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F1分析|ハミルトンとフェルスタッペン、熾烈なタイトル争いに水を差す審議の行方

F1サンパウロGPの予選後、タイトル争いを展開するルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンが審議対象となっているが、何が起きているのだろうか?

The cars of pole man Lewis Hamilton, Mercedes W12, Valtteri Bottas, Mercedes W12, and Max Verstappen, Red Bull Racing RB16B, in Parc Ferme after Qualifying

写真:: Mark Sutton / Motorsport Images

 F1第18戦サンパウロGPは、スプリントフォーマットでの開催となり、金曜日にノックアウト方式の予選が行なわれた。ここではメルセデスのルイス・ハミルトンが、ライバルであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に0.4秒以上の差をつけて最速となった。

 ところが土曜日のスプリント予選レースを前に、このふたりのドライバーは審議対象となっており、熾烈なタイトル争いに水を差すようなペナルティが出る可能性が浮上している。

 ハミルトンのマシンは、DRSに関する技術規則違反の疑いが出ており、フェルスタッペンはパルクフェルメでメルセデスのマシンに不正に触れてしまったため、審議対象となっているのだ。

 どちらの件も非常に深刻に扱われる可能性があり、スチュワードの裁定はタイトル争いに大きく影響しかねない。

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■一体何が起きたのか?

 では、実際に何が問題になっているのか、簡単に説明しよう。

 金曜日の夕方、FIAのテクニカルデレゲートであるジョー・バウアーは、ハミルトンのリヤウイングが規則に準拠していないと考える旨のメモをスチュワードに送った。

 バウアーはそのメモの中で、「最小距離については要件が満たされていた。しかしDRSシステムが展開およびテストされた際、最大85mmという要件は満たされていなかった」としている。

 ここで問題となるのは、リヤウイングを構成するメインプレーンとトップフラップ、ふたつのエレメントの間の距離である。

 F1技術規則の第3.6.3条には、ウイングが閉じた位置にあるとき、ふたつのフラップの隙間は「10mmから15mmの間になければならない」と明確に定めている。一方で、DRSが起動し、フラップが開いている時には、この隙間が10mmから85mmの間でなければならないとされている。

 つまりハミルトンのDRSは、規定で定められている以上に、開きすぎていたのではないかと疑われているのだ。これはストレートスピードの向上につながり、ハミルトンが予選結果から除外される可能性も出てくる。

 当然のことながら、走行中にリヤウイングをチェックするのは不可能だ。そのため、セッション後、パルクフェルメで検査を行なうための手順が定められている。直径85mmの円盤を棒の先につけ、DRSを作動させた状態でこの円盤がフラップの隙間を通過するかどうかをチェックするのだ。

DRS作動時の隙間の検査

DRS作動時の隙間の検査

Photo by: Aston Martin

 フラップの隙間が85mmより大きい場合、器具が隙間を通り抜けてしまい、FIAはそのマシンを違法と判断することになる。

 メルセデスはリアウイングに何が起こったのか、まだ公には語っていないが、その背後には明らかに複雑な事情があるようだ。

 金曜日の夜、FIAがこの検査を長時間行なっていたのが目撃されている。そして数時間に渡って行なわれたスチュワードの審議は、金曜日の夜22時に翌朝への延期が決まった。これは一筋縄ではいかない状況であることを示唆している。

 マシンの重量不足やウイングの大きさに違反が見つかるなど、通常の技術規則違反であれば、通常は自動的に失格となるだろう。だがスチュワードはハミルトンのリヤウイングを押収して封印し、土曜日の朝にさらなる調査を行なうことを求めた。

 このウイングは、チームが今シーズンを通じて使用してきたものと同じデザインであり、DRSのルールを悪用するために意図的に何か新しいことをしようとしたわけではないだろう。

 可能性としては、予選中にウイングのどこかが壊れて、DRSのギャップが大きくなってしまったことが考えられる。

 ライバルであるレッドブルも、最近のレースでリヤウイングにトラブルが生じていた。今回の予選でも、Q3終盤のターン1への進入でフェルスタッペンのリヤウイングのフラップがバタバタと動いてしまっていた。

 そして、これを感じ取ったフェルスタッペンがウイングをチェックしたことで、フェルスタッペンが審議対象となった行動が引き起こされたと考えられる。

 予選後のパルクフェルメで、フェルスタッペンが止まっている3台のリヤウイングを触って点検している様子が映っていたのだ。

 

 細かいところまでは分からないが、フェルスタッペンは自身のマシンのリヤウイングを触り、問題がないかをチェックしていたようだ。そして驚くべきことに、フェルスタッペンはその後、ハミルトンのマシンに歩み寄り、同じようにリヤウイングを触って確かめてしまったのだ。

 これは、パルクフェルメ状態にあるマシンに触れることを禁じるFIA国際スポーツ規則の第2.5.1条に違反する行為であることは間違いないだろう。

 ただ、ドライバーがライバルのマシンをチェックすることは珍しいことではない。セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)が他のマシンをチェックする姿は何度も見られてきた。ベッテルはパルクフェルメで、足を使ってリヤタイヤを押して、他のドライバーのマシンを動かしたこともある。

 フェルスタッペンはそれほど力を入れてハミルトンのウイングを触ったようには見えない。これによってハミルトンのウイングに何か影響を及ぼしたとは考えにくいが、その後に審議対象となった部分に触れていたことで、非常にデリケートな問題に発展してしまったのだ。

 フェルスタッペンは今後、現地時間土曜の朝9時30分(日本時間21時30分)から行なわれるヒアリングに出席して、自らの行動を説明しなければならない。

■ペナルティはどうなるのか?

 スチュワードが強硬な態度をとれば、今回の件で両ドライバーが予選から除外される可能性もないわけではない。

 ハミルトンに関しては、スチュワードがマシンが技術規則に違反していると判断した場合、自動的に予選結果から除外される。ペナルティを受ける可能性は、フェルスタッペンよりも高いだろう。

 フェルスタッペンに関しては、より主観的な問題であり、4人のスチュワードが彼の行為をどれだけ重大な違反とみなすかを判断することになるためだ。

 メルセデスは、外部の人間が触っただけで何かが外れてDRSの規則違反の引き金になったと主張することもできるだろうが、それはかなり突飛な理論だ。強烈な空気抵抗を受けるリヤウイングのフラップを軽く触っただけで破壊できるのなら、フェルスタッペンはパワーステアリングを使わずに軽々とモンスターマシンを操れるほどの怪力を持っていることだろう。

 フェルスタッペンの行為は無害であり、叱責や罰金で済む可能性も高い。ただ、彼が調査対象となっているリヤウイングに触れていたという事実が、状況を複雑にしている。

 ふたりのタイトル争いが重要な局面を迎えている真っ只中だが、数時間後に下されるであろうスチュワードの判断は、今週末コース上で行なわれてきたこと以上に決定的なモノになるかもしれない。

 
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