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アルファロメオ代表が若き才能プルシェールの昇格に慎重な理由「F1は“1発勝負”。しくじる訳にはいかない」

現在最も有望なF1候補生のひとりであるテオ・プルシェール。彼をサポートするザウバーは、その若き才能をF1に送り出すタイミングを慎重に見極めている。

Théo Pourchaire, Alfa Romeo

写真:: Alfa Romeo

 2021年、17歳の若さでF2のポールポジション、優勝を経験したテオ・プルシェール。彼は2022年のアルファロメオF1のドライバー候補にも上がっていたが、結果的にレギュラーシートを手にすることはなかった。

 2022年シーズンに向けたF1のストーブリーグが落ち着きを見せ、ほとんどのチームの陣容が確定した頃、アルファロメオだけはラインアップを確定させるのが遅れていた。

 アルファロメオ買収を画策するアンドレッティとの話し合いが続いたことにより、バルテリ・ボッタスのチームメイトを誰にするかという問題は先送りにされた。アンドレッティとの契約がまとまれば、インディカーからコルトン・ハータがF1にやってくるという可能性もあっただろうが、最終的にアンドレッティとの交渉が決裂したことにより、中国系スポンサーを数々抱える周冠宇が加入することが11月中旬に発表された。

 ボッタスはチームと複数年契約を結んでおり、今後アルファロメオを支える存在となるだろう。また、チーム代表のフレデリック・バスールは周の起用を発表した際、彼との「長期的なコラボレーション」を希望しているとも述べていた。

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 しかし、アルファロメオが今後ボッタスと周のコンビを長期的に継続していくかどうかについては、一筋縄ではいかないだろう。というのも、チームを運営するザウバーが抱えるひとりの育成ドライバーが、F1直下のカテゴリーで最もエキサイティングな才能を持つ1人として急上昇している。それこそがプルシェールだ。

 プルシェールは2019年にドイツのF4選手権を制した後、2020年はARTグランプリからFIA F3に参戦した。ARTは何を隠そうバスールが創設したチームだ。ザウバーの若手ドライバーアカデミーの一員となった彼はオスカー・ピアストリとチャンピオン争いを展開し、3点差で惜しくもタイトルを逃している。

 弱冠17歳にしてF2にステップアップしたプルシェール。わずか1年半前にF4に参戦していたため、短期間で大きなステップを踏んだ形だが、彼は地に足をつけて戦った。そしてモナコのフィーチャーレースでポールトゥウィンを飾るなど、ランキング5位という堂々たる成績を残した。モナコで勝った時、彼はまだ自動車免許すら持っていなかった。

 プルシェールがF2の史上最年少ポールシッター、最年少ウィナーとなったことにより、アルファロメオは早ければ2022年にも彼にF1参戦のチャンスを与えられるかどうか、ということを考えるようになった。

 プルシェールは8月のプライベートテストでアルファロメオの2019年マシンのステアリングを握り、初のF1を楽しんだ。しかし、それは彼のF1昇格の前兆ではなかった。バスールは周の起用を発表した後、プルシェールをあまりに早くF1昇格させるのは「リスクが大きすぎた」との見解を示した。結果的にプルシェールは2022年もF2に残り、ARTでシーズンを戦うことが決まった。

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Théo Pourchaire, Alfa Romeo

Théo Pourchaire, Alfa Romeo

Photo by: Alfa Romeo

 シーズン終了後にmotorsport.comが実施したバスールのインタビューの中でも、プルシェールがアルファロメオにとって明るい話題であるという話になった。ただバスールにとって、今はまだプルシェールを昇格させるのに適切な時期ではないという見解に変わりはなかった。

「彼はいくつかの点でまだ改善しなければいけないことがある」とバスールは言う。

「ただ、彼はこの議論について完璧に理解していた。彼は聡明な男だ。F1のシステムも、チームがルーキーに何を期待するかも分かっている」

「F1では、シーズン前に6日間、ひとりあたりに換算すると3日間のテストが行なわれる。スペインでは雪、バーレーンでは砂の影響を受けたりして、開幕戦には走行距離ほぼゼロの状態で臨むなんてこともあり得る」

「(F2で)チャンピオンシップのプレッシャーを受けることも、彼にとってはいい経験になるはずだ」

 バスールは、プルシェールが2022年のF2でタイトルを獲得できるかどうかについて「私はそう思う。彼がどう思ってるかは知らないがね」と冗談めかして語った。実際、昨年彼よりランキングが上位だった4名のドライバーは皆2022年のF2に参戦しない見込みであるため、プルシェールがチャンピオン候補であることは間違いないだろう。

 特別な才能を持ったプルシェールが引き抜かれることを心配していないのかと尋ねられたバスールは「テオと話をしたいなら、まず私を通してくれ!」と語った。

 プルシェールにとって、知識も経験も豊富なバスールは強力な味方と言える。ARTは20年以上続く名門であり、ジュール・ビアンキ、エステバン・オコン、シャルル・ルクレール、そして2022年にアルファロメオと契約したボッタスも、バスールの支援の下、ARTで活躍してF1まで登りつめた。

 バスールは若いドライバーをF1で成功させるために何が必要なのか、なぜタイミングが重要なのかを知っている。

「F1は1発だけ弾が入っている銃のようなものだ。その1発をしくじると、待っているのは死だ」

「10歳や11歳の時、カートをやっていて何を目標にするのか? F1だろう。ただ、これはテオにも言ったことだが、F1に近付いた時に目標とするべきは、良い状況でF1に参戦し、成功することなんだ」

「F1にデビューして、1年で弾き出されたら大変なことになる。でも、今はF1に近づいているわけだから、F1でうまくやることが目標だ」

「F1で活躍するためには、体力面、技術面、ドライビングの面で十分な準備をしなければならない。そしてサーキットを熟知していなければならない」

「このように複雑なシステムなんだ。何かが欠けていたら、一瞬で終わってしまう」

Theo Pourchaire, ART Grand Prix

Theo Pourchaire, ART Grand Prix

Photo by: Sam Bloxham / Motorsport Images

 このような理由から、アルファロメオはプルシェールのキャリアを早々に潰してしまうようなリスクを冒したくなかったのだろう。

 ただ、金銭的な後ろ盾を持つ周を起用することで、アルファロメオは予算上限額ギリギリまで資金をチームに投資することができるだろう。バスールはそうすることで、チームに「異なるメンタリティー」を提供することになり、力強く持続可能な未来を築くことができると考えている。

 アルファロメオ、そしてザウバーがプルシェールとの“長期戦”に臨んでいるのも、同じ考えからくるものだ。プルシェールのこれまでの出世は目覚ましく、フォーミュラで同じシリーズを2年連続で戦うのは2022年が初めて、というほどだ。

 プルシェールが2022年のF2でタイトルを獲得すれば、バスールにとっては悩みの種がまたひとつ増えることになるだろう。ただ、プルシェールがいかに特別な才能を持っているかをさらに証明することにもなる。

 
 
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