選ばれたのはウイリアムズ! サインツJr.を惹きつけた、復活に向けたビジョン「我々はもう数合わせじゃない」
ウイリアムズのジェームス・ボウルズ代表は、カルロス・サインツJr.を獲得する上で大きく役立ったチームの将来的なビジョンについて説明した。
James Vowles, Team Principal, Williams Racing
写真:: Williams
ウイリアムズは来季に向けてアレクサンダー・アルボンのチームメイトとして、カルロス・サインツJr.を獲得。チームは長期的な成功を目指す上で、最強の布陣を整えたと確信している。
シーズン開幕前から今季限りでフェラーリを離れることが決まっていたサインツJr.だが、アウディ/ザウバーやアルピーヌからもオファーを受けており、なかなか移籍先が明らかとならず……ドライバー市場のボトルネックと揶揄されたこともあった。
サインツJr.との契約が発表される数日前、チーム代表のジェームス・ボウルズ代表は彼と交わした会話について以下のように明かしていた。
「彼が言っていたことで、最も心に響いたことがある。『僕がこうしている(移籍先を吟味している)理由は、僕がコミットする時は100%の心と魂を込める必要があるからだ』ということだ」
そして結局、サインツJr.はアウディとアルピーヌのファクトリードライバーとなるチャンスを蹴り、ボウルズ代表が再建を進めているウイリアムズでその仕事を加速させることを選んだ。
今季わずか4ポイントしか獲得できていないウイリアムズに、キャリアの全盛期を捧げようとしているサインツJr.。彼の心を揺さぶったビジョンとは何だったのだろうか?
「彼が他のすべてのことよりも我々を選んだという事実は、非常に大きな、記念碑的な決断だ」
そうボウルズ代表は語った。
「我々は正直に言わなければならない。アルピーヌは今年、得点で我々を上回っている。昨年もそうだった。私はそのすべてを理解している」
Carlos Sainz, Scuderia Ferrari
Photo by: Andy Hone / Motorsport Images
「彼が買っているのは2025年のことだけではなく、今後2年間で我々が何を提供できるか、そしてどのような方向性なのかということだ」
「(サインツJr.の獲得競争で)ふたつの素晴らしい組織を打ち負かしたことは記念碑的な出来事だ。しかしカルロスは我々がチーム内部で何を変えようとしているかを認識したんだ。その多くは貴方がたには見えないだろう」
「私はそれが勝因だと思っている。私は彼にすべてをさらけ出した。ここで何が起きていて、後戻りしている理由や、何を調べているのか、なぜ自分がこのプロジェクトに興奮しているのか……その一員になりたいかどうかは、彼が決めることだ」
「将来的に成功することは分かっているし、短期的には代償を支払うことになるのは分かっている。だが正直さと透明性が実を結んだと確信している」
ボウルズ代表は、現オーナーのドリルトン・キャピタルから、2026年に全神経を集中させ、チームが可能な限り最強のポジションにいることを保証できるよう、明確な権限を与えられている。
それは、何年にもわたり投資不足に陥っていたチームのプロセスを一から作り直すことを意味し、ファクトリーを強化するための大規模なリクルート活動は現在も続いている。
「今年は競争が熾烈で、ポイントわずか2、3という成績は、我々が望んでいるポジションをうまく反映できているわけではないことを認識しなければならない」
「奇妙に聞こえるかもしれないが、私は心配していない。私は最初から我々がやっていることはすべて26年以降への投資だと言ってきた。その多くは、水面下ではとても見えにくいものだけど、技術や文化、ウイリアムズの人々を根本的に変えようとしているんだ」
Logan Sargeant, Williams FW46
Photo by: Zak Mauger / Motorsport Images
最近ウイリアムズは、レッドブル、メルセデス、フェラーリ、アルピーヌなどから26人ものシニアスタッフを採用したと発表した。ボウルズ代表は就任以来250人以上の人材を集めたという。
「もし発表が遅かったら、その(発表の)人数が30人になっていただろう」
「この17ヵ月間で250人近くを採用した。それらは他のF1チームからの重要な幹部採用であり、加入した瞬間から直接的な影響を与えるだろう」
「その他の26人のうち、11人は空力部門だと思う。その頃は50人ほどだったから、結果としてどれだけ成長したか分かるだろう」
「私がチームに加わったとき(チームのメンバーは)700人ほどだった。シルバーストンでのマシンのカラーリング(ウイリアムズの全メンバーの名前が入った特別カラー)には1005人の名前があった」
「それが今のウイリアムズであり、我々の旅はこれで終わりではない。それは偶然ではなく、自分たちのやっていることをみんな信じているからだ」
「ウイリアムズはもう、ただ数合わせのためだけにいるのではないことを、人々は知っている」
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