

ベネトンやルノー、ウイリアムズの技術部門を率いたパット・シモンズは、F1のダウンフォースは大きすぎるとしながらも、削減しすぎるのも問題だと語る。
ベネトンやルノー、ウイリアムズの技術部門トップを務めるなど活躍したパット・シモンズは、F1のダウンフォースレベルを下げるのは簡単ながらも、F1の”ショー”を面白くするための良い解決策にはならないだろうと語った。
F1はコース上のオーバーテイクを増やすなどして、より良いショーを生み出すことを目指している。この数年、オーバーテイクの数が減少したことで、F1の魅力のひとつが削がれてしまったと言う批判の声が上がっているからだ。
オーバーテイクが難しくなっている理由として取り沙汰されているのが、ダウンフォースの大きさである。
現行マシンのダウンフォースは非常に大きく、高いスピードでコーナーをクリアすることができる。しかしその反面、ストレートスピードとの速度差が小さくなり、オーバーテイク数が減少することになった。この状況を打破するため、トロロッソのチーム代表であるフランツ・トスト代表は、ダウンフォースを「40〜50%削減すべき」だと提言している。
オートスポーツ・インターナショナル・ショーの会場に訪れたシモンズは、トスト代表の意見に反対。ダウンフォースを削減することは簡単であるものの、それは間違った解決策であると主張した。
「頭を悩ませるような議題がある時には、極端な選択肢を考え、そしてどんな回答が得られるのを検討してみるべきこともある」
そうシモンズは語った。
「ダウンフォースがゼロという極端な考え方をすれば、F1は良くなるべきだと皆さん言うだろう。なぜなら、そうなったらもうダウンフォースを失うことはないからだ」
「だからこそ、そういう理論もこの議論の中にはある」
「しかし、物事はそれよりもはるかに複雑だ。現在のF1マシンは、大きなダウンフォースを生み出すことができる。しかし、重量特性ははるかに悪くなっている」
「ダウンフォースを減らすこと自体は簡単だ。しかし、今よりも良いと思うことはできないだろう」
トストは、ダウンフォースを減らした方が、前のマシンに追従しやすくなり、コーナーをクリアするのが難しくなり、その結果制動距離が長くなることでオーバーテイクがしやすくなるはずだと言う視点に立っている。
ダウンフォースを著しく削減することについては反対するシモンズだが、現在のあまりにも高すぎるダウンフォースレベルは、許容できないとも語る。そして、ほとんどのレースをワンストップで走りきることができる今のF1の状況にも嘆いている。
「私は、速いマシンを欲している。しかし、素晴らしいショーであってほしいとも思っている」
そうシモンズは語った。
「連なって走り続けるのであれば、素晴らしいショーであるとは思わない」
「ラリーカーは素晴らしい。そのマシンは、安定性とは程遠い所にいるように見えるからだ。ドライブするのが難しいように見え、そして実際にドライブするのは難しい」
「しかしF1マシンは、ドライブするのが難しいようには見えないだろう。特に現時点では、ピットストップの回数を減らすために、最大限の性能を発揮せずに走っている。それは、チームの戦略によるものなのだ」
この記事について
シリーズ | F1 |
チーム | ウイリアムズ |
執筆者 | Scott Mitchell |