”攻め”のメルセデス復活か、斬新なフロントウイングが明らかに。まるで紐のようなフラップはどんな効果を生む?
メルセデスは新車W15で攻めの開発姿勢を見せており、シェイクダウンで斬新なデザインのフロントウイングが登場した。
ジョルジョ・ピオラ【F1メカ解説】
Analysis provided by Giorgio Piola
メルセデスは、発表したばかりの新車W15を早速シェイクダウン。ここで斬新なデザインのフロントウイングがお披露目された。
発表時のレンダリング画像などでは隠されていたこのウイングだが、チームがシルバーストンでフィルミングデーを活用して行なったシェイクダウンでマシンに搭載された。
注目の箇所はフロントウイング最上部のフラップだ。内側の部分(赤矢印)に非常に細いエレメントが使用されている。これは単純にウイングの合法性を担保するために存在していると見られる。
フラップ外側はインボードメタルアジャスター(青矢印)を過ぎたところで立ち上がり、複雑な3D形状の曲線を描いたフラップとなっている。
以前のレギュレーション下では、ウイングのメインプレーンとフラップの先端でY250ボルテックスと呼ばれる渦流を作り、フロントタイヤ後方を通るアウトウォッシュ(マシン側面に流す気流)を巧みにコントロールすることが重要視されていたが、メルセデスのこのウイングは小規模ながら同じような効果を狙ったものではないかと見られる。
このウイングがレギュレーションに明確に違反しているとは言えないが、FIAのさらなる精査、あるいは他チームからの苦情に耐えられるほど合法性が保たれているかどうかはまだわからない。また、マシンの他の部分から注意をそらすためのチームの策略である可能性も完全には否定できない。
Lewis Hamilton, Mercedes W15
Photo by: Mercedes AMG
注目すべきことに、メルセデスは2024年に向けてメインプレーンとノーズのレイアウトも変更しており、ノーズの先端はメインプレーンまで伸びておらず、フロントウイング下から2番目のエレメントまでとなっているため、先代よりもノーズが短くなっている。
これによりメインプレーンの形状も変更されており、昨年よりも大きく下に垂れ下がる形に。ノーズ先端とメインプレーンの間に大きな空間が生まれている。
こうした変更は明らかに後方への気流に大きく影響を与えるはずで、新しい構成のフラップにも有益となるようコントロールされているはずだ。
メルセデスのこのウイングに対して、FIAとライバルチームがどんな反応を示すかは興味深い。今のレギュレーションが立案された当初の意図とは、明らかにかけ離れているデザインだと言えるからだ。
現状、他のチームはこのウイングが自分たちも追求すべきアイデアなのか、文句を言うべきアイデアなのか、それともその影響を黙って待つべきなのかをを見極める必要があるだろう。
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