F1分析|メルセデス、細かい工夫が成果に。モジュラー式のリヤウイングでドライバー好みのマシンを実現
ポーパシングに悩まされ、今シーズンの勝利は夢物語に見えたメルセデス。F1サンパウロGPでワンツーフィニッシュを飾ったが、2台のマシンの違いにチームの工夫が見えてくる。
写真:: Giorgio Piola
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メルセデスは、F1サンパウロGPでワンツーフィニッシュを果たした。シーズン序盤の苦戦ぶりを考えると、チームが追求してきた成果だと言えるだろう。
時には開発やセットアップで袋小路に陥ることもあったが、答えを得るためにひたむきに努力を続けてきたのだ。シーズン終盤にそれが結実し、レッドブルやフェラーリに匹敵するようなパフォーマンスを発揮できるまでになった。
この経験は今後の数シーズンに向けても役に立つはずだ。複雑な新世代のグラウンドエフェクトカーの、ライバルたちは知らないかもしれない問題について、チームはある程度の知識と理解を得ているからだ。
今季のテーマとして、メルセデスはドライバーたちが自分好みのバランスを探り、様々な空力セッティングを行なっている。サンパウロGPのフリー走行でも、それは続いている。
ルイス・ハミルトンのマシンは、FP1ではローダウンフォース仕様のリヤウイング(下画像左)を使用していた。これはウイングのフラップ上縁がカットされているモノだ。
Mercedes W13 rear wing comparison FP1
Photo by: Uncredited
予選ではこの選択が少し変わり、両ドライバーとも同じアッパーフラップを装着した。しかし、ハミルトンはジョージ・ラッセル車のウイングについているガーニー・フラップ(メイン画像青矢印)は使用しなかった。
このガーニーフラップの違いは、リヤウイングのエンドプレートのソリューションが異なることに対応するためだと思われる。ラッセルが今季よく見られる丸みを帯びたデザインなのに対し、ハミルトンのリヤウイングのリヤウイングエンドプレートは、エンドプレートがフラップ上部と同じ高さで後方へと折り曲げられたような形状になっている。
この部分はモジュラー形式になっており(メイン画像赤矢印)、製造する必要のあるウィングの数を減らし、コスト削減に寄与している。また、パーツを簡単に交換できるため、セットアップの変更にも時間がかからない。
Mercedes W13 brakes fin
Photo by: Giorgio Piola
またメルセデスは他のチームでは見られない、興味深く斬新な解決策を追求し続けている。
上図のように、リヤブレーキダクトフェンスの前方上部にある小さいウイングレットには、表面に細かなスリットが切られ、気流がその間を移動できるようになっている。
レッドブル、”スパイカメラ”で未来を見据える
Red Bull RB18 deflection measuring camera mound
Photo by: Uncredited
FP1では、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)のRB18のノーズに小さなポッドが装着される場面が短時間見られた。
3Dプリントで作られたと思われるこのポッドの両端には開口部があり、その中に横の映像を撮影するためのカメラが取り付けられている。
このカメラが、サスペンション、フロントブレーキダクト、タイヤのサイドウォールのいずれに向けられたものなのか、あるいはそれらの組み合わせなのかは不明だ。
しかし、2023年に向けてパフォーマンスを向上させる方法を模索し続けるチームが、短時間ながら、これらをモニターする必要性を感じているのは興味深いことである。
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