レッドブルRB16のアグレッシブな開発……斬新なフロントサスペンション
2020年のF1では、メルセデスが投入したDAS(二重軸ステアリング)が注目を集めているが、アグレッシブな開発をしてきたのは、メルセデスだけではない。レッドブルも、前例のない新型サスペンションを投入してきた。
Red Bull Racing RB16 front suspension
Giorgio Piola
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、シーズン開幕が大きく遅れている今季のF1。本来ならば、メルセデスがプレシーズンテストに投入したDAS(二重軸ステアリング)の効果が、明らかになっていた頃だ。
ただ、2020年用マシンにアグレッシブな開発を施したのは、メルセデスだけではない。レッドブルも、メルセデスに対するスローコーナーでの遅れを取り戻すために、フロントサスペンションに大きな変更を施してきた。
レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、motorsport.comに対して次のように語っていた。
「メルセデスは昨年、低速コーナーでのパフォーマンスが優れていた。だから、改善が必要なエリアのひとつだった」
「我々は一歩踏み出したと思う。そしてもちろん、これはプロセスの始まりに過ぎない。マシンは、ここから進化していく」
レッドブルには、様々な新しいアイデアが投入されている。しかしその中でも注目すべきは、サスペンションレイアウトにありそうだ。
Red Bull Racing RB 16 front suspension
Photo by: Giorgio Piola
昨年モデルのRB15は、フロントサスペンションのアッパーアームが前後で分断された、マルチリンク式となっていた。しかしRB16ではそれが廃され、通常のアッパーウイッシュボーンに置き換えられていたが、代わりにロワアームをマルチリンク化。後方のアームを、前方のアームよりも低い位置に取り付けたのだ。
さらに、前方アームも独自の斬新さがある。このアームはシャシーの非常に高い位置に取り付けられているため、バルクヘッドの下部を小さくすることができる。また、このアームはシャシーを横切る形で反対側へと伸び、左右のロワアームが一体となっている。
またアッパーウイッシュボーンの前方アームにも手がかけられ、クリケットのバットのようなスタイルのフェアリングで覆われている。これは、かつてはマシンのリヤサスペンションで見られた処理で、空力効率を改善するためのモノだ。
レイアウト全体としては、軽量化の効果も果たすはずだ。そして、サイドポンツーン周りの気流を改善するため、フロアやバージボードに向かって気流を下向きに変更するのにも役立つはずだ。
リヤサスペンションのデザイン
レッドブルRB16は、リヤサスペンションのデザインも刷新。非常に高いエクステンションによってアップライトとアームが繋がれている。その一方、下のウイッシュボーンの高さは、ホイールの中心線と同じ高さまで持ち上げられた。
これにより、ロワウイッシュボーン、ドライブシャフトのフェアリングが1列に配置され、これらが連携することでこのエリアの空力改善が目指されている。
なおこのサスペンションデザインとすることにより、フロアすぐ上の部分に、気流が流れる流路を確保することになる。
Red Bull Racing RB16 rear suspension
Photo by: Giorgio Piola
レッドブルはまた、デザインを全面的に刷新することで、ブレーキダクトアッセンブリーに取り付けられたウイングレッドのパフォーマンスを最大化することを目指した。下部にウイングレットを積み重ねることで、新たな流路を確保している。
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