メルセデスF1の新車W12の”重箱の隅をつつく”ような開発……この怠らない姿勢が最強の証
2014年以来、圧倒的な強さでF1の世界を支配してきたメルセデス。彼らはどこか一箇所のみが秀でているわけではなく、様々な部分での細かい開発の積み重ねが、その成績を後押ししている。少しだけ公開された新車W12にもその努力が垣間見えた。


メルセデスは2014年以降、F1で圧倒的な強さを見せている。昨シーズンまで、実に7年連続でダブルタイトルを連覇中。他の追従を許していない。
当初、メルセデスの強さはそのパワーユニット(PU)の後押しによるものだった。しかしそれに胡坐をかくことなく、様々な領域で細かい開発を積み重ねてきたため、この優位が続いているわけだ。
F1で勝つための特効薬は、ほとんどの場合存在しない。いくら良いエンジンがあっても、今のF1では空力面やその他の部分のパフォーマンスも伴っていないと、勝ち続けることなどできないのだ。
そのため各チームは”重箱の隅をつつく”ような開発を繰り返す。そしてその成功例を積み重ねて初めて、パフォーマンスの大幅アップに繋がるのだ。
最強の座をほしいままにしているメルセデスは、今も細部の開発に目を向け続けている。先日チームは、バルテリ・ボッタスのシート合わせのビデオを公開したが、そこにチラリと映ったW12のモノと思われるコクピットを見ると、再びその細部を掘り下げた”痕跡”のようなモノを見つけることができた。
そこに映ったマシンを詳しく見ていくと、メルセデスはマシンの上面を流れる気流を整えるべく、リヤビューミラーのステーに興味深い変更を加える準備を整えているようだ。
当該のビデオに映し出されたリヤビューミラーは、これまでよりも付け根の部分がコクピットの方向に伸ばされ、その上端は階段状になっている。おそらくこうすることによって、空力性能を向上させようとしているのだろう。
またミラーステーが斜めに取り付けられているところも、昨年とは違うところだ。これによって前面投影面積が増えるが、コクピット周辺の気流に影響を及ぼしているのは間違いない。
ボッタスのシート合わせの際に使われたモノコックには、ハロが取り付けられていない。しかしハロも含めて全ての構造物を空力的に活用するのはF1としては必須のこと。このミラーステーも、ハロの形状と関連して配置されたものであるはずだ。
なおメルセデスは、マシンの各所に今回のような階段状だったり、ノコギリの歯のような形状だったり……つまりギザギザの部分を多く採用してきている。中でも有名なのは、コクピット前方のウインドシールドだろう。これによっても、コクピット周辺の気流をコントロールしているはずだ。
この他にもフロントウイングやリヤウイングにも、複数回にわたってこのギザギザの形状を搭載。DRSのアクチュエーターポッドの後端にもこの処理を施したこともあった。この形状は、大型航空機ボーイング787のエンジン後端にも採用されているものだ。
最強の座にありながら細かな開発を怠らないメルセデス。今季もトップクラスのマシンを登場させるのは間違いないだろう。同チームのニューマシンW12は、3月2日(火)に発表される予定だ。
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