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レッドブル、“ポストホンダ時代”に向け見通し良好か。新会社設立で柔軟性も確保

2021年限りでホンダがF1活動を終了するため、2022年以降はホンダ製PUを引き継いで自社で運用していくこととなったレッドブル。そのための“必須条件”でもあった2022年からのPU開発凍結は合意となり、見通しは概ね良好に見える。

Red Bull Racing RB16B detail

Red Bull Racing RB16B detail

Red Bull Racing

 2月23日、レッドブルは2021年用マシン『RB16B』を発表した。リヤウイングに大きく『HONDA』のロゴがあしらわれたこのマシンで、レッドブル・ホンダは“最後のシーズン”へと挑む。

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 先日行なわれたF1委員会の会議において、2022年以降のパワーユニット(PU)開発凍結が合意に達した。2021年限りでF1活動を終了するホンダのPUを2022年以降も継続使用したいと考えていたレッドブルにとって、これは朗報だった。結果的にレッドブルは2月15日、『レッドブル・パワートレインズ』という新会社を設立し、2022年からホンダ製PUを引き継いで自社で運用していくことを発表した。

 PU開発凍結に向けての議論は決して順調に進んだ訳ではない。実際、フェラーリは当初この計画に“断固反対”という姿勢を取っていた。ただ、新世代のパワーユニット導入を1年前倒しして2025年からとする妥協案がまとまったこともあってか、フェラーリもその意見を変えたのだ。

 2022年以降のPU開発が凍結されるということは、2022年シーズン開幕時にパフォーマンスで後れをとった場合にはかなり厳しい立場に置かれるということを意味する。そのためフェラーリやレッドブルは、燃料流量を増やすことでパワーが不足するメーカーを救済するようなメカニズムの導入を求めていたが、それにはメルセデスからの反対があった。メルセデスはコスト削減という観点からPU開発凍結を支持していたが、パフォーマンスを平準化するようなものは求めておらず、それはルノーも同じであった。こういった理由から、PU開発凍結の行く末は不透明な状況にあった。

 しかし2月11日の会議では、PU開発凍結が全会一致によって承認された。レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーが一部メディアに語ったところによると、パフォーマンスのバランスをとるためのメカニズム導入についても、メーカー間で合意がなされているという。ホーナーは次のようにコメントしている。

「レギュレーションには何も書かれていないが、各マニュファクチャラーはFIAと協力し、どこかのマニュファクチャラーが不調になった場合など、それに対処することで合意している」

「つまりレギュレーションの範囲外ではあるが、万が一の事態が発生した場合には、各マニュファクチャラーがそれに対処することを約束しているということだ」

 この合意により、レッドブルは2022年初頭からホンダPUを引き継ぎ、自ら製造・運用していく運びとなった。これはレッドブルにとって好ましい状況であり、2018年を最後にパートナーシップを解消したばかりのルノーと再びを手を組まなければならないという”気まずい”状況に陥ることは避けられた。そして自分たちの将来をよりコントロールしやすくなったのだ。

 開発が凍結されたとはいえ、本来PUサプライヤーでないレッドブルがPUを監督する部門を新たに立ち上げるにはコストがかかる。ミルトンキーンズにあるチーム施設の一部をPU運用のための場所に改造する作業は既に始まっており、ホンダがミルトンキーンズに持っているHRD UKの”大部分”も引き継ぐことになっているというが、それにかかる費用は決して安くない。しかしながら、もし他のメーカーとPU供給契約を結んでいればもっとコストがかかっていたと思われるため、レッドブルにとってはこれが最善策であったと言える。

 これらはレッドブルの将来にとってエキサイティングな展開だが、かといって2022年からの3シーズンの成功を保証するものではない。

 既報の通り、ホンダは2022年シーズンにレッドブルとアルファタウリが使用するPUまでは、開発を担当する予定であることを明かしている。つまりホンダは、PU開発凍結がスタートする2022年シーズンにできる限り強力なPUを提供できるよう、残る1年で全力を尽くしていくことになる。

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Masashi Yamamoto, General Manager, Honda Motorsport, and Christian Horner, Team Principal, Red Bull Racing, celebrate in Parc Ferme

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Photo by: Andy Hone / Motorsport Images

 ホンダから最後まで手厚いサポートを受けられることとなったレッドブル。しかしそのホンダが開発した2022年用PUがライバルより劣っていた場合、向こう数シーズンに渡って厳しい戦いを強いられるという現実には変わりない。ホーナーは昨年、“3年間パフォーマンスを固定すること”は、出遅れたチームにとってかなりの痛手になると語っていた。それゆえに彼は、パフォーマンスのバランスをとるシステムの導入を熱望していたのだ。

 2020年におけるフェラーリの苦戦はある意味で、パフォーマンスが固定されたシーズンにおいて出遅れたチームがいかに痛手を負うかのモデルケースとなったと言える。2020年シーズンはコロナ禍の影響を受けたコスト削減策として、シーズン中の開発が許可されないことになった。そのため、開幕時にパワー不足が発覚したフェラーリは、カスタマーチームであるハース、アルファロメオ共々、最後の最後まで苦戦を強いられた。上記の背景を考えると、フェラーリがレッドブルと共にパフォーマンス平準化のメカニズム導入を提案したのも頷ける。

Max Verstappen, Red Bull Racing RB16

Max Verstappen, Red Bull Racing RB16

Photo by: Glenn Dunbar / Motorsport Images

 そしてレッドブルにとって重要なのは、2025年の新PU導入に向けて完璧に準備を整えることだ。F1委員会の会議では、新たなPUがよりシンプルで、より安価で、より魅力的なものにすることが約束された。新規則下ではレッドブル・パワートレインズでPUを製造・開発する可能性も否定していないレッドブルにとって、コスト面は特に魅力的だ。

 レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは昨年12月、motorsport.comに次のように語った。

「新しいPUがもっとシンプルなデザインになり、MGU-H(熱エネルギー回生システム)が廃止され、革新性は残しながらも年間コストの上限が5000万ドル(約52億円)前後になる、ということが現実のものになれば、現行エンジンほど複雑な問題ではなくなってくる」

「つまり、ミルトンキーンズにあるようなものを使って、そのようなエンジンを開発することができるということだ」

 新しいPUレギュレーションが魅力的なものになれば、今後新規参入のメーカーと共に仕事をするという可能性も浮上してくるが、レッドブルにとってレッドブル・パワートレインズでPUを開発することは十分選択肢のひとつになり得るだろう。仮にメーカーと提携してワークス契約を結んだとしても、レッドブルのPU部門がそのノウハウを持ち合わせていることは、様々な柔軟性を生むはずだ。

 PU開発が凍結されることにより、レッドブルは“ポストホンダ時代”だけでなく、新世代PUが導入される2025年以降の計画を立てる余裕ができたと言える。長期的には物事は良い方向に向かっている。

 

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