start

Jerry Andre / Motorsport Images

 マクラーレンのチーム代表であるアンドレアス・ザイドルは、F1の現行スチュワード制度において、一貫した評決を下すために、常設のスチュワードは必要ないと考えているようだ。

 今シーズンは何度か、スチュワードの裁定が矛盾していると批判されており、ドライバーが過去の事例と類似していると判断したインシデントに対して、過去と異なる裁定が下されている。

 サンパウロGPでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がルイス・ハミルトン(メルセデス)をコース外に押し出した件は大きな話題となったが、ペナルティは出されなかった。

 これに対して、ランド・ノリス(マクラーレン)はオーストリアGPで似たようなインシデントでペナルティを受けており、このペナルティは不当だったと発言した。

 アルピーヌのフェルナンド・アロンソも、特にレーススタート時のコースオフでアドバンテージを得たドライバーに関する裁定に不満を抱いていた。

 裁定を下すスチュワードをレースごとに変更するのではなく、一貫した裁定を下すために、常設を考えるべきだという意見も挙がったが、マクラーレンのザイドル代表は、スチュワードは裁定を下す前に常に前例をチェックしているため、現在のシステムで十分だと考えている。

「正直なところ、私の意見は変わっていない」

「というのも私の知る限り、何か問題が発生した場合、スチュワードはまず過去の事例をさかのぼって、それが比較可能かどうかをチェックして一貫性を保つようにしているからだ」

「レースが終わるたびに、スチュワード同士が情報を共有し、何が起こったのかを詳細に理解するために多くのやりとりが行なわれていることは理解している」

「だからこそ、それが大きな問題だとは思わないんだ」

「例えば、ドライバーズスチュワードの交代制を支持する人が過去に多かったのは、特定のチームやドライバーに対してネガティブな感情を抱かないようにするためという理由があるし、私もそれは良い点だと思う」

「それが最大の問題だとは思わない。現代のテクノロジーを使って、関係者が常にやり取りをしている。関係するスチュワードの間で、一貫性を保つためにはこのやりとりが重要だと思う」

 F1のレースディレクターであるマイケル・マシは、スチュワードを常任することで裁定に”偏り”が生じる可能性があると考えている。今季のように僅差のタイトル争いが展開されるシーズンにおいては、それが批判の原因になるとマシは主張した。

「常任スチュワードには、バイアスが生じてしまうという意見に、思わずうなずいてしまう人もいるだろう」

「今のスチュワード制度は、4名が分担し、そのうちのひとりはドライバーが担当する。そして全てのチェアマンが定期的にミーティングを行なっている」

「どんなシステムだとしても、一歩下がって、素晴らしいドライバーと素晴らしいチームの間で、本当の意味でのチャンピオン争いが久しぶりに行なわれていることを思い出す必要がある」

「それに、人気のあるレギュレーター(規制を行なう者)は世界に存在しない」

「レフェリーであろうと、どのスポーツのレギュレーターであろうと、それは我々が果たすべき役割の一部だ。そして我々から見て、(それぞれのインシデントに)常にわずかな違いが存在するものだが、最終的にはスチュワードがそれを判断するんだ」

Additional reporting by Jonathan Noble and Adam Cooper 

 
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