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本当に準備は整った? 突貫工事でF1初開催を迎えたサウジアラビアGP……現地の声を聞く

F1を統括する重鎮たちは、F1初開催のサウジアラビアGPの舞台となるジェッダ市街地サーキットの準備状況について、これまで楽観的な姿勢を見せてきた。しかし、レース週末になってもサーキットは未だ”未完成”のように見える。

Track overview

写真:: Zak Mauger / Motorsport Images

 遡ること2週間、F1スポーティングディレクターのスティーブ・ニールセンはサウジアラビアGPの舞台であるジェッダ市街地サーキットの施設は初開催までに準備が整うと自信を見せてきた。

 サーキットには建設中の施設や設備が多く残されているという報道もなされたものの、F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリもコメントでは常に、“レーストラックは”予定通り準備が整っていると語っていた。

 つまり裏を返せば、F1を開催するサーキットでは当たり前となっているオフィスやホスピタリティなどのサーキット周辺のインフラの準備は遅れているということだった。

 このジェッダ市街地サーキットも、当時のF1重鎮が都市のど真ん中に作ると語っていたが、結局街自体が作られず廃墟と化した韓国GPの韓国インターナショナル・サーキットのようになってしまうのだろうか。

 サウジアラビアGPのレース週末に差し掛かり、ジェッダ市街地サーキット内を歩いてみると、F1側がなぜ上記のような発言をしたのかが分かってきた。というのも、サーキット全体が完成したと言うにはあまりに未完成の部分が多く残されているからだ。

 パドック自体は素晴らしい出来栄えのように見え、ガレージは他のサーキット同様にF1チームのために準備が整っている。しかしピットレーン出口の方まで歩いていくと、サーキットは未だに建設中だということが分かってくる。

 パドックのフェンス越しにサーキットを見てみると、泥や建材が積まれ、完成に向けて工事をしている建設作業員がいる。このサーキットが文字通り完成するまでには、まだ数ヵ月かかることは明白だ。

 とはいえ、今年4月に建設に向け着手したことを考えると、このような状況になっていることは不思議ではない。8ヵ月間で構想からF1開催まで漕ぎ着けるというのは、F1史の中でも最短記録になる。

 完璧主義者であればサーキットが未だに工事中という点は気になるかもしれないが、サウジアラビアGPはナイトレースであり、未完成の部分は基本的にテレビには映らないということも忘れてはいけない。

Track overview

Track overview

Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images

 加えて、F1チームや世界中にいるF1ファンにとって重要なのは、レーストラックそのものの準備が整っていることだ。その点で言えば、超高速仕様のジェッダ市街地サーキットは“絶品の”レースを届けてくれるかもしれない。

 ここ数年のF1初開催のサーキットは、ヘルマン・ティルケが手掛けるタイトで中速コーナーの多いモノが多く、つまらないと批判されてきたが、ジェッダ市街地サーキットはこれまでに類を見ないモノになった。

 27個のコーナー(左コーナーが16個、右コーナーが11個)が配置されるジェッダ市街地サーキットは全長6,175kmと、現在のF1カレンダーの中ではスパ・フランコルシャン(7,004km)に次いで長いサーキットだ。

 ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)にこのレイアウトについて聞いてみると、彼はシミュレーター上で学ぶことが難しかったと語った。

「このサーキットは、最初は(コーナーの)何もかもが似て見えたよ」と彼は言う。

「シミュレーターで試してみたけど、普通なら全てのコーナーが違って見えるから、憶えるのはとても簡単なんだ。でもここでは、ターン4からターン7までの最初の複雑なセクションを走っていても、バックストレートにとても似て見えてくるんだ」

「だから、憶えるまでに普段よりも2、3周多くかかってしまった。全ては相対的なモノで、全体を把握するまでには5、6周は要した気がする。両脇にウォールが迫っているところを走ると、全てがブラインドコーナーになる。だから、どこのコーナーもとても似ているんだ」

general view of track

general view of track

Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images

 ガスリーが語ったように、ここでのサーキット習熟は難しい。しかし、ここではそれ以上に最高スピードが話題を呼んでいる。

 初日の金曜日に行なわれたフリー走行1回目、2回目では、最終コーナーまでの下りセクションでの最高時速はおよそ320km。27個のコーナーが配置されているものの、強烈なダウンフォースを誇るF1マシンがフルスロットルで駆け抜けることができるコーナーも多く、平均時速は250kmにもなる。

 フルブレーキングするコーナーが少ないため、オーバーテイクは難しいとされているが、3つのDRSゾーンと現行F1マシンが生み出す強力なスリップストリームにより、予選や決勝レースでは“スリップストリーム・パラダイス”になるかもしれない。

 だからこそ、ここジェッダ市街地サーキットは正確さと勇敢さを試される地なのだ。

 木曜日の夜にコースを回ってみると、マカオGPのF3ワールドカップが行なわれるギア・サーキットのように高速で狭いセクションと、かつてF1が開催されたバレンシア市街地サーキットのテクニカルセクションを彷彿とさせるエリアがある。

 さらにセクター2最初のターン13はロンク・ヘアピンだが、バンク角がつけられているため非常に高速で、続くターン14に向けて出口でもミスは許されない。

 F1ドライバーたちは、ジェッダ市街地サーキットの複雑さがレース週末にどれだけ影響を及ぼすかを警戒している。たったひとつのミスで、マシンをウォールにぶつけ、レースの週末に描いていたプランを狂わせる可能性は大きい。

 その点では、多くのドライバーがマカオで経験してきたように、フリー走行1回目からフルアタックをするのではなく、走行を重ねる中でスピードと自信を付けていく必要があると言えるだろう。

 実際にFP1でコース習熟を行ない、FP2では攻めて走るドライバーが多く見られた。ただ、ミスをすると軽傷では済まないのがここジェッダ市街地サーキット。F1での最初の”犠牲者”はシャルル・ルクレール(フェラーリ)で、ターン22でリヤが流れそのままターン23のテックプロ・バリアに激突。マシンをリヤから大きく破損させることになった。

 自信過剰で早すぎるタイミングで攻めれば、たちまちクラッシュしてゲームオーバー。しかし、スピードを上げていくのに時間がかかり過ぎるとライバルに先を越されてしまう。

 舗装からまだ間もないアスファルトということで、路面の油膜と降雨によってF1マシンが”踊った”2020年のトルコGPを思い出す人もいるかもしれない。そうした懸念は確かにあったが、金曜日の走行を見る限りではトリッキーな路面に悩まされることもないようだ。

 土曜日以降、そして来年以降どう展開していくかは依然未知数ではある。しかし、F1としても大きな一歩となる可能性を秘めるここサウジアラビアでは、そうした些細なことは問題にならないのであろう。

 
 
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