「角田裕毅は将来の勝者……今も100%信じている」レッドブルのマルコ博士語る

今季アルファタウリ・ホンダからF1デビューを果たした角田裕毅。なかなか成績が安定しない状況が続いているが、レッドブルのドライバー人事に大きな影響を持つヘルムート・マルコ博士は、今もその才能を信じて疑っていない。

Yuki Tsunoda, AlphaTauri AT02

Yuki Tsunoda, AlphaTauri AT02

Charles Coates / Motorsport Images

 レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、今季F1デビューを果たした角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)について、依然として将来のF1ウイナーだと考えていると語った。

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 角田は今季からF1への参戦をスタート。開幕戦でいきなり9位入賞を果たす活躍を見せた。しかしその後は予選Q1でクラッシュするなどミスが相次ぎ、9戦目までを終えた段階で獲得ポイント9、入賞3回と、39ポイントを獲得しているチームメイトのピエール・ガスリーに大きな差をつけられている。

 角田は当初はイギリスのミルトンキーンズをヨーロッパでの活動拠点としていたが、モナコGP以降はチームのファクトリーがあるイタリアのファエンツァに移動し、チーム代表のフランツ・トストの”指導”を受けている。

 レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるマルコ博士は、motorsport.comの姉妹サイトであるMotorsport-Total.comの取材に応じ、角田について次のように語った。

「角田は典型的な日本人ではない。我々はFIA F3でもうひとりの日本人、岩佐歩夢を走らせているが、礼儀正しく、規律を持っている。角田のような発言をすることはないね」

 マルコ博士はそう語った。

「しかし一方で、角田はとても爽やかだ。だから我々は、彼の疑いのないスピードと、その態度を維持させることを考えていく必要がある。その態度は、主に肯定的なモノに対する反応なのだ。しかしそれと同時に、彼の働き方やトレーニングについては、自制することを植え付けていかなければいけない。イギリスでは、そうはいかなかった」

「我々は彼を絶賛した……我々はバーレーンでの、彼のセンセーショナルなパフォーマンスに注目したんだ。しかしその後、イモラの予選では、最初のアタックで愚かなクラッシュを起こしてしまった。Q3に進むことができるマシンを持っている時に、そのマシンを壊してしまうのは、愚かなことだ」

「我々は、彼のアグレッシブさとその気さくなキャラクターを失わないようにして、コースを走らせるようにしなければいけない。例えばコーナーでどれほど速いかというのは、信じられないほどだ。オーストリアを見てみれば、彼は予選で、ガスリーに0.1秒ほど遅れただけだったのだ」

「速いコーナーで言えば、少なくともガスリーと同じレベルだ」

 角田は日本から渡欧し、異なる文化の中で日々を過ごしている。それが、角田が苦労しているひとつの要因であると、マルコ博士は改めて語った。

「日本は、(ヨーロッパとは)文化が大きく異なる。そういう点では、フランツ・トストは長年日本にいたから、利点はあるね。彼は日本の文化を理解しており、何が重要なのかということも分かっている。しかし、角田にとって問題なのは自制に関することだ。彼は単に、図に乗りすぎただけだと思う。ヨーロッパや南米の人のアプローチは、日本人とは異なるんだ」

「基本的には、今彼に起きていることの”傾向”については、良好であると言える。最近、多くペナルティを受けているという事実はあるが、それはペナルティの方にも問題がある。過度に扱われすぎているんじゃないかと思うのだ」

「でも、彼が過ごしているのは学習のプロセスであり、レッドブルとアルファタウリは、彼が将来の勝者であると、100%確信している」

 マルコ博士はアゼルバイジャンGPの際に角田と直接話をし、最近の成績には”満足していない”と伝えたと言われている。そしてマルコ博士に対峙すると、どんなドライバーでも震え上がるとすら言われる。その時、どんな会話があったのか? それを尋ねると、マルコ博士は次のように語った。

「事実について話し合っただけだ。簡単に予選Q3に進めるマシンがあるのに、Q1で敗退したことについてだ。Q1でどんなに頑張っても、予選に勝つということにはならない。また、彼はレースのマネジメントを磨く必要はあるが、タイヤマネジメントについては非常に優れている」

「誰もが震えるというのはナンセンスだよ。議論されているのは、事実についてだけだ」

 角田と言えば、過激な無線交信が話題となっている。普段話す時も同じような態度なのかと尋ねられると、マルコ博士は次のように語った。

「それぞれの個性を奨励するというのは、我々のトレーニングシステムの一部だ。カメラに向かう時のトレーニングはしていないし、インタビューのトレーニングをするためにジャーナリストを招くようなこともしていない」

「我々は人の個性を潰して、全ての人を同じにするということを望んでいない。それぞれのキャラクターが必要だ。しかし時には、混乱している彼らに指摘する必要がある」

 

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