F1メカ解説|アルファロメオは、開幕前テストでどんな“実験”をしたのか?
2020年は、スイスを拠点とするザウバーチームがアルファロメオF1に改称して2年目のシーズンとなる。彼らはプレシーズンテストでどのような試みをしたのか?
写真:: Giorgio Piola
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
Alfa Romeo C39 front wing
Photo by: Giorgio Piola
アルファロメオは今回のテストで、新たなフロントウイングをテストした。これは昨年と同じく、アウトウォッシュ(マシンの外側に空気を流す)のコンセプトに基づいて作られているように見える。
ただ、メインプレーンのデザインはこれまでと形状が逆になっている。ウイング下に多くの空気が流れるように中央部は盛り上がっており、一方で外側のセクションが下がったデザインとなっている(緑の線は従来のデザイン)。なお、これに併せてフラップのデザインも最適化されている。
これらの変更はウイングの揺れを減少させる効果があり、Y250ボーテックス(フロントノーズ両脇を流れる空気の渦)を調節するだけでなく、フロントタイヤ付近の気流を改善する狙いもあると思われる。
Alfa Romeo Racing C39 detail
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
彼らはさらに、現在トレンドとなりつつあるバニーイヤー(うさぎの耳)と呼ばれるフィンを、独自バージョンに改良してテスト2回目に投入してきた。このL字型のデバイスも、付近の気流を整えるのに役立つ。
なおこのデザインでは、パーツの水平部分がふたつに分かれている。
Alfa Romeo Racing C38 fins
Photo by: Giorgio Piola
アルファロメオは昨季も、同様のフィンをデザインこそ異なるが同じ場所に取り付けていた。これは“ケープ”と呼ばれる空力デバイスのすぐ後ろに位置しており、バージボード付近に効果的に空気を流すためのデザインとなっている。
Alfa Romeo Racing C39 rear wing pillar detail comparison
Photo by: Giorgio Piola
アルファロメオは、リヤウイングに関しても新たなデザインを試した。ピラーのデザインは、従来と同じ“スワンネック型”となっており、2本のピラーが上からウイングを支えるような形状となっている。しかしながら、以前のもの(右)と比べると、今回のデザイン(左)がより大胆なものとなっているのが分かる。
そのピラーの高さは、DRSの作動装置にも到達しようかという高さとなっている。彼らは、ウイング全体のダウンフォースの向上、そしてDRSの効果増大を目指して、あらゆる形状を試しているものと思われる。
Antonio Giovinazzi, Alfa Romeo Racing C39
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
新デザインと呼ぶほどのものではないが、こちらの“実験”も興味深い。上の写真で注目すべきは、リヤウイングのフラップの両端が少し下がっていることだ。おそらく、両端に発生する空気の渦を軽減し、空気抵抗を減らす狙いがあるはずだ。
Kimi Raikkonen, Alfa Romeo Racing C39, spins
Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images
アルファロメオはまた、テスト2回目に新たなエンジンカバーをテストした。これは昨年の一時期に使用されていたものとデザインが似ており、エンジンカバー後方の低い位置に小さなシャークフィンが形成されている。
下の写真は、エンジンカバーのフィンがより高い位置にあるタイプのC39で、基本的にはこのタイプのエンジンカバーがテストのほとんどの日程で使用されていた。
Kimi Raikkonen, Alfa Romeo Racing C39
Photo by: Andy Hone / Motorsport Images
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