クラッシュ続発でハースの”お財布”がヤバい! 波乱傾向のアゼルバイジャンを乗り越えられるか?
ハースF1のギュンター・シュタイナー代表は、予算上の圧力が生じているため、ミック・シューマッハーがこれ以上大きなクラッシュを続けることはできないと語った。
写真:: Steven Tee / Motorsport Images
ハースF1のギュンター・シュタイナー代表は、クラッシュの続いている現状について、予算上の圧力となってしまっているため、今後も大きな事故を繰り返すわけにはいかないと考えている。
シュタイナー代表が念頭においているのは、クラッシュを繰り返しているミック・シューマッハーの件だ。
シューマッハーは直近では、モナコGPでマシンが真っ二つになる大きなクラッシュを経験。それ以前にもサウジアラビアGP予選での大クラッシュや、マイアミGPでのセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)との衝突など、序盤7戦で幾度かマシンを損傷させてきた。
モナコで発生したクラッシュだが、シャシーは現在も修理中な一方、ギヤボックスはクラッシュの衝撃で、再利用が不可能となってしまうダメージを受けた。
「こういった風に続けるのは無理だ」と、シュタイナー代表は言う。
「そして、彼もそのことは分かっている。ミックは壁に衝突してしまっているが、健全ではない」
「当然だが、彼はポイントを稼ぎたがっている。そしてもちろん、ウォールに突っ込むようなら、ポイントは獲得できない」
「彼はそれを理解している。だからプレッシャーをかけて、『またクラッシュするんじゃないぞ』と言うべきではないんだ。私も決してそれは言わない。ドライバーもクラッシュするべきではないというのは、分かっていることだからだ」
「色々な事が起こっているが、たったひとつの冴えた答えというものは存在しない。我々はどうやって進んでいくかを見極める必要がある。解決すべきこともたくさんあるんだ」
そう語るシュタイナー代表。ただやはり、繰り返されるクラッシュには複雑な感情もにじませていた。
Mick Schumacher, Haas VF-22 crash
Photo by: Steven Tee / Motorsport Images
「F1は非常に競争の激しいスポーツだ。そして自身の限界を踏み越えてしまうのも簡単なんだ。そして、それが大きなダメージにもなる。モンテカルロやジェッダ、バクーやモントリオール、シンガポールといった場所は特にそうだ。彼はモナコでの出来事を繰り返さないように自分自身を調整することが必要だろう」
「だがそれを5回注意すれば良くなるというものでもないし、悪化してしまうと思う。こういったことは逆の反応が出てしまうかもしれないんだ」
シュタイナー代表によると、チームは既に2022年シーズンに許容できるダメージを越えてしまっているという。
「我々は許容できる部分を通り過ぎてしまっている。たくさんのポイントを獲得するというのは嬉しいものだが、クラッシュへの許容量にも直面しているんだ」
なおハースはクラッシュによる損害に関して、チームからシューマッハーに具体的なコストを説明する必要はないと考えているようだ。
「我々がその件(損害)について話しているが、彼にどれだけの金額なのか、チームを運営するのにいくら必要なのかといったことについては話していない」
「彼も君たちのニュースは読むから、この金額は本当なのかと尋ねてくる。しかし私はそれを話していないので、分からないと答えて、推定ではイエスだと答えているんだ」
予算の問題は、ハースのような中小規模のチームだけではなく、ビッグチームにもつきまとっている。ただシュタイナー代表としては、交換部品の入手にかかる時間も問題となっているという。
「予算”上限”は問題がない」と、シュタイナー。
「我々にとって問題なのは予算上限ではなく、予算自体だ」
「それを追加するのは決して良いことではない。さらに今抱えている問題として、パーツを作る速さが存在していて、ますます難しくなっている」
「ダラーラは昼夜を問わず働いて、ここにスペアを持ってきてくれている。だから我々は走り続けることができる。支払いがあるため、資金は常に問題ではある。だが実際の問題は、十分な部品を作ることだった」
「カウルの金型はひとつで、たくさんあるわけではない。それを作り続けようとすれば、時間が掛かるんだ。だからこれはチャレンジだったんだが、ダラーラは本当にいい仕事をしてくれた。サスペンション面では、フェラーリに助けてもらったんだ」
一方でシュタイナー代表は、クラッシュによるダメージと、マシンのアップデートを行なう際の潜在的な影響になる可能性については、評価が難しいと話している。
「いや、定量化するのは難しい」
「どこかで節約を試みることも必要だし、常にアップデートパーツがあるというわけでもない。様々なことが混ざり合っていて、単純ではないんだ。だからベストを尽くして、予算が足りるように走らなければならないんだ」
「犠牲にしなければならないようなことは、何もない。まだシーズンは序盤で、どこかで節約することもできるかもしれない。ただこうした状況が続くと、節約するための時間も、お金もなくなってしまう」
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