
ロシアGPで勝利を逃したフェラーリは、レース中にセバスチャン・ベッテルとシャルル・ルクレールを巡る”チームオーダー”の問題が発生した。本稿では、レース中のフェラーリの無線交信を振り返ってみる。
ロシアGPを制したのは、メルセデスのルイス・ハミルトンだった。しかしレース序盤、首位をひた走っていたのはフェラーリの2台。4連勝は間違いないと思われていた。
ただ、セバスチャン・ベッテルのマシンがトラブルに見舞われてストップしたことにより発動されたバーチャル・セーフティカーにより、メルセデス勢が先行。生き残ったシャルル・ルクレールは彼らを抜くことができず、3位が精一杯だった。
しかしベッテルがリタイアするまで、フェラーリのチーム内にはチームオーダーを巡る論争が起き、それが公開されたチーム無線で明らかになった。
3番グリッドスタートだったベッテルは、絶好の蹴り出しを見せて1周目のターン2までにルクレールの前に出ることになった。その後レースが落ち着くと、ルクレールは無線で次のようなメッセージを受ける。
「セバスチャンは、次の周に君を前に行かせる」
するとベッテルは次のように返した。
「とにかく彼(ルクレール)を行かせよう。でも、あと2周逃げてみよう。知らせてくれ」
その後でベッテルは、次のようにも語った。
「シャルルを行かせよう」
「とにかく、彼に近付くように言ってくれ」
これに対し、ルクレールはこう語りかけた。
「僕を後ろにするんだね。分かった。僕は全てを尊重するよ。あとで話をするよ。でも、今では差を埋めるのは難しい。明らかにね」
するとベッテルには、次のように連絡が入る。
「彼(ルクレール)はギャップを埋めようとしている。でも、彼は1.4秒遅れている」
「我々はプランCを検討している。シャルルは1.9秒後方だ」
「君は今、コース上で最速のマシンだ。集中しよう。うまくやっているよ」
ルクレールには次のような無線が発せられる。
「シャルル、もう少し後でポジションを入れ替える。ルイス(ハミルトン)はちょっと近い。だから今、プッシュしたいんだ。ポジションの入れ替えは、後で行う。レースに集中してくれ。ありがとう」
ルクレールはこれに対して、次のように返した。
「僕は完全に理解している。唯一のことは、僕はそれを尊重するということだ。スリップストリームに問題はなかった。でもレースの序盤にプッシュしようとしたことで、タイヤがオーバーヒートしてしまった。とにかく、問題ない。この状況をマネジメントするよ」
そしてピットストップ直前には、ルクレールは次のように指示される。
「今君はプッシュするべきだ」
その一方でベッテルは、次のように無線でチームに状況を伝えた。
「僕のリヤのグリップは、今落ちてきている」
そのベッテルに対して、チームは次のように情報を与えた。
「ハミルトンがピットストップを遅らせることを心配している。彼のラップタイムは、1分38秒8だ」
ルクレールはベッテルのピットインラップ中に、次のように指示を受ける。
「今、君はプッシュする必要があるよ」
その後、ベッテルはトラブルに見舞われることになる。
「MGU-Kが動いていない」
その後、マシンを止めろと指示されたベッテルは、次のように返してマシンを止めた。
「本気かよ? V12に戻した方がいいんじゃないか?」
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この記事について
シリーズ | F1 |
イベント | 第16戦ロシアGP |
サブイベント | Race |
ドライバー | シャルル ルクレール , セバスチャン ベッテル 発売中 |
チーム | フェラーリ 発売中 |
執筆者 | Charles Bradley |