これで丸わかり! 2026年F1バルセロナテスト:全チームの動向とコメントを振り返り……抜け出すのはどこだ!
スペイン・バルセロナで行なわれた2026年のF1シェイクダウンテスト。新規則での最初のテストながら大きなトラブルはなかったが、その進捗は様々であった。
レギュレーション変革により、マシンが大きく様変わりした2026年シーズンのF1。プレシーズンテストは計3回実施されるが、バルセロナ-カタルニア・サーキットでの最初のテストは非公開となった。この措置はチーム側からの要望であり、同時にバーレーンが公式テスト開催の特権を得るために費用を支払ったからだとも言われている。
5日間のうち各チーム3日間走行可能だったこのシェイクダウンテストは、2014年のパワーユニット導入時と比べて驚くほど順調であった。ただ当然ながらチームによってその進捗や順調さには差がある。今回は各チームの動向とコメントを振り返る。
マクラーレン——291周
Photo by: McLaren
王者マクラーレンはテスト3日目〜最終日まで3日連続で走行。2日目には燃料システムのトラブルに見舞われ、走行距離が少なくなってしまったが、致命的な問題に直面している兆候はない。
とはいえ、彼らは新しいパワーユニット、とりわけより強力になった電動モーターの特性理解とセッティングに多くの課題が残っていると認めた。これはある程度すべてのチームに当てはまることだろうが、それでも率直で興味深い発言だった。
エンジニアリング担当テクニカルディレクター:ニール・ホールデイのコメント
「走行初日と2日目には小さな問題で周回数を失ったが、最終日は我々が必要としていた内容を達成できた。両ドライバーが信頼性の懸念なく多くの周回をこなした」
「新しいパワーユニット規則は、とりわけエネルギーのデプロイメント(使用)と回生に関して複雑さを増している。シミュレータでできることは行なったが、実走行に勝るものはない。メルセデスHPP(ハイ・パフォーマンス・パワートレインズ)との緊密な協力が、解決策の洗練に役立った」
「実走行から得られたテレメトリデータは、シミュレータの再現性をより高めるだろう。我々はフロービズを含む有意義な空力テストを実施し、次の開発ステップの基準となる膨大なデータを収集した」
メルセデス——500周
Photo by: Mercedes AMG
今回のテストで驚異的な周回数を記録したのがメルセデス。新レギュレーション初年度のマシンでの初テスト500周走破という記録は特筆すべきものだ。いくつかの典型的な不具合はあったものの、基本的にはすこぶる順調であり、2日目はレースシミュレーション、3日目は予選想定の走行へとスムーズに移行できた。
もっとも、「信頼性が高い=速い」というわけではないため、判断にはもう少し時間が必要だが、それでもジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリのふたりは明らかに手応えを感じている様子だった。メルセデスにとってこれ以上ない3日間だったと言える。
トラックサイド・エンジニアリングディレクター:アンドリュー・ショブリンのコメント
「信頼性の観点から見ると本当に印象的だった。マシンにはすべて新しいシステムが搭載されているが、非常にうまく機能している」
「シルバーストンでのシェイクダウンでも、今回の最初のテストでも、我々は達成すべき目標を明確にしていた。そしてこの2回で、そのほとんどを達成できた。バーレーンでは、セットアップの探求により重点を移し、マシンを最適なウインドウに入れる方法を探っていくことになる」
レッドブル——303周
Photo by: Formula 1
自社開発のレッドブル・フォード・パワートレインズ製(RBPT)パワーユニットをデビューさせたレッドブルは、ライバル陣も感心させる非常に生産的なスタートを切った。初日には107周を走破し、好調な滑り出しを見せた。
しかし、2日目にアイザック・ハジャーが雨の中クラッシュ。チームは急遽ミルトンキーンズからスペアパーツを空輸する必要に迫られた。それでもマックス・フェルスタッペンは走行最終日に118周を走行したため、姉妹チームのレーシングブルズも含め、RBPTは十分なデータを収集することができた。
チーム代表:ローレン・メキーズのコメント
「自社製PUを搭載したRB22でここに来られたことは、我々にとって非常に特別な瞬間だった。月曜はアイザックとともに100周以上を走れたが、火曜は少し難しい一日になった。アイザックは非常に難しいコンディションの中、マシン側にもまだ多くの課題が残る状況で、終盤にコースオフしてしまった。不運ではあったが、こういうことは起こり得る」
「収穫は非常に多く、マックスの経験とエンジニアリングに対する細かなフィードバックは、バーレーン、そしてその先に向けた準備に大いに役立つだろう。開発拠点でこのPUを仕上げてくれた全員をどれほど誇りに思っているか強調したい。もちろん、まだ始まったばかりで完璧ではないが、すでに多くを学び始めている」
フェラーリ——444周
Photo by: Ferrari
フェラーリは、メルセデスほど見出しを飾ることはなかったものの、静かに、非常にポジティブなスタートを切っている。目立たなかったのは、メルセデスよりもテスト開始が1日遅く、テスト終了も1日遅かったからだろう。シャルル・ルクレールとルイス・ハミルトンは、1年前と比べて順調なプレシーズンを過ごしている様子だった。
ハミルトンは非公式ながら1分16秒348というテスト最速タイムを記録している。もちろん、シェイクダウンテストのタイムに意味がないことが言うまでもないのだが。またフェラーリPU勢の周回数は、メルセデス勢のそれと比較しても遜色ない。
チーム代表:フレデリック・バスールのコメント
「長い1週間だったが、全体としては生産的だった。ウエットからドライまでさまざまなコンディションを経験し、各日ともかなりの走行距離をこなすことができた。この段階ではデータ収集と信頼性確認が極めて重要だ。大きな問題は発生しておらず、それも重要なことだ」
「とはいえ、まだ初期段階であり、分析し改善すべき点は多い。これからマラネロに戻り、学んだことを精査し、より実戦的なバーレーンテストに向けて準備を進めていく」
ウイリアムズ——0周
Photo by: Williams
ウイリアムズの総括は短い。そもそもテストに参加できなかったからだ。
チームは全てのパーツを生産ラインに送り込もうと無理をした結果、準備が間に合わなかった。テストに参加することも出来なくはなかったようだが、そうすれば序盤戦にパーツ不足に苦しむリスクがあった。2024年オーストラリアGPのように、パーツが足りずに1台しかレースを走れない事態は避けたいのだ。
その代わり、チームはシミュレータなどで準備を進めたが、ライバルより後れを取っていることは否めない。唯一の救いは、順調なテストを過ごしたメルセデスのカスタマーチームであるということか。
チーム代表:ジェームス・ボウルズのコメント
「非常につらい状況だ。我々は自分たちの処理能力以上のことを無理に通そうとしていたことを認めなければならない」
「バルセロナに間に合わせることは可能だった。しかしそうすればバーレーン(公式テスト)、メルボルン(開幕戦)、そしてその先に向けたスペアパーツやアップデート計画に大きな影響が出ていただろう」
「正しい準備を整えてバーレーンに臨むことこそが正しい判断だと確信している。バーレーンでは実戦的なコンディションで6日間のテストが残っている」
レーシングブルズ——319周
Photo by: Red Bull Content Pool
レーシングブルズはメルセデスと同様、テスト4日目の時点で全ての走行日程を終了。非常に効率的なプログラムとなり、レッドブル同様にRBPT製パワーユニットの初走行としては印象的な周回数を重ねた。
リアム・ローソン、新人のアービッド・リンドブラッドは共に1度ずつ赤旗の原因となったが、共に160周前後を走行した。
チーフ・テクニカルオフィサー:ティム・ゴスのコメント
「大成功だったと言える。こうした最初のテストでは、とにかくコースに出て周回数を重ねることが目標になるが、まさにそれを達成できた。ご存じの通り、まったく新しいマシンで、すべてがこれまでと違う。これほどの変革はかつてなかった」
「その中で、我々自身も姉妹チームも含めて問題なく走行できたのは本当に印象的だ。レッドブル・フォード・パワートレインズの仕事ぶりは見事だった。F1に新規参入し、初日から約200周近くを走らせることができたのは素晴らしい成果だ。このレベルの信頼性は当たり前だと思ってしまいがちだが、彼らが成し遂げたことは決して過小評価できない」
アストンマーティン——65周
Photo by: Aston Martin Racing
ウイリアムズ同様、アストンマーティンもバルセロナテストに間に合わせるのに苦労したチームだ。しかし彼らはテスト4日目からなんとか走行を開始することができた。またテスト参加のため、古い貨物機をチャーターしてマシンを空輸したことでも話題となった。
AMR26は走行初日こそランス・ストロールが5周を走ったのみに終わったが、翌日はフェルナンド・アロンソが60周を走破して実りある1日とした。ただマイレージ不足は否めず、今季からチームにPUを供給するホンダにとっても、まだ検証すべきことが残っているはずだ。いずれにせよ、エイドリアン・ニューウェイが手がけ、ライバルとは異なる空力処理で注目を集めるこの1台は、間違いなくライバルの設計陣の話題をさらっている。
ドライバー:フェルナンド・アロンソのコメント
「とても特別な瞬間だった。これはエイドリアンがホンダやアラムコ、そしてこの新レギュレーションと共に初めて手がけたマシンだ」
「ここ2週間は、マシンを間に合わせるためにファクトリーは非常に忙しかった。実際にバルセロナに到着できたのは残り2日になってからだったが、これは全員の途方もない努力の賜物だ。(最終日が)実質的な初日になったけど、60周以上をこなし、マシンの反応も良好だったので、ポジティブな1日だったと思う」
ハース——391周
Photo by: Haas F1 Team
ハースは走行初日に順調なスタートを切ったが、走行2日目には信頼性の問題(ひとつは軽微、もうひとつはやや深刻なもの)により、長時間ガレージに留まることとなった。
その問題の影響で、新たな部品を空輸して夜通しで交換作業を行なう必要があったが、最終日には無事に走行を再開。印象的な挽回を見せてオリバー・ベアマンとエステバン・オコンが391周を走り、上出来と言えるテストとなった。
チーム代表:小松礼雄のコメント
「水曜日には信頼性の問題がありましたが、チーム全員が素晴らしい仕事をして状況を立て直し、金曜日にはコースに戻ることができました」
「交換部品は夜遅くに届きましたが、夜間の準備作業は見事でした。9時には走行できる状態に仕上がっていました」
「我々は予定していたプログラムをやり遂げ、多くを学びました。今日(最終日)は単に周回数を重ねることが目的ではなく、質の高い周回が重要だった中、バーレーンに向けて分析すべき膨大なデータが集まりました」
アウディ——243周
Photo by: Audi
同じく新規参戦PUメーカーのRBPTとは対照的に、アウディはバルセロナでの初走行をスムーズに進めることはできなかった。
ガブリエル・ボルトレトとニコ・ヒュルケンベルグは、最初の2日間でそれぞれ100周未満にとどまり、R26は複数回の赤旗の原因となった。テストが非公開で行われたため詳細は明らかではないが、チームは少なくともいくつかの問題がパワーユニット側にあったことを示唆している。
しかもアウディはカスタマーチームを持たないのも辛いところ。車体側に技術的な問題が発生すると、PUについて学ぶ機会も同時に制限されてしまう。だからこそ、最終日に148周を走れたことは、前向きな材料と言えた。
テクニカルディレクター:ジェームズ・キーのコメント
「ここに来る前から、完璧な1週間にならないことは分かっていた。新しいマシンとパワーユニットのパッケージングにあたり、ノイブルク(PU開発拠点)とヒンウィル(シャシー開発拠点)の間で広範な協力体制を築いたりと、初めての試みばかりだった」
「予想どおり、序盤はいくつかの課題に直面したが、この段階ではごく普通のことだ。すべて原因は把握できており、対処可能なものだった。明確かつ着実な進歩を遂げたことで、テスト後半にはより生産的な走行ができ、有意義な知見を引き出し始めることができた」
「今回のテストはパフォーマンスを追求するものではなかった。基礎部分の検証と、主要システムが信頼性をもって機能することを確認するのが目的だった。その点においては良い進歩を遂げ、今後に向けた堅実な土台を築くことができた」
アルピーヌ——349周
Photo by: TWJB Photography
今季から自社製(ルノー製)PUを手放し、メルセデス製のPUとギヤボックスにスイッチしたアルピーヌ。豪華客船上での発表会を華々しく終え、意気揚々とテストに臨んだ彼らは、昨シーズンを犠牲にしてマシンを開発してきた選択が報われるという静かな確信を抱いていた。
その答えはまだ出ていないが、1年前と比べるとはるかに良い状況にあるように見える。そしてそれはパワーユニットだけの話ではない。最終日にはピエール・ガスリーが164周を走り、順調ぶりをアピールした。
マネージングディレクター:スティーブ・ニールセンのコメント
「想定外のことは何も起きていないが、やはり実際に走らせてみるのは大きい」
「完全に新しいマシンということもあり、初日はやはり目標としていた周回数や走行距離には届かなかったが、そこか着実にペースを上げ、最終日には764kmを走破した。これにより、バーレーンに向けて分析すべき多くのデータを得ることができた。周回数という点では、ほぼ目標どおりだ」
キャデラック——164周
Photo by: Cadillac Communications
F1における10年ぶりの新規参戦チームであるキャデラックは、バルセロナテストに初日から参加し、ベテランのバルテリ・ボッタスとセルジオ・ペレスが周回を重ねた。
当然ながらトラブルフリーのテストにはならなかったが、フェラーリ製PUも順調で、全体としては成功と言えるテストだったと言える。もちろん、チームは500人規模のスタートアップ企業であり、これから困難に直面すると予想され、マシンの初期パフォーマンスにも疑問は残る。それでもキャデラックは、本格的かつ完成度の高いF1チームの特徴をすでに備えており、それは非常に心強い。
チーム代表:グレアム・ロードンのコメント
「ここまでの進捗にはとても満足している。新車によくある細かな不具合を一つひとつ着実に解消してきた。ただし、このチームがF1マシンを走らせるのはまだ4日目に過ぎないということも忘れてはならない」
「それでも日ごとに効率は向上しており、手順も順調に機能し、チーム内の連携も非常にうまくいっている。やるべきことはまだ多いが、それはどのチームも同じだ。我々は非常にポジティブな気持ちでバーレーンに向かう」
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